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虹の架け橋

 バスは動き出し、暗闇の世界から徐々に光があふれてきた。


 どうやら次の目的地が近づいてきたらしい。


 ガイドの説明によると、最初の停車場所は、虹色の花が咲く、天界の楽園。

通称「虹の架け橋」だ。


 空から下界に向けて、一本の虹が架かっており、天使が何らかの事情で、下界へ降りる際は、常にここを通るのだという。


 また、人が神に選ばれ、天使になった場合もここを通り天国へ向かうのだとか。

 

 窓から見える光がさらに強くなる。

 

 どんどんどんどん光が強くなり、景色が一気に広がった。

 長い長いトンネルを抜けた、あの感じによく似てる。


 光に慣れてきて、最初に目に飛び込んできたのは、七色の花畑と青い空、そして、空に浮かぶ一本の大きな虹だ。


 うわぁ…。


 電線の無い見渡す限りの大空に、こんな大きい虹は見たことがない。美しい。

 久しぶりに胸の高鳴りを感じる。

 星雲の丘に勝るとも劣らない絶景だ。


 イグルーも俺の膝の上で大はしゃぎだ。


 バスの外に出ると、大きな虹は、少し離れた丘の上から架かっていることがわかった。

 走って近づくとその麓には、虹色の花が至るところに咲いていた。

 見た目はマーガレットに似ているが、一枚一枚、花びらの色が異なる。

 これが、七色の花畑の正体か…。


 「ここの虹は、消えることがないんですよ。」

 天使が飛んできて俺に近づいて言った。 


 「へえ、何か理由があるの?」

 そう聞くと、天使は嬉しそうな顔をした。

 しかし、この天使、可愛くて、近づかれると照れる。 


 「この虹は、世界で最も偉大な神と言われた『ミスティア』の遺品である、彼の首巻き(マフラー)でできているんです。」


 「ミスティア…。」

 またかミスティアか…。しかし、この馬鹿でかい虹がマフラーって…。

 ミスティアってどんだけでかいんだよ。


 彼が、天使を地上に使いに出すときに、このマフラーを首元から解き、空にそっと投げ上げると、マフラーが空に溶け、このように虹ができたのだと言われています。


 「あぁ、虹をそのまま首に巻いてたわけじゃないんだ?ミスティアって随分巨人なんだなって思ったけど。」


 「ぷっ、そんなわけないですよ。ミスティアは、私たちと同じくらいの大きさですよ。」


 「見たことあるの?」


 「私が天使になるときに、一度だけですけどね。」


 ほえー、凄いな。ルナが聞いたら喜びそうな話だ。


 「まぁ、ですので、この虹は地上への道標といったとこです。」


 「あっ、ミスティアってさ、死んだんじゃないの?」

 みんな、ルナもドリーも100年以上も前に死んだって言っていた。


 「ええ、亡くなっています。ただ、亡くなってもこの虹は消えることなく今も存在し続けています。」


 神の遺品というやつか…。


 「こんな話もあります。ミスティアは、この橋を使い、亡くなる寸前に一人の天使を地上に送り出しました。そして、そのまま息を引き取りました。」


 「その天使は、なぜ地上に行ったのか。その天使が何をして、今どこにいるのか。それは誰も知りません。」


 ふうん。

 その天使は、まだ下界に居るのだろうか。

 居るとしたら、どこかで出会いそうな気がするな。勘だけど。


 ん?

 少し離れたところに、ドリーたちが集まっている。

 

 近づいてみると、一つの肖像画が飾られていた。


挿絵(By みてみん)


 気になった俺は、天使の顔を見ると、また微笑んで話をしてくれた。


 「これは、翼が折れた天使を天界まで運んできた、若き飛行士を描いたものです。」


 「彼の名は、ラックス=ストール。人間です。」

 「生きたまま、消えない虹を辿り、この天界に入ってきたのは、彼が最初で最後と言われています。」


 天使を天界へ送り届けたパイロット…か。

 あれ?どこかで聞いたような話だな。


 「しかも、凄いのは、彼、片目が失明していて、更には、左腕が全く動かなかったらしいですよ。」


 へぇ、凄いな。

 良く知らないけど、パイロットで片目が見えないって結構きついんじゃないか?

 片目で車運転すると疲れるし…。それのグレードアップ版だろ?


 肖像画を見ると、確かに片目が眼帯で隠れていて、左腕には黒い包帯が巻かれている。

 しかし、イケメンだな、こいつ…。


 「ラックスは、天使を主であるミスティアに送り届け、ミスティアからある褒美をもらったとも言われていますね。」


 「褒美?何を貰ったの?」


 「それは、私も知りません。ただ人間でミスティアと会い話したことがあるものは彼くらいのものでしょうね。」


 ラックスね。覚えておこう。ルナに土産話ができたな。

 

 「何年前くらいの話なんですか?」


 「もう百年以上前の話ですよ。」


 百年か、流石にもう死んでそう?ということは、天国に居たりして?

 そう思い聞いてみたが、まだこちらには来ていないらしい。


 まだ生きてるってことかよ。

 全く、この世界のやつの寿命はどうなってるんだか。

何となく思い付きで書き始めたこの話も、今回で50話となりました。

これまでお読みいただきまして、本当にありがとうございます。

今後も少しづつ好きな話と好きなキャラクターを描いていけたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


キャラクター紹介


・ 葉山水希(ハヤマミズキ)

  略歴 この物語の主人公。突如理由もわからず、異世界に召喚されたサラリーマン。

     元の世界に戻るため、自分を呼び寄せた召喚師を探す旅に出る。

     召喚時に持っていた前の世界の食料を食べることで特殊な能力

    (竜人化、焼き尽くす息、ほろ酔い)を身に付ける。

  性別:男 年齢:31歳 血液型:AB型 身長:180㎝ 体重:70㎏

  好きな食べ物:パスタ、レモン、チャイナブルー

  嫌いな食べ物:なし

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