↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/51

【閑話】死神殺しの少年

【盗賊王『黒影』のアジト】



 昔の夢を見た……。

 俺がまだ赤ん坊の時の夢だ。

 

 砂漠の真ん中で、俺は死にかけている。

 喉が渇いた。水が飲みたい。

 そう思って、砂漠を彷徨っている夢だ。

 

 聞き飽きた砂の音と身がよじれるほどの乾き。

 死と常に隣り合わせの感覚。

 出生と同時に砂漠に捨てられた俺にとって、その感覚のみが生だった。


 ただ、その感覚も次第に失われ、目を開く力も無くなり、瞼が閉じていく。


 そんな中、誰もいない砂漠に、俺のすぐそこに、黒い布を纏った大きな男が立っていた。

 右手にその大男の身の丈ほどもある鎌を持ち、俺を見て笑っていた。

 

 「私は死神『ローラン』。あなたの来世に幸あらんこと。」

 

 そう言って、死神が大きな鎌を振り上げるのが見えた。

 

 「ああ、死んだな。」と思った時、身体が勝手に反応した。

 死神が鎌を振り下ろすよりも早く、俺の腕が男の体を貫いていた。


 何が起こったかはわからない。

 ただ、命を奪いに来た死神を殺したことで、俺は以後死ねない身体になった……。 


___________________


 「シャド?」


 目を覚ますと、真っ赤な服を着た男がこちらをじっと見ていた。

 

 「おはよう、ガン。」

 

 『ビッグ=ガン』。うちの盗賊団『黒影』の副長をやっている男だ。

 そして、殺戮街で出会った俺の最初の友人だ。


 背は小さく細身の体にもかかわらず、うちの一団では誰よりも力が強い。

 その小さくて怪力、そして赤い服をこよなく愛するというところから、巷では『赤蟻』と呼ばれている。


 「うなされていたけど、何か怖い夢でも見たのか?」

 「あっ!あれだろ?俺が死んでいなくなっちゃう夢とか?それなら心配無用だ!俺様は無敵だからな!ふははははは!」


 こいつの声を聴いていると気が休まる。


 「ああ、そうだな。安心したよ。ありがとう。」

 

 そう言うと、ガンは笑って、手に持っていたリンゴを投げてきた。

 彼の好物だ。


 「朝食の差し入れだ。それ食ったら、ちょっと聞いてほしいことがある。鷹目と猫目が帰ってきたからな。下で待ってるぜ。」


 恐らく、ザン=フィールドの黒剣の件だろう。

 俺はリンゴを食い終わり、下へと降りて行った。

 

__________________

  

 「そうか……。失敗か。」


 「すみません。とても我々の手には負えませんでした……。」

 「団長。申し訳ないにゃ。あいつただ者じゃないにゃ。」

 鷹目と猫目はそれぞれ反省の姿勢でこっちを見ていた。


 「別に咎めるつもりはない。楽にしろ。」

 「それにしても、黒剣を持ってるのがジジイじゃなくて、10歳前後の少女とはな……。ザン=フィールドの弟子か。その話が本当なら、俺が行くしかなさそうだ。一先ず、そいつらの動きは常に把握しておけ。」


 「祭りか?」

 近くでやり取りを見ていたガンが聞いてきた。


 「たぶんな。」

 俺は笑ってそう言った。

 退屈な日々が、久し振りに楽しくなりそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。