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第二の星で  作者: ぷりお
73/101

73.【太陽を遮るロンデイル】




上空を飛来してくる、黒い機体。

「あいつは、イスィーズをやった鼠だな!」

ヴィーナは自身のリバーカンを上昇させる。

屋根を掠める弾幕が、自身の機体の足元を駆けるが、

一瞥もくれず。

飛来する敵機の槍と、自身の腕から派生する刃を重ねた。



「ギランミはどこだ、奴だけは見つけ出して殺してやる!」


「大佐は貴様に会うほど、暇な方ではない。宇宙を舞うだけの鼠が、大佐の名前を口にするなど………!」



「またお前か、私に殺されに来たんだな、女ぁ!!」



太陽を背にする黒い機体は、再び上昇し、破裂音を纏って巨大な砲身を自身へ向けていた。



「うわっ……!」

機体をのけ反らせ、自身の真横を紫の濁流が駆け抜ける。

それは地面に直撃し、直撃した一点を盛り上がらせ、

爆発が周囲を包み込んだ。


「あの時の出力でない!」



「ヴィーナ、1人で突っ込まないでよ!」

ロイヤリティの声を纏った、白銀の機体が自分達を見下ろす黒へ突貫する。


シャキリは、砲身を折り畳んで、肉薄してくる機体へ左腕の剣を振りかぶり、右肩のオートマニュピレーターの槍を突き付ける。


ロイヤリティは、先に自身を捉えんとする槍を体を捻って左に回避し、その捻った反動を使い、左腕の刃をもって、アコニットの剣と重ね、火花を散らす。



「遠路はるばるご苦労だな、しかしこの地球に、月のお前達の居場所は無いんだよ!」


「人を見かければ、下を向いてチョロチョロと逃げ惑う虫が、マシーンを手にしたからって粋がるな!」

ロイヤリティは叫び、右腕振りかぶる。


「お前達にわかるか!生まれの場所で蔑まれる者の思いが!私達の中に、例外がいてはいけないんだ。全員漏れなく蔑まれ、お前達を憎んで殺さないとなんだよ!」


アコニットはロングレンジバレットを無理矢理展開し、ロイヤリティを挟み込もうとするが、白銀の機体はそれを蹴り押し、距離を取る。



「我々は戦い、勝ち取ってきた。私はお前達が手心をかけた国民を、皆殺しにしてやったぞ!ルーラもミィカもそうだ。3歳にもならない子供の首を、私は吹き飛ばしてしまったんだよ!」



「全員が逃げていった。男も、女も、子供も!子供を踏み潰して、老人に手を差し出さず、逃げた先で瓦礫に潰される!地球に甘やかされて育った貴様らだからだ!これが人間か、これが思いやりか!対象を選抜された思いやりなど、ただの言い訳じみた排斥なんだよ!」



アコニットを再び紫の光が包み込み、その光は直ぐに敵意を持って、ロイヤリティとヴィーナへ向かう。


2人はそれを左右に散開して回避し、自分達の後ろにあったヤックヌー戦艦にビームレーザーが直撃した。


「現に、お前達が避けたからあの艦は落ちた。逃げた先には、またその先の苦難があるというのに、隣の芝は青く見えるか?色なんてのは、陽の当たりで好き勝手に変わるんだよ!」



「お前はいちいち鬱陶しい!!」

ヴィーナが叫び、再びアコニットとぶつかり合いながら、街へ降下していく。

昼間であるにも関わらず、街は影を被り始め、地面は唸りを上げる。



「ヴィーナ、シェルターが閉じるぞ!」

ロイヤリティのコックピットに、ブザー音が鳴り響く。



「あれは、エトセーラの部隊!」

ロイヤリティは振り返り、爆発を背に、自分達に接近する

リバーカンを目視した。

ギランミのものではない。



「ロイヤリティか、ギランミの犬はここで死んでけ!」

全く同じ外見をした機体。

両の機体は似通った動作で、腕になる刃を重ね合わせた。


「ギランミ大佐を裏切るということは、メサイア様にも、メロー閣下にも背くということ、温情の仕返しがこれか、エトセーラ!」

火花に照らされる。慈母神の顔を貼り付けた機体は、

自分を責め立てる声音を持ちながら、やるせなさも混在させているようだった。



「英国のプライドを無くした貴様らに、なにが残るよ!月の女に魂を売った貴様らは、ここで死なねばどこにも帰れないんだ!」


「せめてもの慈悲として、このロンデイルで死なせてやると言ってるんだ!」


エトセーラは叫び、足を垂直に掲げ、振り下ろす。

ロイヤリティの機体はそれを両腕を重ねて受け止め、

勢いを持って街へ落下を開始しした。


エトセーラはそれに続き、頭部を地面へ向けて、暗闇に包まれ始めたロンデイルへ降下していった。



「シェルターが閉じる。メロー、市民の誘導もすんでいないというのに!」

ギランミは横から剣の先端を掲げて突撃をかけるセルヴスをいなし、身を翻した反動を使って、エンジンを断ち切る。


「ベルベーン、聞こえるか!私達も向かうぞ、ロイヤリティ達から通信が入った!」

ギランミは落下していくセルヴスを追い越し、地面に突撃しようという勢いで、降下。

寸前でバーニアを蒸し、完全に太陽の光を遮り、黒一色となった、家屋を吹き飛ばす。


暫くして、シェルターの隙間から大きな爆発が起こった。

ギランミは、自身に付随しようとして、間に合わずにシェルターに挟み込まれたベルベーンだとわかった。

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