戦艦ノアとイスィーズ隊
機体は急速な加速を行って、軋む。地面に引っ張られているから、加速をかける必要もないように感じるが、目の前の機体が雲を抜け、ようやっと家々の屋根を背景に移し出すと、ヴァレンの焦燥は一層強まる。
「アダム、そんなことはやめて、このままではあなたも墜落する!」
イブはそれを追いかけるようにしながらも、機体はヴァレンのものより遥かに高度を取り、減速も行っていた。
それがごく自然であり、速度を上げることなど自殺行為だった。
「そうは言っても!」
ヴァレンの声は焦りが滲み、機体はさらに加速をかける。
「飛び道具がないから…」
イブは自身の武装に、初めてやるせなさを感じた。
「アダム、機体に潜り込んで回収なんて無理よ、被害を抑えるならば…」
「でも、あの中の人間は生きてるぞ。」
ヴァレンにも薄々と実感はあった。このままこの機体を追いかけているだけでは、埒が開かず、街に行く被害をただ見下げているだけであると。
機体はマシンガンを構え、片腕がそれを補助するように動く。操縦桿の間に挟まれたコンピューターとその画面は、照準の役割を担い、落下するマシーンの胸を捉えていた。
「こんなもの…認めたくはない!」
操縦桿の、マシーンの人差し指を担うボタンを押し込む。
モニターの右が輝き、ヘルメットは防音の役割をした。
「パラシュートを使って脱出を!」
セルヴスのパイロットは、警告音に心臓を跳ね上げられる感覚を味わいながら、ハッチを開けるボタンに手をかけた。
その刹那、コックピットが破裂し、機体は霧散した。
街に、破壊された手足が墜落していった。
「あの機体、街を爆破したのか!」
イスィーズは敵艦と敵機が撤退していくのを確認した後、サウサンプトンの街が所々燃えているのをモニター越しに確認した。
そのモニターには、ヴァレンのドミティアンとそれより上の高度にいる、イブのドミティアンがあった。
巨大な戦艦が、自分達のヤックヌーへ近づく。
無限に見えた弾幕は収まり、その戦艦は通信回線を開く。
「繰り返します…私は女王メサイアであります。貴公らに敵対する意思はありません。」
「メサイアだと。女王が乗っているのか!」
イスィーズは部下の一機を手招きし、機体の側に寄せる。
「ブリッジを確認しろ、万が一にも録音を使っているならば、このままあの艦は爆破する。」
隣の機体が敵艦へ向かっているのを確認して、イスィーズは高度を取る。
ヤックヌーとその機体達は、ノアを取り囲むようにして、武装を構えていた。
「隊長、本当にメサイア様が!」
イスィーズは信じたくは無かった。
「女王、なぜあなたがいながら、あの戦艦の機体は街を爆破したのです。」
歯を食いしばって、その戦艦の格納庫へ向かった。
最新話の更新頻度が日に日に落ちてしまっていて大変申し訳ありません。自分の中でもどういう話にしていきたいのかわからなくなっている部分もあります。また、文章のクオリティという面も見直していかなければならないと感じています。更新頻度は前と比べ、落ちてしまいますが、やりたい事や構想は決まっているため、できるだけコンスタントに投稿していきます。これからもよろしくお願いします。




