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第23話 ひともみふたもみ、男女適性?

 ——コンコン。

 帰宅後、身の回りのことを済ませた後お姉ちゃんの部屋に向かった。

「お姉ちゃん、痛いのおさまった?入るよ?」

 許可が出たので入ると、お姉ちゃんはまだ布団の中だった。

「おさまってないけど。多分、これくらい耐えないと生活できないんだろうなと結論づけたわ」

「生理始まったらちゃんと頻繁に交換するんだよ、あとこれあげる」

 そう言って紙袋を2つとナイロン袋を1つ渡す。

「ありがとう。一個はまた薬局……?」

「ナプキンには用途別に種類あるから、それ買ってきたよ。ちゃんと適切に選択するんだよ。詳しくはネットかお母さんで」

「教えてくれないの?」

 俺が理香の頃は何から何まで軽かったからなあ。

「ああ……うん。多分以前の俺じゃ参考にならないと思うんだよね……」

「ふうん?こっちは……本?ありがとう」

 中を見てもそんな事が言えるのかな。

 お姉ちゃんは早速がさがさと紙袋から本を取り出した。

「雑誌と……、さらに雑誌?」

「そ、ファッション誌。特集記事が服中心のと、髪中心のと。軽く見るくらい、見たほうが女子として馴染むんじゃないかと思ってさ。要らないって思うかもしれないけど……」

 おや……?でもお姉ちゃん、なんだか機嫌が良さそうな。

「あ、うん、そうね。見てみるね」

「もしかして興味あったの?」

「……無くはないかな。だってさ、私なんだか可愛くない?可愛いランク上位だよね?」

 そうかもしれないけど、さすがに自分で言うのはどうかなあ。

「うんうん、そう思う。俺のクラスの男子もおっぱい揉みたいって言ってたよ」

「ひっ——!そんな評価はいらない!」

 …………。

「揉んでいい?」

「良い訳無いでしょ!……もう。あ~、でも理久が理香だったときはアレだったもんな……板っていうか。ちょっとなら……いいかな」

 なるほど、では。パジャマの上から、ひともみ……ふたもみ……。……おお凄い。

「ひゃん!」

「いやいや、ダメでしょこんなの。しかも板とは失礼な、ポケットティッシュくらいはあったわ」

「ダメって分かってるならやらないでよ……」

 気を取り直し、それでこっちの袋は?と、お姉ちゃんはナイロン袋を覗く。気に入ってくれると思うんだけどな。

「——少女漫画か……」

「これ読んだら内面勉強出来ちゃうんじゃないかなって思って。過剰なくらい自己投影して読むと良いと思う。ちなみに大半が恋愛ものだよ」

「まあ読むけどさ。じゃあ理久もこれらを読むか?」

 そう言って手で指された方には本棚があり、その中身はお姉ちゃんが理久だった時から持っている漫画やラノベが詰まっている。

「うっ、効果あるかな……?」

「ある物も、あると思う。TS物やハーレム物は除外したらよくて、スポーツ物やラブコメとかでいいんじゃないかな。特に主人公が愚鈍なラブコメとか。周りの男子についていけるようにこの辺のメジャーなバトル物とかも」

 多い!多いよ!!

「ま、まあ最初は1作だけにするね……。そろそろご飯だと思うから、降りようか」

 わざとらしく時計を見て夕飯の時間だと促した。逃げてるともいう。

「そうね、昼も食べてないから……、降りるわ」

 横向きに寝ていた姉ちゃんが起き上がると、重力に沿って横に落ちていた胸が、中央下へと移動して揺れた。

 すご……。

 いやいや、そうじゃなくて。

「お姉ちゃん、パジャマの下にブラは?」

「えっ、居るの?苦しくない?」

 くっ、これを言うのはまたかつての自分と比較してしまうから辛いんだけど。

「胸が大きいと、ノーブラのほうが辛かったり、形が崩れたりする……らしいよ」

「らしいとは?」

「言わせるなよ」

 もう、お姉ちゃん顔笑ってるじゃん!イラつく!

「ナイトブラとか、そういうのあるから、また見に行くといいよ」

「女子、金かかりすぎじゃない?」

「まだ化粧品類とかもあるからね?おしゃれもまだまだあるからね?上手にお母さんにねだると良いよ。まずは家事を手伝ったり、買い物についていくところから」

 それを聞くと、お姉ちゃんはため息をつきながらダイニングへ向かっていった。

 今日はコロッケとポテトサラダ、主食はマッシュポテトのようだ。どうかしている。付け合せのキャベツはまるで砂漠にあるオアシスの泉のよう。

 

 芋だらけのご飯、お風呂と済ませた後、お姉ちゃんは痛みに耐えながらも俺に勉強を教えに来た。これが理久になって一番辛いよ……。

「今日はここまでやるようにね、じゃ」

 ところが、日曜はずっと付きっきりだったのにあっという間にお姉ちゃんは自分部屋へ戻ろうとした。

「見とかなくていいの?」

「理久は、勉強ができないんじゃなくて、してなかっただけというのが分かったから。範囲だけ言うからそのとおりやってくれたらそれでいいわよ」

 なんだかやけに信頼されている?たった一日勉強教えられただけで?

「ふうん?じゃあまあそこまでやるね」

「うん、じゃあね」

 といって、お姉ちゃんはすぐに去ろうとする。

「お姉ちゃん待った」

「え?」

「何をそんなに急いでる?」

「う~ん。あ、ほら、まだお腹痛いでしょ?だから……」

 いやいや。そんな考えるように「痛いでしょ?」って聞かれても、俺はわからないって。

「……で」

「……さっきの雑誌が早く読みたくて」

「気に入ってくれたようで嬉しいけど、ほんと女子に順応しすぎ。数日前までお兄ちゃんだったのに」

 俺はまだそこまで慣れる感じがしない。

「いやまあ、趣味とかも別に男女関係ないものばっかりだったし……。あとTS物好きだったからかなあ。あれ何度も読んでるとそういう気持ちになっちゃうからね……」

「前から女子になりたかった?」

 それは初耳。

「ちょっと違うわ。女子になりたいんじゃなくて、女子になった気でいた」

「えぇ……、ないわあ」

「よ、読み終えたちょっとの間だけよ」

 明らかに引いたリアクションを取ると、お姉ちゃんは慌てて弁解してきた。いやあ、それでもどうかなあTS物が好きっていう少数派の中でも更に少数派なんじゃないか。

 ああ、あとお姉ちゃんはあれだね。

「ああ、女子に向いていると言えば、お姉ちゃんはエロ本も一冊しか持ってなかったもんね。他の男子はもっと持ってるんじゃないの」

「なっ、なんで知ってるのよ——!」

 しまった。え~っと。ああ、ダメだ視線を変に外すと逆に追求されてしまう。

「……理久?なんか理由があるみたいね、言いなさいよ」

「え~っと……。いや、これはちょっと……」

「ああ。さっき胸揉まれて恥ずかしかったな~。なのに理久は自分だけ何でも隠しちゃうんだな~」

 うう……。

「きょ、興味があって……。当時お兄ちゃんの部屋を漁りに……」

「えっち」

 何も言い返せない。

祝!初の100over PV/日!!(6/19)

ありがとうございます!

平日なのに何があったんだろうという気持ちと嬉しさで胸がいっぱいです!

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