第30話:解かれてゆく謎
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前回、死闘の末にまさかの仲間(?)となった魔人ゼクス。
今回はさっそく、アルスとティアの二人がゼクスによる熱い(?)魔法指導を受けることになります!
ティアのちょっと複雑な乙女心や、アルスが激闘の中で無意識に覚醒させていた「とんでもない新スキル」の判明、そして物語の核心へと迫る衝撃の事実が明かされます。
どうぞお楽しみください!
『アルス、これから魔法を教えてやる。まずは基準を知りたい、お前の一番得意な魔法を見せてみろ』
ゼクスが腕を組んでそう言うと、アルスは今すぐ魔法を教えてほしいと言わんばかりに、目を輝かせた。
「分かった! 俺が一番はじめに使った、あの『水球』かな?」
アルスがさっそく魔法の準備を始めると、ゼクスは少し離れたところで様子を伺っていたティアにも視線を向け、フッと不敵に笑いながら話しかけた。
『ティアと言ったか? ……どうだ? お前も我に魔法を教えてほしいか?』
「そ、それは教えてほしいけど……(――本当は、アルスと二人きりの特訓がよかったのに!)」
ティアは唇を少し尖らせて、あからさまに不満そうな声を漏らした。突然入ってきた頼もしくも強すぎる「邪魔者」に、内心気が気ではないのだ。そんな様子に気づいたアルスが、不思議そうに首を傾げる。
「ティア、どうしたの?」
「あ、ううん! ごめん、なんでも無いの! ぜひ教えてほしいです!」
慌てて首を振って取り繕うティアに、ゼクスは面白そうに鼻を鳴らした。
『そうか。ならばまずは、お前が今どんな魔法を使えるのかを教えてみろ』
「私は、アルスをサポートする『支援魔法』全般だよ」
『支援魔法か。なるほど、それは実に心強いな。前衛がどれほど強くとも、優れた後衛がいなければ戦線は維持できんからな』
魔人ならではの的確な評価に、ティアは少しだけ嬉しそうに表情を緩めた。
そこからは、アルスたちにとって驚きと発見の連続だった。ゼクスはかつて世界を揺るがした膨大な知識を惜しみなく披露し、アルスたちに様々な魔法の深淵を噛み砕いて教えてくれたのだ。
『よし、基礎は分かった。――アルスにはまず、我が使っていた索敵魔法『サーチ』を覚えてもらおうか。そしてティア、お前は『身体強化』を覚えるのだ』
ゼクスが下した方針に、ティアは「え?」と声を上げた。
「身体強化なら、すでにアルスに基本を教えてもらったよ?」
『フッ、アルスに教わったのはあくまで基礎中の基礎だ。実戦で魔人の攻撃を避けるための身体強化は、身をもって覚えるのが一番早い。――というわけで、さっそく我と戦え。安心しろ、死なない程度に手加減はしてやる』
「わ、分かったわ……っ!」
ゼクスの獰猛な笑みに引きつりつつも、ティアは杖を強く握りしめた。
そうしてアルスたちは、伝説の魔人ゼクスに厳しくも的確に指導されながら、平原で己の技をさらに鋭く磨き上げていくのだった。
『ティアも、自分の身を守れるくらいには強くなったな』
数日間の猛特訓の末、ゼクスは大きな腕を組んで、目の前で肩で息をするティアの成長を認めた。
ティアは地面に杖をつき、汗を拭いながら悔しそうに言った。
「はぁ、はぁ……っ。そ、そう言ってもらえるのはありがたいけど……ゼクスが、強すぎるわよ。よくそんなバケモノに、アルスは勝てたわね……」
『フン、悔しいが我はアイツに負けたのだ。……ところでアルスよ、我が降参する直前、お前はなぜ我の動きを完全に読んでいた? まるで、こちらの未来でも見えているかのようだったぞ』
すでにゼクスから教わった索敵魔法『サーチ』を完全に自分のものにしていたアルスは、特訓の手を止めてゼクスの疑問に答えた。
「ああ、あのときは……本当に『未来』が見えていたんだ。自分でもよくわからないんだけど、集中したらゼクスの次の動きが、視界にぼんやりと光の線になって浮かび上がってきたんだよね」
『な、何だと……!? 未来視だと!? お前ッ!? それは世界の歴史を塗り替えるような、ごく一部の傑物しか持っていない固有スキルだぞ……!? おい、今すぐ『ステータスボード』を確認してみろ!』
ゼクスはいつもの冷静さを失い、少し興奮気味にアルスに詰め寄った。
「分かった、見てみるよ。……あ、本当だ! スキルの欄に、新しく『未来視』が増えてる!?」
アルスが自分の目の前の空間を凝視しながら驚きの声を上げる中、一人だけ話についていけないティアが、混乱した様子で割り込んできた。
「ちょっと待って、アルス……? さっきから二人が言っている『ステータスボード』って、一体なんなの?」
「あ、そっか。ティアにはまだちゃんと説明していなかったね。ステータスボードっていうのはね、自分の強さを数値化して目の前に表示してくれる機能なんだ。しかも、モンスターを倒せば倒すほど、そのステータスの数値が上がっていくんだよ」
「ええっ!? それって……戦えば戦うほど、どこまでも無限に強くなれるってこと……?」
ティアは「ずるい!」と言わんばかりに目を丸くして、声を張り上げた。そんなティアの反応に、アルスは苦笑しながら手元の古びた本を指差した。
「多分ね……。でも、俺がいつも読んでるこの本には、限界まで試した人がいないから、本当に上限がないのかは分からないって書いてあるんだ」
アルスが何気なく見せたその本を一瞥した瞬間、ゼクスは目を見開き、次の瞬間には大爆笑を響かせた。
『ガハハハハ! その本、まさか……『初代勇者』の遺した魔導書か!? フハハハ、傑作だな! それはかつて、我と激闘を繰り広げた末に、我をこの地に封印してきた張本人ではないか! しかもアルス、お前アイテムボックスまで使えるのか! すごいな!』
平原に響き渡る魔人の豪快な笑い声。アルスは驚きで目を輝かせ、思わず一歩身を乗り出した。
「えっ、ゼクス、この本の著者のことを知っているのか!?」
『知っているも何も、初代勇者のことならば、その戦い方の癖からプライベートのくだらん愚痴まで全て知り尽くしているぞ! どうだ小僧、気になるならば、我が直々に奴の伝説を話してやろうか?』
「――すっごく気になる! 教えて、ゼクス!」
アルスは本を抱きしめ、子供のように目を輝かせてゼクスを見上げるのだった。
第30話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ゼクス師匠、初日から「死なない程度に手加減してやる」とティアにガチの模擬戦を仕掛けるあたり、さすが元・世界を震撼させた魔人ですね(笑)。でも、ティアの支援魔法をちゃんと評価してくれる良いお兄さんな一面も見えて、書きながら一気にお気に入りのキャラになりました。
そして、アルスが手に入れたのはまさかのレアスキル『未来視』!
それだけでも規格外なのに、ステータスボードにアイテムボックスまで使いこなすアルスを見て、ゼクスが呆れながらも爆笑するシーンは特にお気に入りです。
さらに衝撃の事実として、アルスが愛読していたあの古い本が『初代勇者』の遺したもので、なんとゼクスはかつてその初代勇者と戦って封印されたという、驚きの過去が繋がりました……!
「まさかのアイテムボックス発覚にゼクスが驚くの最高!」「ゼクスの語る初代勇者の過去話がすっごく気になる!」と思ってくださった方は、ぜひ作品の**【ブックマーク登録】や【評価の星(★★★★★)】**をポチッと押して応援していただけると、次回の過去編を執筆する手が爆速になります!
初代勇者と魔人ゼクスの間に、一体何があったのか――。
次回の更新もどうぞお楽しみに!




