裏切りのその先で
シャキリはザビーネの二番煎じですよ。
レナは視線を走らせる。
ガベルへ通信をかけるためだ。
しかしガベルはもういなかった。
「艦長…?」
マシーンのテスト中に通信をかければ、直ぐに応じていた声が返ってこない。足元の感覚がなくなり、吐き気がしてきた。
「あと一騎、終わらせる!」
シャキリが呟いて、機体を前進させる。
「シャキリ、敵の巡洋艦を逃した。」
インペネス、シャキリ達の母艦から通信が入った。
「逃しただと?」
目に見える苛立ちだった。敵機を落とすチャンスを邪魔され、この母艦は仕事をしていないからだ。
「お前達が射線にいたんだ、動き回っていたからな。」
機銃を担当している人間も苛ついていた。
「……そうか。」
アシュクからの通信が割り込む。
「大尉、敵機が離脱します!武装も解除している!」
「逃げるのか。」シャキリはため息をつく。
レナは叫びながら、機体を飛ばす。バイタルの異常を検知して、パイロットスーツの左腕から警告が流れていた。
ただここから消えたかった。
「大尉、追いかけて追撃を?」
ミレンが機体を乗り出して言う。
「インペネスにやらせる。」
シャキリはマシーンのコンピューター部分を動かして、機銃担当に通信をする。
「敵機逃亡、数は1。繰り返す、敵機逃亡、数は1。誘導ミサイルを要請する。」
「了解、珍しいな。」
機銃の男がそう言って、インペネスの腹部辺りから音共にミサイルが現れる。
短い会話の後に海域で爆発が起きた。
「敵機撃墜、殲滅完了。」
司令室が小型モニターに映し出され、オペレーターがそう言った。
「任務完了。シャキリ隊、インペネスに帰投する。」
「了解。」シャキリのセルヴスが腕を振り上げ、その後に2機が続いた。
インペネス艦長、メノクス・ハナダ大佐が伝える。
指揮官専用の部屋にはシャキリが立っていた。
「シャキリ、今後あのような戦いは避けてもらう。戦術を責めているのではない、宇宙とは違うと言っておく。」
この人間の声音から叱責はない。シャキリは視線を逸らした。
「了解いたしました。」シャキリは短く答えた。
「タイタニスと合流する。逃げた巡洋艦を叩く。」
メノクスが言った。タイタニス、つまりあの男がいる。




