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双子まとめてTS!人生入れ替わりの二人を待つのは、恋の大嵐!【第一部完】  作者: 神流みさきち
第二部『揺れない恋頃、揺れるも恋心』第一章『流れる雨と認識』
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第16話 まだたらぬ、羞恥心

 意外と、漫画なんかの定番イベントは起きないんだなあ。

 なんて当たり前のことを考えながら、焼きそばを啜っている。今はもう13時。

 スライダーで水着がとれるとか、プールの中で男友達と後ろ向きにぶつかるとか。

 いや、今日の男子面子とぶつかっても別に何もないどころか、金山くんとかエッチなことばかり考えてそうで……、胸ばかり見てくるし嫌なんだけど。

 今は、少し体に疲れが出るくらいまで遊んだので、遅めの昼ご飯にとフードコーナーへ来ている。

「ちょっ、ちょっと理香ってば!鼻の中で鰹節が踊ってるんだけど!」

 えっ、そこは口に青のり付いてるネタじゃないの?

 ことごとく定番イベントというモノに縁が無いらしい。いえ、別に求めるわけじゃないんだけれどね。

「むずむずしないんですか?」

「いえ、別に……。気づいてなかったわ」

 私は鰹節を取ろうと鼻の穴をちょこちょことかいてみる。

 ……?特にそのような感触が無い。

 その時、『カシャッ』と音がした。

「川田さん、藤島さんに嘘つかれてるよ……」

「あっ、中村くんバラしちゃダメじゃん!」

 顔を上げると咲恵が私にスマホを向けていた。

「ちょっと咲恵!変な写真撮らないでよ!」

「でも川田さん……、面白い顔してたよ……」

 と言いながら清水が笑いをこらえて顔を逸らした。

「藤島先輩、理香先輩が可哀想だから消してあげてくださいよ……」

「あ、別にそこまで嫌じゃ無いからいいよ。友達との思い出の1つってことで」

 そう言って、問題ないことを咲恵にも伝えたつもりだったけど、咲恵は急に表情をムッとさせた。

「いいし!消すもん!」

「何をそんなに拗ねてるのか知らないけど、消す前に私にもちょうだいよ」

 私、見てすらないんだけれど。

「嫌です~!見せませーん!」

「藤島さん、そう言わずに見せてあげたら良いのに」

「中村くんは分かってないね!これには女の意地が掛かってるんだから!」

 よく分からないけど、私の一言が何か気に障ったんだろうか……。

 なんて、みんなでワイワイ、ガヤガヤと楽しんでいると、少し離れた席から声が掛かった。

「……あのう。もう俺もそっちに行っていいでしょうかあ……」

 恐る恐る、といった感じで金山くんが近づいてきた。

 私は、嫌だけどね!

「まあ、俺は別にどっちでも構わないけどさあ」

「どうかな、僕らが決めることじゃないと思うよそれは」

 中村くん正しい、金山くんを許すかどうかの判断をするのは女子のみなのよ。

「エロい目で見た二人に謝れば良いんだろ?悪かったってば」

「私は別にどうでも構わないけれど、その姿勢はあまり良くないかなあと思うよ」

 咲恵は優しくもアドバイスを送っている。

「金山くんは多分、一番なにがダメなのか分かってないと思う。……僕から言ってもいいのかな?」

「すまん、俺は分からねえから教えてくれ!」

 金山くん、凄い必死。まあいい加減今日の所は一旦気にしないでおくのもありかな……。遊びたいし。

「良いんじゃない?金山くんに教えてあげてよ。……それが合ってるのかは置いといて」

 そう言って、咲恵は残っていたたこ焼きをパクりと口へ。ああ、狙っていたのに。

「じゃあ、僕から。ええと……、宮本さんを明らかに上から目線で見て言ったのは、最低だったと思うよ。たぶんそこかな?」

「お前すげえな」

 清水がそう言った中村くんを見て関心している。分からなかったのね……。

 私と咲恵は目を合わせうなずき合うと、『正解』と中村くんに言った。

「ええ!?そんな事なの?とりあえず宮本さん、ごめん」

「……別に良いですよ」

 ああもう、酷いわ。

「『そんな事』なんてまだ言ってるのが、本当に金山くん分かってないってよく分かるね……」

「中村くんの言うとおり、ほんと分かってなくて酷いと思うけど、綾ちゃんが良いって言うならもう水に流しましょ」

 分かってなかった清水ですら、『金山やべぇ』と呆れている。

 中村くんって、なんだか考え方が近くていいなあ。いや別に男子として良い、とかではないけど。

「さて、じゃあ金山くんも復帰ということで。みんなお腹は満たされたかな!?」

 咲恵の急なテンション上昇に、みんなは『うん』『お、お~』などバラバラに応えた。

「あの、俺何も食ってない……」

「それくらい我慢ってことで!」

「そこはまあ、我慢しとけよ金山……」

 清水が金山くんの肩に手を置いて、慰めてるのだか諦めを促してるのだか分からない言葉を掛けた。

 こういったやりとりを大勢でしていてふと思う。

 私は元々一人が多かったからか、……今でもそうなんだけど、あまり会話に入っていけてない気がする。

 だから咲恵が友達で本当によかった。沢山話してくれるし、話しかけてもくれる。

「理香、なにしてるの早く行くよ~!」

「あ、うん」

 すでに私以外はプールの中にいたので急いで向かった。

 行った先では金山くんが水を掛けられ続けていたり、中村くんがただただ浮いていたりした。

 金山くん、今日はいじられる一日だろうな……。

 私もそれに習って浮いてみたら気のせいか浮きやすかった。筋肉が少ないからかな?

 綾ちゃんが本気で泳いでいたり、意外な一面も見られて楽しい一日となった——。

 

 帰りの電車にて、睡魔に負けてしまいそうな中、咲恵が話しかけてきた。

「でも、理香からグループでプールだなんて、正直意外だったよ」

「え、なんで?」

 私が不思議そうな顔をすると、咲恵は少し考えこんだ。

 そりゃ夏だし、水着使いたければプールか海だと思ったんだけど、違うの?

「……プールってさ。水着着るじゃない」

「そりゃそうだよね?」

 なにを当然の事をいってるのよ。

「あえて印象の悪い表現をしたら半裸だよ?半裸」

「——藤島先輩!?何を……」

 ほら、綾ちゃんまでびっくりしてるじゃないの。

「いや、綾ちゃんも分からないかなあ。普通、恋人とか家族、親しい友達とくる訳よ。今日遊んでて絶対肌と肌がぶつかってるよ?知らない人は気にも掛けないけど、あの3人はどうだろうね?私は気にしないけどさ」

 ……あっ。咲恵の言いたいことが分かったし、思い返すとすごいくっついたりなんなら胸が当たったりしたかも知れない!?

「ひゃあぁぁあ……」

 そう考えると恥ずかしくなってきた。そういえば金山くんも胸ばかり見てきてたよね……。

「理香はまだまだ、考え方が女の子じゃないね」

 女の子じゃない、つまり暗に男の認識で考えたでしょってことを言いたいのかな……。そうかも。

「ひゃああああ!なんで最初に言ってくれないんですかあああ」

「えっ、綾ちゃんもなの?」

 よかった、関係ないかも。

「咲恵が男女意識しすぎなだけだったんじゃないの」

「そうかなあ……?」

 そんな会話をしてる向かいでは、男子3人がスマホを見てるけど指が動いてない。

 聞き耳立ててるわね、あれは……。

 ま、そういうのも含めて楽しかった、ということにしちゃお。

プール回終わりです。

あまりプールで遊んでいる表現がなくてがっかりされたらごめんない。

でも私は理香が楽しそうで書いてて楽しかったです。

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