表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双子まとめてTS!人生入れ替わりの二人を待つのは、恋の大嵐!【第一部完】  作者: 神流みさきち
第二部『揺れない恋頃、揺れるも恋心』第一章『流れる雨と認識』
62/66

第15話 評価の、評価会

「きゃあああああああ!可愛いぃぃぃいいい!」

「おぉぉぉぉぉ……」

「俺……もう満足してしまった……」

 水着に着替えてプールサイドに出ると、綾ちゃんの悲鳴のような声と、男子達の喜びの声が耳に届いた。男子は照れてるのか視線外したけど……。

 いや、綾ちゃんは一緒に買いに行ったし、そもそも更衣室も一緒でしょ?

 ……他の人が視界に入るのも悪い気がするし、見られるのも嫌だから隠れるように着替えたけど。

「うひゃあああ!」

 ——ザッブーン。

 更衣室との出入口から咲恵が走ってきたかと思うと、そのままプールへ飛び込んでいった。

 ああほら……。監視員に怒られてるよ……。

「私たちは準備体操してから静かに入ろうね」

「……そ、そうですね」

 走って行った咲恵を呆然とみていた綾ちゃんと。

「も、もちろんだろ?」

「当たり前だよ」

 咲恵を見て、すでに駆け込もうと姿勢が前傾になっている男子達が同意した。

 思い思いに学校での部活、体育の授業やプールなどで行った覚えのある準備体操を行う。

 なんかやること困るととりあえずアキレス腱伸ばす動きをして、やってます感だしちゃうけど……。これだとたぶん不十分だろうなあ。

 周りを見て自分がやって無さそうなのを見つけると、それをまた見様見真似で行った。

「ちょっと~。なんで誰も付いてきてないのよ~!」

 それぞれが体操はもう良いかなと思ったくらいだろうか、ちょうど咲恵が先に一人すでに濡れて近づき話しかけてきた。

「水の中気持ちいいよ、早く行こうよ!」

 そう言って目の前で私の手を取ると、男子達もいるのに改めて気づいた様子を見せる。

「……あ、そうだ、君ら女子の水着に感想の1つも無いわけ~?」

 とかなんとか言いながら腰に手を当て胸を張る。そして軽くポージング。こういうところ、多分今回の6人の中で一番浮いてるんじゃないかな……。いや、でも金山くんも軽いかもしれない……。

「え、あ……。そういうのは女子同士でさあ」

 清水はしどろもどろしながら視線を外してそう言った。わかるよその気持ち。

 でも、今の私は咲恵の気持ちも分かっちゃうんだよね。

「そう言わずに見てよほら」

 なんて、私も両手を軽く広げて、全体が見えるようにして見せた。

「綾ちゃんもほら!」

 咲恵が促すと『えっ、私もですか……』とイヤイヤ感を出しつつも手を少し広げて、背筋を張った。

「いや、ほら、そういうのは女子同士でやってもらったら……」

 中村くんも視線は地面を見ながら乗り気ではない。

「男子の感想が聞きたいの!私たちは一緒に買い物したから、もう知ってるし」

「清水から言ってけよ」

 と、観念したのか金山くんが清水に促した。

「えっと、えっと……。藤島さんはセクシーで、川田さんはなんか身長の割に大人っぽい、宮本さんは普通」

「50点」

「もう!身長のことは言わないでよ……」

「ふ……、普通」

 身長は気にしてるのに……。絶対身長高い方がもっと好きな感じの服は似合うと思うの、分かってるから。

 綾ちゃんは、普通と言われてショックを受けてる。普通って、似合っているって事じゃないの……?

 本人は『ちょっと冒険してみたのに……』とか言ってるけど、そんなに派手でもない。私が薦めてみた中の1つで、お腹も全部隠すキャミソールとミニスカートみたいな水着。

 もしかしてワンピースタイプ以外は、綾ちゃんにとって全部冒険なのかな。

「次、中村な、俺最後」

 おや、自分を最後に回すなんて、金山くんは自信があるんだろうか。

「えっと、そうだね……。みんな『らしく』て、似合ってるよ。か、かわいい、と思う」

 そう言って照れてる本人が可愛いよ。

 でもなんか無難っぽいコメントだけど。果たして咲恵の採点は——。

「100点」

「ええ、嬉しいですね!」

 綾ちゃんも満足げな様子でニッコニコ。……で、なんでこっちを見てくるの。

「そ、そうね」

「ね!」

 そういって来た綾ちゃんにとりあえず同意しておくと、咲恵もそれに乗ってきた。

 正解だったのかな。このあたりの感覚はまだ女の子になりきれてないのか、それとも個人の感覚の違いなのか……。もうそのあたりの差は分かりづらいね。

「では、最後に自信満々の金山くん、どうぞ!」

 咲恵が手をひらりと少し前に出し、感想を促した。たしかに金山くんは自信満々の表情をしているようで、何を言ってくれるのか私少し楽しみにもなる。

 私は意地悪く笑みを見せてその感情を言葉にした。

「楽しみね」

「そうですね」

 綾ちゃんも、同じようだ。

「では……」

 金山くんは背筋を伸ばし『コホン』とわざとらしい咳払いをして続ける。

「藤島さんはパンツのラインがすごくエッチで、川田さんはそんな水着でもおっぱいが大きくてエッチだね。宮本さんも頑張ってるよ」

 うわあ。これは酷い。やっぱり金山くんは陽キャじゃないの?それもかなり残念で駄目なタイプの。

 綾ちゃんとか上から目線で言われて、もはや可哀想だし……。

 この酷いレビューに対する咲恵の評価は——!

「失格!次の大会への参加資格は剥奪だからね!」

 ……大会だったの?

「頑張ってるって、なんでそんな上目線で言われないといけないんですか……」

「私も……、胸だけ見られてるみたいで最悪な気分よ。最低ね」

 一緒に酷評しておこう。女友達とは同意がきっと大事。

 ……実際、良い気分じゃないし。せっかく、全体が綺麗に見えるような水着選んだのに。

「え、ダメなの?これ?」

「ダメだと思うよ、さすがに無いと思うわ」

「僕が聞いても、女子が可哀想だなって思うなあ」

 他の男子にも酷評されてるじゃないの、ちょっといい気味。

「え、あ~。とりあえずプール入ろうか」

「あっ、逃げた!」

 金山くんがその場に居てられずにプールへ向かったその時。スピーカーから流れている音楽の音量が小さくなった。

『ただ今から、11時ちょうどまで休憩時間となります。プールの中に入っている方はプールサイドへ上がってください。繰り返します——』

 金山くんの逃走路を塞ぐ、無慈悲なアナウンスが施設内に響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ