アジト到着
それにしても盗賊王のアジトねぇ…。
千人もいるような盗賊団の本拠地に、子供とキリンと俺のたった三人がピクニック気分で行って、本当に大丈夫なんだろうか。
それに…。
「ん?」
たいそう大きな荷物を抱えたルナがこちらを見た。
「ルナ、その卵も持っていくつもりか?」
「当たり前だ!生まれたとき誰も居なかったら可愛そうだろ!」
「そ…そうか、いや重くないならいいんだ。」
ドリーはと言うと、鼻歌を歌いながらお気に入りの赤の弦楽器の手入れをしていた。
こいつら、完全に観光気分だ。
別に悪いとは言わん。
ただ、せめて俺くらいは最低限の装備は整えて行こう。
そう思い、俺はいつものように曲刀【銀月】、ナイフ、首飾りを身に付け、一応の旅支度を整えた。
そう言えばこの首飾り、ルナが魔除けに効くと言っていたな。
月と星のシンボルをかたどった首飾りはリダの街を出発する時にルナから貰ったものだ。
今まで竜以外のモンスターと出会っていないのもこれのおかげなのかもしれない。
まぁ、いいや。
さて、行きましょうか!世界一危険なベストスポットへ!
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「はぁはぁ…。なぁ、あとどれくらいだ?」
険しい林道を進みながら俺は赤蟻に尋ねた。
「もうちょっとだ、もうちょっと。」
この野郎、また、もうちょっとか…。もう、もうちょっと10回目だぞ。
これは、もうちょっと詐欺だ。訴えたら一割くらい何らかのものが貰えるかもしれん。
くそ、本当にこんなところにアジトがあるのか?
俺たちは赤蟻に案内され、砂漠の国「moon night」の端にある森をひたすら突き進んでいる。
太陽の沈み具合から見ても、かれこれもう3時間は歩いてるだろう。
すぐ近くと言うから馬車を置いて歩くことにしたが、どうやら失敗したようだ。
いや、この険しい道から考えるとどちらにせよ馬車で行くのは無理か…。
ちくしょう。喉が渇いた。
贅沢は言わないからせめて水が飲みたい…。
「なあ、ルナ。ほんとにこの先なのか?」
「ん?こんな森の中を歩いたような気もするから、そうなんじゃないか?」
ルナは何ともない様子で、ひょいひょいと道を歩いている。
「はぁはぁ、ルナさん。それ重くないんですか?」
ドリーがルナに尋ねる。
そうなんだよ。
ルナはここまでず~~~っと20キロ近くもあるあのバカでかい地竜の卵を抱えながら歩いてる。
そして背中にも馬鹿でかい聖剣を背負ってるんだ。
「ん?ああ、ちょっと前が見えにくいかな。」
「いやそういうことではなく…。」
「ドリーもういいんだ。諦めよう。」
「そ、そうですね。」
「あ、ミズキさん。み…道はあってると思いますよ。水場がだんだん近づいているので…。」
「ドリーそんなことまでわかるのか?」
「な…何となくですけどね…。」
そう言えば聞いたことがある。
アフリカゾウの長は、乾期で近くの水場が枯れ果てたとき、数百キロも離れた水場の位置を嗅ぎ付け、そこへ群れを移動させるとか…。
ドリーはキリンだがそう言った野生の感覚を持ち合わせているのかもしれない。
野生…恐るべし。
「おーい、着いたぞ、この先だ。」
赤蟻が、指さした向こう側に湖があるのが見えた。
「おおおおおお!!!」
「ミズキさん!」
「ドリー!!」
俺たちは、我先にと駆けだした。
着いたとなれば不思議と疲れはぶっとぶもんだ。
「おお!!」
「こいつは凄い…。」
辺り一面に広がるガラスのように澄んだ湖。
その真ん中に浮かぶ円形の小島。
そして、その上に立つ石造りの城。
白い外壁と青い屋根。どことなくギリシャのサントーニ島を思い出させる作りだ。
もっと要塞的な無骨なアジトをイメージしていたが、これは…。
「これは凄いですね…。」
ドリーも目を輝かせている。
「ふふん、まあまあだろ?ただ色がいまいちなんだよな。」
「俺は全部赤く塗っちまおうって言ったんだけど、シャドの奴、『お前の部屋の扉を赤くしてやるからそれで我慢しろ。』だってよ!ったく、わかってねーよなぁ。」
「お前ほんとに赤好きだよな。」
「カッコいいだろ!やっぱり何でも赤が一番だ!」
そう言って赤蟻は自前のマントをはためかせた。
んー、まぁ、確かに戦隊ものでは赤がリーダーっていうのが定番だけど、この景色には合わんだろうなぁ…。
そんな話をしながら、城へと進んでいくと、城門の前に大男が立っていた。
でかいなこいつ。いや、てかでかすぎだろ…。
3メートル以上ある城門よりも背の高い大男が、斧を持って立っていた。
すっげえ…。何食ったらこんなになるんだよ。俺の三倍はあるぞ。
(「ミズキさん、巨人ですよ!巨人!私見たの初めてですよ!」)
ドリーが小声で話しかけてきた。
(「お、おう。だ、だな。でっけー…。こいつは、やっぱり幹部ってやつなのかな?」)
「客か?珍しいな…。」
大男が俺らを見て言った。
「おう。ラビはいるか?」
「城を出ていないから、たぶん中にいる。」
声にも迫力があるぜー。強そうだ…。
こいつがこの間出てきてたら、俺たち死んでたんじゃないか?
「ん?なんだ、その卵の…、うわぁ!!!お…お前!こ…この前の子供…!!!」
『ドシーーーン!!!!!』
急に巨人が腰を抜かして地べたに尻餅をついた。
何だ何だ?
「よう!!」
ルナが巨人に話しかけている。
そう言えばルナは一度アジトに乗り込んでるんだっけか。
この門番の怯え方を見ると…。
うん…。もう考えるのはやめよう。
城内に入ると、いかにも悪そうなやつがゴロゴロ居た。
人間に獣人、鳥人、巨人、モンスター…。選り取り見取りだ。
そして、困ったことにどいつもこいつもこっちに興味津々だ。
物珍しそうに遠くから眺める奴はまだいいが、中には敵意丸出しって奴もいる。
しかも、階段を上がるごとにどんどん雰囲気やばくなってないか?
この感じ。わかりやすく言うとこうだ。
高校1年生で不良校に転校してきた俺は、教頭先生の案内で校内を見て回ることになる。
1階には1年生、2階には2年生、3階には3年生のクラスがあり、その廊下を歩いていく。
廊下でタムロしている上級生が俺を睨み付ける。ガムをメジャーリーガー並みにクッチャクッチャしながら…。
さて…、目的のところには俺はちゃんとたどり着けるのでしょうか?
なんて考えていると4階への階段の前で赤蟻が立ち止まった。
「ここから先は幹部連中の私室だ。普段は幹部しか入れない…が、まぁ、今日は特別だな。」
差し詰めここは立ち入り禁止の屋上ってところか…。
幹部連中ってことは、黒影も居るんだよな。
どきどきしてきた。
ドリーの顔からも笑顔が消えている。
ルナは…、卵で顔が見えん…。
4階に上がると、そこには8つの扉と、奥にもう一つ、そして最奥にもう一つの扉があった。
扉は色分けされており、奥の赤い扉の部屋が赤蟻の部屋だとすると、恐らく最奥の黒い扉の部屋が黒影の部屋だろう。
赤蟻は、奥から4つ目の青色の扉の前で止まった。
「ここがラビの部屋だ。怖いから注意しろよ、怒られても知らないぜ。」
そんな恐ろしいことを言って赤蟻はガチャリとドアを開けた。
仕事の転勤等でバタバタしており、更新できずすみませんでした。
やっとネットも繋がりましたので、また少しづつ書いて行ければと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。(o*。_。)oペコッ




