キリンのドリー
キリンさんは、戦士だったため、もう一人魔術師を雇う必要がある。
そう、魔法都市に入るには、魔術師が必要なのだ。
と思ったが、この街には魔術師が少なく、長期間街を不在にする訳にはいかないという事情もあり、結局、魔術師は闇の大森林近くの街で雇うことにした。
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翌日、街の入り口へ向かうと、馬車とともにキリンさんが立っていた。
茶色のスカジャンみたいなジャケットを羽織っている。かっこいい。
「キリンです。首を長くして待っていました。」
ドヤ顔だった。このセリフが言いたくて、きっと早起きして待っていたのだろう。
名簿の自己紹介にも書いていたし、キリンさんの鉄板ネタなのだろうか。
「キリンだけにね、ふふ……。」
とニヤニヤしている。可愛いやつだ。
『ドリー=キャンパス』と名乗ったキリンさんは、簡単に自己紹介と、今後の行程等を説明してくれた。
今後の大まかな行程としては、
① リダの街から南西に進みカローラ砂漠を越える。
② タッタカ草原についたら、南に進む。
③ 草原を越え、森の入り口にある街で、魔術師を雇う。
④ 森に入り、その奥地にある闇の大森林に行き、魔法都市を目指す。
というものだった。
ドリーの外見は結構ファンキーだ。
スカジャンに始まり、耳にはピアスが二つずつ、大きな2本の角には指輪(?)みたいなものをつけている。
腰にはナイフと鞭を装備しており、背中にはギターによく似た形の真っ赤な弦楽器を持っていた。
俺は、ドリーに興味がありすぎて、色々と聞きたかったが、一先ずここは我慢した。
そして、ルナと簡単に挨拶を済ませ、馬車に乗った。
「それじゃあ、出発しますよ!」
そう言って、キリンのドリーは馬車を走らせた。
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ドリーは良くしゃべった。話すことが好きらしい。
「キリン族は、実は角が五つあるんですよ。知ってました?」
「あっ、この角は、サイ族や竜とかと違って、戦いに使ったりとかしませんよ。フニャフニャですし。」
「へぇ~、そうなんだ。2つだと思ってた。でもオシャレでかっこいいよ!」
「ふふふ、ありがとうございます。ふふふ。」
楽しい……。
ドリーは、森の入り口にある小さな街が故郷らしく、今回の旅は、里帰りにもちょうど良かったとのことだった。
ドリーの趣味は音楽ということで、今日は移動中、自己紹介がてらと言い、背中に背負った弦楽器を取り出し、歌ってくれた。
ドリーは、特別歌が上手というわけではなかったし、弦楽器の演奏もたまに音が外れることもあった。
だけど、聴いていて心地よかった。
とても楽しそうに歌を歌うからだろう。
『歌が好きだ』という気持ちが、よく伝わってきた。
ルナもいい歌だと言い、酒を飲みだした。
俺も少しもらって飲んだ。
ドリーも飲んだ。
「あー!飲酒運転!」といったら、「なんですかそれ?」と笑われた。
ただ、最後に即席で作ってくれた「旅に出る3人組」では、旅の目的が『森の奥地に美味しい葉っぱを食べに行く』とされていた。
まだまだ話し合うことは多そうだ。
俺も歌を歌った。
前の世界の歌を歌った。
おだてられたので調子に乗って、ブルーハーツを2,3曲。あと自作の歌を歌った。
俺も歌が上手い訳ではないけれど、歌うことは大好きだったし、ギターを弾くのも好きだった。
キリンさんの持つ楽器の弦は、7本だったが、ギターによく似ていたので、貸してもらい弾きながら歌った。
ブルーハーツの「青空」を歌い。俺の国の国歌だと教えてあげた。
ドリーは、そのフレーズいいね!と言って何やらメモをしていた。
ルナは、「僕の右手」を聞いて、お前の世界では片腕が多いのか?と言っていた。
ルナも歌った。飲みながら歌った。
とても綺麗な声で、俺とドリーは驚いていた。
ルナ本人も、「あれ、俺上手くね?」と自分の声に驚いていた。
たくさん歌って、たくさん笑って、俺たちはすぐに仲良くなった。
とにかく、それはもう楽しい旅立ちだった。
音楽は国境を越える。そんな話をよく聞いていたけど。それは異世界においてでも同じなのだと知った。




