モグラのイグルー
太陽の力が大きすぎて、地上での生活を奪われた街 「Basement moon」
地上では、砂漠化が進み、川も湖も枯れ、木も草も無くなった
人々は地下に街を築き、地下水脈から水を得て生活している
地下には、先に住んでいた、トカゲ族やモグラ族がおり、彼らと、知恵を出し合って、
太陽の影響の無い地上を目指し、あっちを掘ってはこっちを掘ってを今日も繰り返す
【冒険家『クロス=マーシャル』】
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ふむふむ。ルナから借りた冒険記を読んでみる。
この本だけでは、街の規模はどれくらいなのかわからないが、ドリーが言うには、結構大きいですよ!とのことだった。
結構って、どれくらいなんだろうか。まぁいいか。着いてからのお楽しみっていうのも悪くない。
砂漠の地下街に、人とトカゲとモグラが仲良く暮らしている。
俺はその光景を想像してみた。
「いやぁ~、今日は10キロも掘ったモグ!疲れた疲れたモグ!」
「流石モグ。さぁ、トカゲさんと人間にご報告モグ!」
うん、たぶんモグラ族はそんな感じだろう。
間違いない。
しかし、トカゲ族と人族は何をしているのだろうか。
ご飯を作ったりかな?
そういえば、食い物とか、ちゃんとあるんだろうか。
俺は好き嫌いがないので有名だが、虫とか出してきて、「ご馳走するモグ!」とか言われたらちょっときついな……。
そんなことを考えていると、
「さあ、着きましたよ!」
ドリーに言われ、俺たちは馬車から顔を出した。
おおおお。
砂漠に穴が開いている。大きさは馬車が2台通れる位だ。
他には何もなく、中は真っ暗だ。
これは、ここですと言われなければ絶対に中には入らないな。
でっかいアリとか出てきそうで怖すぎる。
ドリーは構わず穴の中へと入っていった。
カンテラを灯し、しばらく地下へと進んでいく。30分くらい経っただろうか。
そして、大きな空洞へと出た。
そこには、街があった。
地下だというのにとても明るく、街は活気にあふれていた。
宿屋に酒場、武器屋、教会なんてのもある。
驚いた。これは想像以上だ。
恐らく人の手ではこれだけの大空洞を作り出すことはできないだろう。
モグラさんたちが頑張ったのであろう。
ただ、街行く人の中にモグラ族と思われる者は見当たらなかった。トカゲ族もだ。
もっと奥の方にいるのかな……。
まあいい。まずは病院に行こう!回復魔法でこの右手を治してもらわないことには、痛くて眠れない。
病院は!?とルナに言ったら、回復魔法を使える魔術師は教会にいる。と教えてくれた。
よし、教会に行こう!
俺たちは、教会に入り、右手の治癒を願い出た。
治癒魔法を使えるものは、この街でも限られているらしく、今すぐには見ることはできないと言われた。なんと、三日待てというのだ……。
無理だ……。せいぜいあと30分が限界だ。
ずっと右手が、ズッキンコズッキンコしているのだ。
俺は、受付の可愛い子ちゃんに「何とかなりませんか?」とお願いしてみた。「もー、右手が痛くて痛くて、骨とか出ちゃってるんですよ~!」と涙ながらに力説してみた。
可愛い子ちゃんは、困った顔をして、少し待ってくださいと言って、部屋の中に入っていった。
そして、出てきてこう言ってくれた。
「見習いの魔術師で良かったらもう少しで、見てくれるそうですよ。それでもよろしいですか?」
「はい!」
もう、この際見習いだろうが何だろうが構わない。後30分が限界なのだ。ハリー!ハリー!
そして、待つこと1時間。
「次の方どうぞ。」と待ちに待った俺の番が来た。
部屋に入ると居た。モグラ族だ。
「お、お願いします。」と右手を見せると、
「これは、ひどいモグね~。治せるモグかなぁ~。まぁ、取りあえずやってみるモグ。えーと……。確か、昨日覚えたあの呪文でいいような気がするモグなぁ……。」
ヤバいぞ、これは不安だ。失敗しちゃったモグ~と言われる気しかしない……。
三日待つべきだった気がする。
謝ろう。また来ます、ごめんなさい。と言おう。
「さぁ、行くモグよ。」
「え!?」
「大地の精霊よ その地に宿る命の波動 今この者を包み 傷を癒せモグ 『ヒール』」
おい!お前今モグって言ったよな!?詠唱大丈夫か!?しかも本見ながらって、おい!?
モグラさんの手が俺の右手に触れ『ポゥッ』と光った。
あっ、みるみる傷が癒えていくのがわかる。
約1分ほどで、右手の傷は完治していた。
「ふぅー、成功モグ!」
モグ……。お前ってやつは、ありがとう!せめて名前だけでも聞いて行こう。
「僕は、イグルーっていうモグ。モグラ族唯一の魔術師モグ。」
おれは、イグルーに感謝の気持ちを伝え、握手した。
爪が刺さってちょっと痛かったが、気にしない。
「また怪我したらいつでも来るモグ。たぶん治せるモグ。」
と言ってくれた。
たぶんか。
もう来ないようにしなくては……。
『バタン!!!』
「たたたたた、大変モグ!!イグルーは、イグルーはどこモグ!?!?」
さあ、帰って宿を取ろうと思ったその時、教会のドアが勢い良く開いて一人のモグラ族が現れた。
むぅ、事件の予感だ。




