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第二の星で  作者: ぷりお
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一息ついて


「メロー、ですからこの艦と、テラーストュートと手を取り合う時だと言っているのです!」

メサイアはジーネン、クリス達を背にして、ブリッジで叫ぶ。


モニターには、白髪の、しかし厳格な顔つきのメローという男が映っていた。


「女王、しかし我々はあなたを人質に取られていると言ってもいい。テラーストュートとは…」

「なんて頭の固い人。自国の兵士だけで戦った結果がこれです。三つの都市が落とされたんですよ。次は首都に向かってくるはず!」


「しかし、その者達の真意もわからんのです。女王。戦況を見て、迎えの者を送らせます。では。」

プツンとモニターが真っ暗になる。


「交渉は難しそうね。補給をしたかったけれど。」

ジーネンが後ろから呟いた。


「メローはいつもあれなんです。だから私は王宮に閉じめ込められていたんです。フェスターやダッケルならばもう少し融通は効くのだけれど。」

メサイアは首から下げたペンダントを撫でる。


「そのフェスターって人と通信は取れないんですか?」

ヴァレンはクリスの座席にもたれかかっていた。


「フェスターは数日前から行方知らずと言っていたけれど、おそらくマンチェスターかレディングのどちらかで死んでしまったのかも知れないわ。」

メサイアの瞳は揺れ、心細さを感じさせる。


「まぁ、この艦にいる間は我々が守りますよ。まさかこの国の女王様だったなんて。」クストが後ろからきて、メサイアの肩に触れた。


「ありがとう。フェスターの残存部隊に接触してくれませんか?数はあるはずよ、彼はメローに信頼されていたから。」

メサイアはジーネンに目配せをする。

綺麗な金髪でまつ毛も長く、肌は白で、瞳は青い。唇は健康な赤だった。


クリスとスタームはそれを見て目線を逸らしてしまう。

ジーネンに睨まれていた。


「国の女王様ってあんな気楽に触れていいのかな。」

ヴァレンがクストの様子を見て、隣にいたイブに声をかける。


「相手が許してるならいいんじゃない。」

イブは窓を眺める。

サリー州の豊かな森や泉は、炎で埋め尽くされていた。


「思い出にしてたって、きっかけがなくなってしまってはね。」

「……?」

イブは何かを呟いたようだが、気にしないことにした。


「そのフェスターという人間の部隊がどこにあるかはわかりますか?」

ジーネンがメサイアに目配せををする。

再び金髪がそちらを振り向く。


スタームとクリスが頬を赤く染める。

こいつらは後で殴ろう。


「具体的にはわかりませんが、ロンデイルの近くの都市には少数配備されていた筈です。」


「手当たり次第というわけですね。ここから近いのは、ブライトンかサウサンプトンね。」

ジーネンは座席のボタンを操作する。ブリッジが少し暗くなり、青色のホログラフィックでイギリスの地図と、自分達のポイントが示された。


「サリーを襲った敵艦の後もつけましょうよ。あれが現存の戦力と集合されては困る。」

正気に戻ったスタームがジーネンに視線を向ける。


「そうね。首都で戦うことになっても、戦力は減らしておくべきね。現存戦力はマンチェスターに集結している。だからサウサンプトンへ向かえば、境界線で接触できる筈。」


「メサイアさん。仇は取ります。」

ヴァレンがメサイアを見据える。


「ありがとう、アダムさん、皆さん。」

メサイアはペンダントを握って微笑んだ。



「ナーケル准尉、ご苦労様であります。」

メカニックがアコニットの胸元のクレーンで敬礼を行って待機する。


「あぁ、ご苦労。この機体、ビーム兵器を使ったら、一度で肩が焼き切れたぞ。」

ナーケルは黒と薄緑のパイロットスーツに身を包んでいた。


アコニットを見上げると、丸い肩の穴が、所々焦げているようだった。


「当たり前ですよ。あれほどのレーザーを一度に射出するんですから、しかもあれは操作を間違えると自分も巻き込まれます。」

メカニックはコックピットを見て、異常無しを確認してから、機体の側のコンピューターを操作する。


「それは無い。しかし、一度しか使えんのでは無いようなものだ。なんとかしてくれ。」


「なんとかと言われても…」

言葉を待たずにナーケルはクレーンを下げる。


「はぁ…なんで元テラーストュートのあいつに手を貸さなければならん。」

メカニックはぼやいて、コンピューターを眺めていた。


タイタニスのブリッジの扉が開く。

パイロットスーツを着たままのナーケルが立っていた。


「ナーケル准尉、ご苦労。」

マックスはマイク付きのヘッドホンを外して敬礼を行う。


「初陣にしては中々やる。少佐がいない間はお前が我が艦のエースだ。次も期待している。」

サラスも座席に座りながら、軽く敬礼を行う。


「それはどうも。」ナーケルも敬礼で返事を行う。


「中将、あまりおだてては…」

マックスがサラスに一瞥する。


「わかっている。しかしこいつは本当にやるぞ。」

サラスは顎の辺りを触って満足そうにしていた。


強化人間が、並の兵士と同等では困る。とマックスは内心で毒づく。


「准尉、ミーティングだ。こちらへ。」

マックスはナーケルの背中を叩いて、ブリッジを出た。

ナーケルもそれに続き、扉が閉まる。


「中将、所属不明の艦がこちらと同じルートを取っていますが。」マックスの隣に座っていた男が振り返る。


「ふん、尻を追いかけるようなものなんてな。相手にせずにマンチェスターへ向かうぞ。」


「はっ、それとマンチェスターのインペネスから、首都近くの泉で、手足が切り離されて放置されていた敵機を回収したと連絡がありました。我が艦の強化人間研究施設を使用したいと。」


「中にパイロットがいたのか。」

サラスが呟く。

「はい。捕虜として捕らえていると。」

「構わん。急拵えの施設だが、一人なら強化できる筈だ。インペネスに伝えてくれ。」


「はっ」と短く返して、男は作業に戻った。


その人間がこの国の者であるならば、強化すれば性能は期待できるな。

サラスはニヒルに笑っていた。


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