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双子まとめてTS!人生入れ替わりの二人を待つのは、恋の大嵐!【第一部完】  作者: 神流みさきち
第二部『揺れない恋頃、揺れるも恋心』第一章『流れる雨と認識』
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第22話 やらかして、撤回不可能

 お姉ちゃんにバレてしまった。全然大丈夫じゃ無いって。

 でも、目の前のお姉ちゃんは私の呟いた声にすぐ返事をせず、曇った表情をしている。

「お姉ちゃん?聞いてる?」

「……。あっ。ごめんなさい。え?つらいって、この前そんなこと言ってなかった……、よね?」

 言えなかったね。お姉ちゃんの中にはもう、お兄ちゃんはあまり居ないって分かって、頼りたいって気になれなかったから。

「そう……、だね」

「どうして!どうして言ってくれなかったの!?」

 ちょっ、ちょっとお姉ちゃん!?

 お姉ちゃんは急に泣き崩れた。

「どうして?三村くんは知ってるのに、どうして私には言ってくれなかったの?」

「三田村なんだけど……」

「あ、三田村もういいよ。あと悪いけど今日はもう帰るな。明日は……、まあ一応出ると思うよ」

 出るのは気が重いけど。

「ああ、無理するなよ。次の大会は、一緒に出られるように俺がなんとかしてやるから」

 三田村はいつもこうだ。

 部内で勝手に関係を悪くしていた俺を、なんとかしようとしてくれる。

「ありがとう。まあ、無理のない範囲でな」

 そう言うと、俺たちを置いて練習に戻っていった。

 俺のために、三田村が立場を悪くするようなことは望まない。

「お姉ちゃん、とりあえずここから移動しよ?こんなところでずっと泣いてたら、いくら木陰とはいえ、熱中症になるよ」

「う、うん……。じゃあ図書室にでも。多分エアコン付いてるから」

 俺はいまだにめそめそと泣いているお姉ちゃんを支えながら、図書室へと移動した。


 す、涼しい。

 快適で帰るのが嫌になってしまう。

 ああいや、それよりもお姉ちゃんだ。もう隠すこともないか。

「お姉ちゃん。もうはっきり言うけど、この前のネットカフェで、お姉ちゃんに呼び方戻しただろ?」

「ええ、急に戻っていたわ」

「諦めたんだよ。もう、俺のお兄ちゃんはどこにも居ないって分かったから」

 もうお姉ちゃんはお姉ちゃんでしかない。

「だから頼らないことにした。自分1人で解決する。……弱音を吐くことはあるかもしれないけどね」

「お兄ちゃんは居ないって、そう呼びたいって言ったのは理久でしょ?冷たくいえば呼び方に付き合っては居たけど、私はお姉ちゃんだからね?」

 そうだね、勝手に期待した私が悪かった。

「そう。それにあの時気づいたから呼び方は戻したし、頼るのもやめた。私が求めたのは理性的で頼れて、論理的に物事を考えて冷静に、悪く言えば冷たく解決策を出すお兄ちゃんだった」

 ……でも。

「今のお姉ちゃんは、違うだろ?もうお姉ちゃんには頼れない」

「そんな……」

「お姉ちゃんは、解決に向かうよりは共感して慰めてくれるだけ。完全に感情的で今だって泣いてる……。いつ変わったのか、その境はわからないけど、女の子になって月日を重ねて、もう男の子のお兄ちゃんはどこにも居ないんだね……。私が理香だった頃のお兄ちゃんは、どこにも……」

 そう言って俺はお姉ちゃんを見ていた視線を窓の外へと外す。

 居なくなった、お兄ちゃんの虚像を見るように。

「ちょっ、ちょっと、理久!」

「何」

 私が言い終わるくらいからお姉ちゃんが慌てだしている。

「今ここに誰がいるか分からないのに、何そんな事言い出してるの!」

「え……?」

 視線を窓から戻して部屋全体を見渡す。

 嘘、誰かいたらどうしようか。

 もしバレてたら、決めた相手にだけ説明したお姉ちゃんより酷いんだけど。

 本棚の隙間からも人影が居ないかを気にする。

「あっ、誰かいる!俺見てくる……」

 もし聞いていて俺が近づいて逃げたところで、お姉ちゃんが見つけるだろうから誰だったかは分かるだろう……。

 でも近づいても人影が動く気配はなかった。

 この裏に……。

 居るであろう通路をのぞき込むと——。

「さ、佐々木先輩!?」

「あ、あら。川田くん……?こんにちは~」

 なんて平然を装って挨拶をしてくる佐々木先輩だけど、全然装えてない。

 作り笑顔がピクピクと動いている。こうなったら観念するしかない。

「佐々木先輩、聞いてましたね?」

 なんだろう。佐々木先輩に会ってここ最近感じていたつらさが和らいだ様な感じだ。

「な、何をかしら?」

「そして理解してしまいましたね?」

「何を…………?」

 う~ん。まだしらばっくれるか……。

 いっそ何かインパクトのある、それでいてバレてたら絶対抵抗感のありそうな……。

 そうだ。

「先輩、俺の彼女になりませんか?」

 元女って分かってたらこれは嫌だろ。

「えっ、いいの?」

 ……あれ?

「え……。あの?先輩?俺が元々理香だったって聞いてたんですよね……?」

「ええ聞いたわ?」

 ……?

「今さっきまで、うろたえてましたよね?」

「さすがに驚いたしね」

 だったら何故。

「それなのに俺の彼女って言われて受け入れるんですか?」

「私は、今の理久くんも、前の理香さんも好きよ?今だからそう言えるわ。きっとあなたの人格そのものが私を引きつけるのだわ」

 えっ、あれ?

「今更撤回なんかしないわよね?」

「えっ、撤回したい……」

「ダメ♪」

 あ……、撤回、ダメ?

「理久、やらかしたわね。佐々木さんに何隙見せちゃってるのよ」

「お、お姉ちゃん助けて……」

「お姉ちゃんは頼れない……、のでしょう?」

 お姉ちゃん拗ねてる!

「もう今日の部活は終わりなの?だったら早速デートしましょ?暑いから室内が良いわね。そうだわ今日は私の家だれもいないのよ?」

 助けて~!!

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