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勇者パーティを追放された剣士、実は魔法が使えて世界最強に!?  作者: きむち
第5章:魔導具の街は甘い香りがする?
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第34話:厄介な魔物

いつも応援ありがとうございます!


前回の旅立ちから四日。魔導具の街ルミナスへの道中を進むアルスたちの前に、まさかの「魔王の刺客」である魔族が立ち塞がります!


魔法が効かず、しかも常識外れの特殊能力を持つ厄介な強敵を前に、アルスたちが選んだ驚きの突破口とは……!?


新魔法の連携、そしてあの頼もしすぎる「仲間」の超カッコいい登場シーンをどうぞお楽しみください!

 ――街を出発してから四日が経ったある日のこと。

 ルミナスへの道中を進むアルスたちの前に、突如として不気味な魔物が立ちはだかった。


「ティア、魔物がサーチに掛かったよ。道の真ん中に二体いるみたいだ」


 アルスの言葉にティアが力強く頷くと、二人は瞬時に武器を構えて戦闘態勢に入った。

 前方の街道に佇む二体の魔物は、こちらのアプローチに気づくと、逃げる素振りも見せずに向き直り、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「な、なんだ……? あの魔物、ただの獣みたいに襲ってくるんじゃなくて、こっちの様子をじっとうかがっているように見えるな、少し厄介な魔物かもな」


「そうね、大抵の魔物は人を見つけたら理性を無くして襲ってくるはずよね……。もしかしたら、人間の言葉が理解できるほどの知性があるのかも。気を付けてね、アルス」


 アルスたちも武器のグリップを握り直し、魔物の奇妙な出方に警戒しながら、慎重に距離を詰めていった。

 ――その直後だった。


「お前、アルスと言ったな。魔王様から話は聞いているぞ。人間のガキのくせに、なかなかの凄腕らしいな」


 低い濁った声が響き、ティアがハッと息を呑む。


「魔物が、はっきりとしゃべったわね……! しかも今、ハッキリと『魔王』って言ったわ!」


「そうだね……。これは普通の魔物じゃなくて、『魔族』で合ってるかな?」


 アルスが真っ直ぐに視線を射抜いて問いかけると、魔族は嘲笑うように肩を揺らした。


「そうさ、俺たちは魔王様に直接命じられて、お前ら人間どもを殺すためにここまで来たんだ。長引かせるのは面倒だからな、早く終わらせるためにさっさとくたばりやがれ!」


 アルスをあからさまに格下扱いして見下す魔族の態度に、ティアの導火線に火がついた。少し冷ややかな笑みを浮かべ、毅然と言い放つ。


「あら、それは随分と心外ね。私たちのことが、そんなに弱そうに見えるのかしら? ――その言葉、そっくりそのままあなたたちにお返しするわよ」


「(私の好きな人をバカにされて黙っていられるもんですか)」


「テ、ティア……っ!? ちょっと挑発し過ぎじゃないかい……!?」


 普段のおっとりした姿からは想像できないティアの激しい煽りっぷりに、アルスは若干焦りながらも、目の前の敵へと全神経を集中させた。


「そこまで言うなら、よっぽど腕に自信があるようだな! なら遠慮なく行かせてもらうぜ!」


 魔族が叫んだ瞬間、その姿がかき消えた。驚異的なスピードの近接戦を仕掛けてきたのだ。

 ティアは素早く後ろへと跳んで距離を取り、後衛としてアルスの援護に回る。


『(ティア、相手の動きが変だ。少し様子を見ておいて欲しい)』


 アルスは口を動かさず、新しく覚えた『念話』を使って的確に指示を飛ばした。


『(了解! ヤバそうだったらすぐに魔法で援護するね!)』


 ティアからのクリアな返答を脳内で受け取りつつ、アルスが『サーチ』を応用して魔族のステータスを確認したところ、その素早さの数値が異常なほどに高くなっていた。


「――うわあっ! 危ないな……っ! 今の、結界がなかったら確実に大ダメージを受けてたよ!」


 目にも留まらぬ速度でアルスの前後に一瞬で回り込んだ魔族が、容赦なくその鋭い爪と武器を叩きつけてくる。


「なんだぁ!? この半透明の壁は……めちゃくちゃ硬いぞ!? 二人がかりで同時に殴りつけても、ヒビ一つ入りやしねえ!」


 アルスは一瞬の隙を突いてバックステップで距離を取ると、すぐさま反撃の魔法を放った。激しい光をまとった術式が魔族の胸元に直撃する。

 ――しかし、命中したにもかかわらず、煙の向こうの魔族には一切のダメージが入っていなかった。


「ハハハ! バカめ、俺たちに魔法は一切効かねえんだよ! お前さんのお得意な魔法が通じないとなると、これで接近戦しか出来なくなるなぁ!」


「へぇ~……。魔法が効かないんだ。じゃあ――」


 アルスは小さく息を吐くと、一気に魔族の懐へと間合いを詰め、腰の剣を引き抜いて一閃、凄まじい速度で斬り掛かった。


「ぐはっ……!?」


「――っ!?」


 鋭い金属音と共に、右側の魔族が地面に倒れ伏す。


「これで、一対一だね」


 残されたもう一体の魔族は、アルスの肉体強度が生み出す圧倒的な剣速に目を見開いて驚愕したが、すぐに邪悪な笑みを取り戻して冷静になった。


「やるな……だが、ちょっと油断しすぎじゃないか? もう少し周りを見る癖を付けておいたほうが良いんじゃないか、勇者サマ?」


 『(アルス! 後ろ!!)』


 脳内に響いたティアの切迫した『念話』に心臓が跳ね上がる。

 驚いて即座に振り返ると、さっき確実に仕留めて倒れていたはずの右側の魔族が、傷一つない状態でアルスへと殴り掛かってきていた。


「やばい……っ! (さっきの攻撃の瞬間、結界を解除しちゃってたな……どうしよう!)」


 結界を張り直す時間はもうない。アルスは直撃の瞬間、全身の『身体強化』を限界まで引き上げてその場に踏みとどまり、強引に肉体で一撃を受け止めながら、決死のカウンターを叩き込んだ。

 肉を切らせて骨を断つ強烈な一撃が決まる。それでもアルス自身もダメージを受け、顔をしかめた。すかさず後方からティアの放った眩い光がアルスを包み込み、傷を癒していく。

 

「なっ……! この土壇場でやるな……っ!」


 魔族はアルスのカウンターの剣で再び深く斬り裂かれ、大きなダメージを負ったものの、信じられないことに不気味な音を立てて再び立ち上がってきた。


「――どういう事だ……!? なんで、あれだけの傷を負ってまた立ち上がれるの!?」


 信じられない不死身の再生能力を前にアルスが戦慄したその時、後ろで見守っていたティアが、ハッと何かを思い出したように大声を上げた。


「思い出したわ! その魔物、昔の本に載ってた……二体『同時』に倒さないといけない魔族よ!」


「ククク、バレちゃったら仕方ねえな! そうさ、俺たちは二体同時に首を落とされなきゃ、片方が生きている限り永久的に復活できるのさぁ。さて……二人がかりの俺たちを相手に、どうするんだ?」


 勝ち誇る魔族たちを見つめ、アルスは不敵に微笑んだ。


「そうなんだ。仕組みが分かれば問題ないよ。――じゃあ、出てきて、ゼクス!」


 アルスがはっきりとその名を呼んだ瞬間、街道の地面に巨大で禍々しい魔法陣が鮮やかに展開された。まばゆい光の柱の中から、圧倒的なプレッシャーを放ちながら魔人ゼクスが姿を現す。


「どうした? アルスよ。わざわざ我を呼び出すとは」


「ごめんね、ゼクス。あの魔族、すっごく厄介なんだ。二体同時に倒さないといけなくて……ちょっと手伝ってくれるかい?」


「フッ、そんなことか。もちろんだ」


 さっきまで余裕ぶっていた魔族たちは、突如目の前に現れた伝説の魔人を視界に捉えた瞬間、完全に顔を青ざめさせ、ガタガタと震え出した。


「な、なんで……なんでこんなところに、伝説の魔人がいるんだよ……っ!?」


 ゼクスはそんな格下の魔族どもを、虫ケラでも見るかのような冷たい視線で睨みつけた。


「アルスは、右のやつをやれ。我は左のやつを仕留める」


「了解!」


 後ろでその光景を見ていたティアは、「これは本当に一瞬で終わりそうね……」と言わんばかりの、どこか呆れたような安心した笑顔を浮かべた。

 次の瞬間、空気が爆ぜた。

 アルスとゼクスが同時に地面を蹴り、魔族たちの一瞬の隙を突いて肉薄する。抗う間すら与えず、二人の一閃が同時に魔族たちの首を完璧に跳ね飛ばした。


「ありがとう、ゼクス!」


「ふん、相変わらず人使いの荒い主だ。では、もう用はいいな?」


「昼寝の邪魔をしちゃったかな? うん、助かったよ、ありがとね!」


 ゼクスはフッと満足そうに口元を歪めると、再び風のように一瞬で姿を消し、世界の旅へと戻っていった。


「本当に……一瞬だったね……」


 ティアが呆然と呟くと、アルスも剣を鞘に収めながら苦笑いした。


「そうだね。けど、すぐに終わって本当に大助かりだったよ」


 その時だった。


 【レベルが上がりました!】


 アルスの頭の中に、心地よいシステムメッセージの音声が鳴り響いた。

 思わぬ強敵からの莫大な経験値に、アルスはぐっと拳を握りしめ、心の中で大きな喜びを爆発させる。


『(やった……! またレベルが上がったぞ……!)』


 自身の確かな成長を噛み締め、アルスはティアに向き直って明るい声を上げた。


「よし、じゃあこのままルミナスに行こうか、ティア!」

第34話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


出ました、魔王の刺客!そしてまさかの「二体同時討伐」が条件の不死身トリック!


アルスの常時結界を破るほどのスピード戦はハラハラしましたが、そこでまさかの【ゼクス召喚】!魔族たちの「なんで魔人がここに!?」という絶望顔、書いていて最高に爽快でした(笑)。


そして激闘を終えて、アルスの頭の中に響く【レベルが上がりました!】の文字!


初代勇者の本を読み、魔人と特訓し、さらに魔族を倒して、アルスの強さは一体どこまでいってしまうのか……!


ちょっとしたお話ですが、最近は地震が多いですね……。読者の皆さんはお怪我などなく、大丈夫でしょうか? どうか体調や安全には十分に気を付けてお過ごしくださいね。


毎週水曜日の定期更新、楽しんでいただけていますでしょうか?


次回はいよいよ、物語の新しい舞台『魔導具の街ルミナス』へと到着します!


「ゼクスとの同時攻撃カッコよすぎる!」「レベルアップおめでとうアルス!」「来週の水曜日も待ってる!」と思ってくださった方は、ぜひ**【ブックマーク登録】や【評価の星(★★★★★)】**をポチッと押して応援をお願いします!励みになります!


新しい街でアルスたちを待ち受ける新たな出会いとは。


来週水曜日の18時半の更新も、どうぞお楽しみに!

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