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第二の星で  作者: ぷりお
16/53

人に触れて。

富野由悠季監督は、自分の好きなキャラばかり書き続ける作品はダメと言ってました。

富野作品に比べたらワシはカスや……

「大尉、お疲れ様でした。」

アシュクとガルーラが機体の麓でシャキリを出迎える。

「あぁ。」シャキリもアコニットから降り、短く答えた。

「少尉、メットの清掃と、新品の申請を出しておけ。」

シャキリが足早に去ろうとした時

「大尉、あなたは……」

「…あなたはこんなことして、心が痛まないんですか!」

「こうやって罪のない人を……」

頬に痛みが走る。

シャキリがガルーラを叩いた。


「うっ……」

ガルーラは地面に叩きつけられた。

ガルーラの目から涙が落ちる。

「少尉、命令ならば、階級を上げてから行え。それまでこの隊の指揮は私だ…。」

シャキリは呟く。


「街を歩けば分かるんだ、焦げ臭いんですよ。大尉。

人が焼けちゃった臭いがするんだ。インペネスに入ってる民間人の人はそれを嗅いで避難してきてるんですよ。」

ガルーラはえずきながら話す。

「おい、ガルーラ……もうよせよ。疲れたんだろ?」

アシュクがガルーラの肩を持つ。


「二人とも、機体のメンテナンスをしておけ。」

「はっ!」

アシュクが敬礼をする。

ガルーラは地面に座り込んでいた。


シャキリがインペネスに入る。

インペネスには民間人が収容され始めていた。

全員俯いて、誰も笑顔の者はいない。廊下で嘔吐をし、兵士に殴られる者もいた。


「いやっ……やめて!」

女の声がする。

その後に二人の男の声。

インペネスの兵士ブロックの部屋だ。


「……?」

シャキリは音の元へ向かう。

薄暗い部屋で、女性が男二人に腕を掴まれていた。

女性は涙目で、服がはだけていた。


「おい、貴様ら何をしてる。所属はどこだ。」

扉に立ったシャキリが言う。

腰のものに手を当てる。


「………大尉。」

大柄な男が呟く。目を見開き、シャキリを見据えていた。

「この通り、民間人が道に迷ってたので案内をしようというのです。」

側の男が笑いながら言った。

「その割には、震えているな。」

シャキリが吐き捨てる。


「大尉も一緒にど………」

破裂音。

「ひっ……」

捕まっていた女が悲鳴にならぬ声を出す。


シャキリの手に煙を上げた拳銃があった。

「大尉なにを!」

もう一人の男が言う。

もう一度破裂音。

バタンと音がして、死体が2つになった。

「人権というものがある。民間人にもだ。帝国の沽券に関わる行為は見過ごせん。」

シャキリが見下ろしながら言った。


女は座り込んで震えていた。

「あ、あの腰が抜けて……」

女が途切れ途切れに言う。

「……手を貸す。」

シャキリが女性を支えた。

「あの、ありが……」


メモとペンが差し出された。

「この紙に名前を。始末書の発言保証人になってもらう。」

「…は、はい。」

女性が名前を書くのを待ってから。

「ご協力感謝する。一般人エリアはG-7……

突き当たりを出て右に真っ直ぐいけ。」

シャキリは振り返らず、去っていった。



「本当にこれは解放戦争だったのですか?大尉。」

バジーリオが着陸したストラッズ艦を出ながら言う。

「そうだよ、少佐。このマンチェスターは帝国人民が多く拉致されていた。それをロイヤルミーレスの手から解放して、今インペネスに収容ということだな。」

ラッツェルが答える。

「それにしては、あまりにも人が死んでいる。」

「探偵気取りはやめてくれよ。抗争で民間人を巻き込んでしまうのは当然だ。」ラッツェルはバジーリオに戻るように促して、艦のハッチを閉じた。



ガルーラが俯いて廊下を歩く。

声が聞こえた。泣いている。

「このガキ、さっさと歩けよ!」

兵士の怒鳴り声。


追うと、小さな女の子がいた。

「君、どうしたの。」ガルーラが屈んで声をかける。

「新入りか。あとは頼むぞ。」

兵士は唾を吐いて去っていった。

「怖いおじさんが、ごめんね。」

「…………」

黙ったままだ。

「お兄さん。兵隊さん……?」

「……そうだよ。」

ガルーラは目線を合わせて、ポケットを探った。

紙屑しか出てこなかった。飴もポケットに入れておけないのだ。

「あのね…お姉ちゃんが………おね……」

子供はまた泣き出してしまった。

「ここの……攻撃で?」

「………?」

通じる訳がない。言葉がでなかった。

「お父さんと、お母さんは……?」

最悪な質問だ。

「…お姉ちゃん…だけだったの……!」

さらに泣いてしまった。


俯くしか、できない。


「おい、何をしてる。」

後ろから聞き慣れた、声が聞こえる。

「大尉。」シャキリだった。

「大尉、この子が……」

「民間人ブロックに行かせろ。」

シャキリは腕を組んで子供を一瞥する。


「一人では、無理ですよ。」

子供を側に寄せて、シャキリには背中を向ける。

下手したら子供を殴るんじゃないか。

「……連れてこい。」

シャキリが前を歩き出した。


「大尉、もっとゆっくり歩いてくださいよ。」

手を繋いだ子供がまだ大声で泣いている。

「……運べ、お前が。」


ガルーラはムッとする。あなたの被害で全てこうなってるとは言えなかった。

道中、シャキリは子供が泣いても、手を繋ごうとして腕を引っ叩かれて拒否されても、ずっと困り顔をしていたからだ。


「ごめんね。」ガルーラが言う。

泣きじゃくりが、返事になる。

子供に肩車をする。少し落ち着いたようだった。


「もうすぐだ。」

シャキリが言う。

扉を開けた、広いホールに人が押し詰められている。

全員の視線を感じる。


「おい、あれここの軍人か?」

「え、あの服って…」

「なんであんな子供を連れてるんだ。」

「ははは、まぁ軍人だからな!」

下品な視線に晒される。


「大尉、これって。」

ガルーラが周囲を見渡しながら、胸焼けを振り返す。

全員、泥と煤だらけの顔で包帯を巻かれているものもいた、腕だけでない、顔全体だ。

「………」

シャキリは黙ったままだ。

「うっ…お姉ちゃん……」

シャキリが僅かに、俯いた。

「大尉、ここにこの子を置いていくんですか。」

「当たり前だ。それ以外あるか?」

シャキリがこちらを向く。いつもの不機嫌そうな顔。


「……生きていけませんよ。」


「…………。」

シャキリは黙る。 

「おい、そこの軍人さん。」

煤で汚れ、ボロボロの服の中年の男に声をかけられる。

「なにか。」

シャキリが答える。

ガルーラと子供は反射的にシャキリの後ろに隠れる。


「お前達がここに来なければよ。俺たちは平和に暮らせたんだ。どう落とし前つけてくれるんだ。」

シャキリの胸ぐらが掴まれる。


「お前らなんか死んじまえよ!この侵略者供が!」

「帝国だなんだ知らねぇけどな。人を殺してよくのうのうとここを歩くよ!」

周囲からも賛同の声が上がり、物が投げつけられる。

補給物資の缶詰や飲み物だ。


シャキリは黙ったまま、ガルーラと少女を庇うようにする。

女の子はまた泣き出してしまう。

「うるせぇ餓鬼だな!そこの軍服着たチビ!テメェも……」

「私を大尉と呼んだのが聞こえただろう。責任は私にあるな。」

シャキリが口を挟む。

「こいつが上司の可能性だってあんだろ。」

男が反論する。

「良い視点だが、言葉遣いも学ぶべき……!」


シャキリが殴られる。

地面に倒れ込み、中年の男が乗り掛かった。

「やかましいんだよ!死ね!この宇宙人どもが!」

殴った男が再び拳を振り上げる。

「お前達が……お前達が来なければ……」

男から涙が溢れる。

シャキリにそれが落ちる。



シャキリはずっと黙ったままだった。

「もう…やめ……」

ガルーラが言いかける。


「もうやめてください!」

女の声。

シャキリが視線を向ける。

「お前……さっきの。」

シャキリが口を開く。

「この人は…そんな人じゃないんです。私を助けてくれたんです。」

女も泣きそうだった。

ガルーラの側にいた女の子がガルーラの腕から抜けて、

そっちに移動する。


「お姉ちゃん…グスッ…泣かないで。」

女の子が声をかけながら、その女性の頭を撫でた。

「もう……いやっ……」

女が泣き崩れる。

「お母さん!……お父さん!……」

女の子は必死に慰めている。


「嬢ちゃん……ごめんな。」

男がシャキリから手を離し、慰める。


「ガルーラ、行くぞ。」

シャキリは立ち上がってガルーラの肩に手を置く。

「大尉……。」


非戦場的な空間に、蓋をした。




シャキリ、痛い目を見ろよ。

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