【閑話】クローバー伯爵
今回は挿絵付きになります。
かなり昔に描いたものですが、まだ魔物になる前の若かりし時の伯爵です。
クローバー伯爵
産まれながらに紋様をその身に宿すものは絶大なる魔力と知力を持つ。
貴族の名家であるクローバー家の当主は、代々その身体にクローバーの紋様を宿していた。
ある者は右腕に、ある者は左足に、ある者は首筋に。
そして、稀に目の近くに紋様を宿す者がおり、その者は特に強い魔力を持っていた。
左目に紋様を持つ者、クローバー家13代目当主、クロス=クローバーは、その代表的存在である。
貴族の家に産まれ、なに不自由なく育った彼は、産まれ持った魔力と知力で次々と功績を残し、二十歳の時、伯爵の位を手に入れると同時に親元を離れ独立する。
独立後、彼は「遺伝により継承された細胞の復元について」と題する研究論文を書き、発表するが、この内容が人知を越えた、禁忌に触れるものであるとされ、貴族の身分を剥奪。その後、その身を追われることになる。
彼は膨大な魔力を駆使し、自らの館を霧で覆い、残された財力で独自に研究を進め、自らの体を使い細胞の遡りを始める。
彼は自分の中にある細胞のうち、先祖から色濃く受け継いだ細胞を活性化させ増殖することにより、過去に存在していた自らの先祖の優れた力を自らに取り込むことに成功する。
先祖を遡り、優秀な細胞を取り込むという行為は、少しずつ彼を強大にした。
しかし、その方法は時間がかかりすぎることがわかった。
千年ほど遡った時、彼はすでに五十歳を越えていた。
彼が幸運だったのは、寿命が尽きる前に、彼の先祖、それも比較的新しい者のなかに魔族がいたことである。
基本的に短命である人間に比べ、魔族は長寿の者が多い。
そして、彼の先祖もまた、二千年という長い寿命を持つ者であった。
彼は魔族の細胞を取り込むことにより、不老で長寿の体を手に入れる。
そしてその後も、様々な魚人、獣人、魔族、魔物等の力を自らのものにすることに成功し、彼はついに、最初の人類の細胞にたどり着くことに成功する。




