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双子まとめてTS!人生入れ替わりの二人を待つのは、恋の大嵐!【第一部完】  作者: 神流みさきち
第二部『揺れない恋頃、揺れるも恋心』第一章『流れる雨と認識』
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第8話 乙女たち、水着求めて

「終わった~!解放だ~!」

 テスト最終日、テストの終わりを告げる鐘が鳴ると同時に咲恵の声が轟く。

 それに呼応するように他のクラスメイトまで『終わったー!』『終わった……』『もう一学期も終わったようなもんだね』などとはしゃぎだして、本来であればショートホームルームに入るべきところが入れていない。

 ……終わったのニュアンスが違う、クラスメイトが居るぽいけど大丈夫なのかな……。

 やがて収まりだしてようやく『静かにしないと解散できないんだけど、おまえら本当に高校生か?』と注意されつつその日は放課後へと入った。

「理香~、今日ちょっと足を伸ばして買い物に行かない?」

「昨晩お金持ってくるように言ってたのはそのため?」

「そう!水着買いに行こ?」

 み、水着か~。服は色々参考になるものを見たりしたけど、水着は知見無いなあ。

「なんなら、私が見繕ってあげるよ」

 なかなか返事しないからか、それとも私の心の内を見破ってか、咲恵が嬉しい提案をしてくれた。

「う~ん、それなら……?」

「あ、綾ちゃんも誘おうか、海一緒に行くならみんなで見に行った方が楽しいよね。今お金なかったら私が貸すし」

 そういうものなのかな?でも綾ちゃんを誘うのは反対ではないのでまずは一年の教室へ向かうことにした。


「結局こっちか」

 一年の教室にはほぼ誰もおらず、まあまだ校内にいるとしたらここだろうと、図書室に来た。

 扉を開けるとやはり居た。

「綾ちゃん」

「あ、理香先輩!……と、藤島先輩?」

 咲恵が綾ちゃんに説明すると、綾ちゃんは少し暗い表情になった。

「水着……、ですか」

「え……、嫌?海行くのに」

「いえ、新しい水着は楽しいですけど、海で水着になるのがその……、最近お腹出ちゃって。蕎麦食べ過ぎてから食欲凄いんですよねー……」

 満腹中枢が壊れちゃってるじゃない……。

「でも!お二人が新しい水着なのに私だけ新しくないとか嫌なので私も行きます!」

 そう意気込んだ綾ちゃんに、咲恵が笑いながら話しかけた。

「綾ちゃんは、誰に見られるのを気にしているのかなあ?」

「先輩こそ、誰に見て欲しくて買いに行くんですかねえ?」

 二人は何を言い争っているの……?

 そう思って二人を見ていた私に気づいたのか二人は『あ~理香は気にしなくて良いよ』『先輩には関係のないことですから~』なんて言って、誤魔化されてしまった。

 なんだったのか……。

 さあ行こうと図書室の扉を開けると、目の前からこちらに多賀先輩と佐々木さんが歩いてきた。何この組み合わせ。

「おや?川田さんと宮本さんがこんな時間にもう帰るなんて珍しいね、どこかいくのかい?」

 まだ離れたところから先輩が話しかけてきた。

 けどこちらから大きな声で返事するのもなあ。

「水着を買いに行くんです~!」

 などと思っていたら、咲恵が大声で返した。

「君たちが一緒に行くんだね。良いね、新しい水着かあ。私も新調しようかな……、あれ?弟さんは?」

「あっ、すみませんまだ伝えてなかったですね。そうですこの二人もお願いします。理久は……、部活優先するみたいです」

 私がそう答えると、なるほどと頷く先輩の横で佐々木さんがうっとりしている。

「ああ、さすが川田くん。ストイックね……ますます惚れてしまうわ……」

 していないのに舌なめずりが聞こえるようなオーラ出てますよ佐々木さん!怖い!

「ところで先輩達は何しに……?そもそも佐々木さんと一緒って珍しいです……ね?」

「えっ?そうかい、いや知らないとそんなものなのかな。佐々木さんも生徒会執行部のメンバーだからね、今は生徒会の仕事中さ」

 そうだったのね……、ちょっと仕事中とか聞くと格好良く見えるなあ……。

「あっ、理香!早く行こ、時間もったいないから!」

 えっ、いきなり何なの?

「わ、分かった、分かったから引っ張らないで咲恵」

 引っ張る咲恵は、ふんっと鼻をならしながら多賀先輩の横を抜けていった。

「すみません先輩、また今度。仕事頑張ってください~」

 そう言ったが凄い速さで引っ張られて先輩に伝わったかは分からない。

「ふふ、女の子の嫉妬は怖いね」

「男女なんて関係ないわよ」

 このような二人の会話も、私の耳には入ってこなかった。


「ちょっ……、ちょっと待って……。はぁ、咲恵……」

 引っ張られてどれくらい経ったろうか、たぶん30秒もしていない。

「なによ理香、あれ?綾ちゃん?」

「はぁはぁ……咲恵は曲がりなりにも陸上部なんだから……。同じペースで走れると思わないで……」

 そう引っ張られるのはともかく、それが速すぎて私の体がついていけなかった。

 もちろん綾ちゃんも。

「ご、ごめ~ん。でも曲がりなりっていうか、ちゃんと陸上部だからね!?」

「その割には今日はサボってお買い物?」

「サボりじゃないよ?今日は自由参加日だから……、私は出ない!」

 なるほどね。理久は絶対出てそうだな。それだからずっと陸上だったのか。

 そういえば……。

「咲恵、『あ~し』って言わなくなったね?」

「あー、あれ?髪の毛とか直してからやめたよ?理香あんまり好きじゃないでしょ?」

「まあ……どちらかと言われると?だけどね。ちょっとギャルギャルしていて好きじゃないわ」

 そう言うと咲恵は私にウィンクひとつ。

「だからだよ♪」

 そんなこと思ってくれてたんだ。ちょっと嬉しいかも……。

 でも、なんだか話してくれるようにはなってるんだけど、以前とはまた距離感がなんだか違うなあ。

 あ、綾ちゃん来た。

「は、速すぎです……。室内に生息してる私の脆さを考えてくださいよぉ……」

「綾ちゃん!」

 ——ぎゅっ。

「な、なんですか!?」

 おもわずハグ。

「仲間だね……、私も室内の生き物だよ」

「あっ……、はいぃ……」

 しばらく仲間意識を味わっていたが、咲恵が割って入ってきた。

「はいはい、いい加減はなれましょうね~。……いくよっ!」

 何に気合い入ったのか、強い口調で再度出発を促してきた。

 気合い入るのは良いけど、もう引っ張るのはやめてね。

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