人の強さをもってして
朝になった。太陽が姿を晒すと言うことは、今日の適性検査の落選者達を1人残らず殺すということだ。
シャキリは部屋の洗面台に唾を吐き捨てる。
その目は、確かな決意をもって、片目であってもそれはしっかりと感じられた。
「すべては帝国のためだ。あの無責任な姉が、家を出ていってから、私が決めたことだ!あのような女を私の手で持ってして、握りつぶしてやると決めた!」
シャキリは鏡に向かって叫ぶ。
格納庫に向かうと、ガルーラが機体の側でうずくまっていた。
「大尉……」ガルーラは瞳の周りが赤く腫れ、目の下には隈が出来ていた。
「メカニック共が、アコニットとセルヴスの整備に取り掛かる。お前がそこにいては邪魔だ。」
その発言を聞いて、ガルーラはシャキリの胸ぐらを掴み上げた。
「あんたはそんなことばかりだよ!最初からそうだ!あんだが殺したんだぞ!あんたが壊したんだぞ!街一つをあんたがやったんだ!それで、ルーラさんやミィカちゃんは、死ぬんだ!」
ガルーラは目から涙を溢れ出し、泣き叫ぶ。
震える手を握り、ガルーラを思い切り殴り飛ばす。
ガルーラの目は震え、機体に叩きつけられて呻いた。
「わかりきったことを抜かすな!これが戦争を起こす前に覚悟したことだ!それに抗って戦うから反骨精神だ!
反骨精神なんて言ったら聞こえが悪いが、それが生きる力だ!家族だなんだと言うのはそれを緩める、緩めることを許せる人間は強いさ、しかし、その強さをも持つことができない人間は、孤独の中でそれを育めよ!」
シャキリは叫び、ガルーラを掴み上げる。
「あんたは人でなしだよ!最悪だ!」
ガルーラは手を振り払おうと暴れる。
「アシュクも、トーガンも、貴様もそうだ。一般人と触れ合って、それをさも癒しであるかのように!癒しを求めるのは後でいい!癒しだなんだと抜かすお前達は、なぜ産まれる直前の生存戦争の過酷さを思い出せない!篩いにかけられ、競争相手を叩き落とす強さを持ってして、なぜ今生きるのが辛いと感じるか!」
「やれ!帝国のためだ!殺せ!強さのためにだ!そのために貴様は軍人になったと知れよ!」
叫びに釣られ、瞳が熱くなる。
ガルーラはしゃっくりを引き起こし、それを驚いたように見ていた。
「無益な人殺しなら、死んだほうがいい!」
ガルーラは再び叫びながら、シャキリの頬を殴った。
「人を殺してそれで逃げてるだけで、ゴタゴタ理屈を並べるな!」ガルーラの顔はぐしゃぐしゃだった。
「死にたいと消えたいを混同するか!それならば死んでみろ!貴様らは生まれたいと願うだろうよ!」
シャキリは叫んで、格納庫から走り出した。
騒ぎを聞きつけ、メカニック達が寄り始める。
後から来たアシュクとトーガンがガルーラを慰めているのが見えた。




