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勇者パーティを追放された剣士、実は魔法が使えて世界最強に!?  作者: きむち
第4章:魔人襲来・魔法剣士と初代勇者編
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第29話:魔人と新たな仲間

いつも応援ありがとうございます!


前魔王の手下をも遥かに凌駕する、最強の魔人ゼクスの猛攻の前に防戦一方のアルス。


最悪のジリ貧状態の中、アルスは極限の集中力を発揮し、ある「新たな力」を覚醒させます……!


そして激闘の結末、物語は誰も予想しなかった衝撃の超展開へ――!?


ぜひ最後までお楽しみください!

 アルスは突然始まった規格外の戦闘に困惑しつつも、目の前の相手がこれまでの敵とは一線を画す、自分以上の実力者だと本能で察知していた。

 一瞬の油断が命取りになる。そう判断したアルスは、すぐさま『身体強化』を発動させて自身の身体能力を限界まで引き上げると同時に、自身の周囲に強固な『結界』を何重にも展開した。


 ドカァン!! ドカァン!!!と、ゼクスの凄まじい拳の連撃が結界を叩く。


『おいお前、その結界がいつまで持つと思っている?』


 拳の衝撃波だけで周囲の地面を爆ぜさせながら、ゼクスが余裕の笑みを浮かべて問いかけてくる。しかし、アルスは結界の維持に全神経を集中させながら、不敵に言い返した。


「さあ、分からないな。この結界、今までに一度も壊されたことがないからさ。……もしかしたら、お前なら壊せるかもね?」


『――舐めやがって、人間がァ!!』


 アルスの挑発にゼクスの目が怒りで細まる。

 凄まじい怒号とともに、ゼクスの動きがさらに一段階、加速した。先ほどを遥かに凌駕する速度と凶悪な威力をまとった拳が、容赦なくアルスの結界に猛攻を浴びせていく。


「(くっ……! どうしようか。このまま防戦一方で結界を張り続けていても、ジリ貧になるのは目に見えてる。どうにかして、この状況を打開できないかな。――よし、とりあえず攻撃に転じてみるか!)」


 激しい連撃の嵐の中、アルスはゼクスが拳を引き絞る一瞬の隙を突いた。

 結界の一部を瞬時に開き、そこからカウンターを狙って全力の魔法をゼロ距離で撃ち込む。

 完全に虚を突いた完璧な一撃――のはずだった。

 だが、ゼクスはまるで最初からそこに攻撃が来ることが分かっていたかのように、いとも簡単に、その魔法を片手でパシィンと掻き消して防いでしまった。


「――!? なんで……っ!? 完全に不意をついたと思ったんだけど……」


 さすがのアルスも、驚愕に目を見開いて声を漏らす。そんなアルスを見下ろしながら、ゼクスは勝ち誇ったように、ニヤリとおぞましい笑みを浮かべて煽るように言った。


『ハッ、バカだな。我を誰だと思っている、世界を統べる『魔人』だぞ? ――お前が魔法を発動する瞬間、その体内でどう『魔力の流れ』が動いているかなど、我の目には全て丸見えなのだよ』


 アルスは、何とか打開しようと考えたが、何も思い浮かばなかった。


「(本当にどうしようか……。仕方がない、極力やりたくはなかったけど、やるしかないのか……!)」


 これ以上の防戦一方は危険だと判断したアルスは、意を決して腰の魔剣を引き抜いた。そして、その白銀の刃に眩い『光属性』の魔力を一気に纏わせる。


『ほう、面白い。今度は剣に魔力を纏わせたか』


 ゼクスが面白そうに目を細める。

 アルスはさらに、身体に負荷がかかりすぎない絶妙なバランスを見極めながら、体内の『身体強化』の出力を限界まで引き上げていった。


『なに……っ!? 身体強化の重ね掛けだけで、そこまで練度を引き上げるというのか! だが小僧、あまり長く身体強化をかけ続ければ、集中力が切れると同時にその未熟な肉体が崩壊するぞ!』


 魔人が不敵に笑いながら、再び超高速の連撃を繰り出す。

 しかし、今のアルスは自分自身すら驚くほどの、極限の集中力を発揮していた。


 ――その時だった。


 アルスの目の中で、世界の時の流れが引き伸ばされたように感じられ、目の前の視界がぐにゃりと歪んだように見えた。


「(な、なんだこれ……!? 魔人の、先の動きが見えているのか……!?)」


 極限状態の中で、アルスは無意識に全身へと魔力を精緻に巡らせていた。それが眠っていた新たな力――『未来視』にも似た超感覚を覚醒させたのだ。


「(これなら……いけるかもしれない!)」


 ゼクスが繰り出す超高速の拳。その「軌道」が、繰り出される前にアルスの脳内に鮮明な光の線となって浮かび上がる。

 激しい衝撃音が平原に鳴り響く中、少しずつ、だが確実に、ゼクスはアルスに押し返されていることに気がついた。


『お前、何をした……っ!? さっきまでは我の猛攻に防戦一方だったはずだ! なぜいきなり、我が一撃を全て完璧に回避し、的確にカウンターを入れてきているんだ!? しかもその剣……ただの光属性の付与じゃねえ、威力が上がり続けていやがる!』


「ど、どうだ……っ!」


 光を纏った魔剣が、ゼクスの強固な肉体を次々と切り裂いていく。

 ゼクスはだんだんと自分が圧倒劣勢に立たされ、身体の奥深くに致命的なダメージが蓄積され始めている事実に驚愕した。


『……くっ、そこまでか! 分かった……悔しいが降参だ! このまま戦い続けても、我がそのうちジリ貧で負けるだけだ。なんせお前……戦えば戦うほど魔力が回復してやがる。その魔力量、まさか無限なのか……?』


 戦いの中でアルスの底知れない魔力の異質さに気づいたゼクスは、潔く両手を挙げて背中を向けた。

 アルスは魔剣の光を消し、ふぅ、と息を吐いて尋ねる。


「ゼクス……。お前、何か知っているのか? 俺のステータスボードにある、この変なマークの事を……」


『マークだと? お前、まさか『ステータスボード』を自ら視認できるのか!? まさか魔王城にでも乗り込んで、禁忌の書でも読んだのか?』


「いや、見れるけど魔王城には行っていないな。魔王の手下なら、前に街を襲ってきたから返り討ちにして倒したけど」

『何だと……? お前、完全に魔王に目を付けられているな。――いや待て、お前はもしや『勇者』なのか? あの遠くで怯えている小娘はお前の仲間か?』


「そうだ。ティアは俺の最高の仲間だよ」


 アルスには、なぜゼクスがここまで熱心に質問してくるのか分からなかった。

 しかし、ゼクスはしばらくアルスの顔をじっと見つめた後、フッ、と獰猛ながらも晴れやかな笑みを浮かべた。


『気に入った。――おいアルス、我はお前の仲間になりたい』


「……え? なんで?」


 あまりにも唐突な手のひら返しに、アルスは呆気に取られた。


『我はお前という存在を気に入ったのだ。それに、その底知れぬ成長速度……お前はいずれ、この世界の頂点、世界最強へと至るだろう。我はただ、その旅路を特等席で観てみたくなっただけだ。仲間に加えてくれるなら、お前の大好きな『魔法』の深淵についても、我の知識を全て教えてやろうではないか』


 その言葉を聞いた瞬間、アルスの目が少年のようにキラキラと輝いた。


「魔法の深淵!? よし、いいぞ! 合格だ! 今からゼクスは、俺たちと対等な仲間になるわけだな! 改めて、俺はアルスだ。これからよろしくな、ゼクス!」


『フハハ、よろしく頼むぞ、アルス』


 そうして二人ががっしりと握手を交わし、今後のことを少し話し合っていると、遠くで待機していたティアが恐る恐る駆け寄ってきた。


「アルス……っ! 大丈夫!? 無事なの!?」

「あ、ティア! 大丈夫だよ! そうだ、ちょうど良いところに! ティア、今からこの魔人のゼクスが、俺たちの新しい仲間になったよ!」


「…………え?」


 さっきまで世界を滅ぼしかねないオーラを出していた魔人と、笑顔で肩を並べているアルス。

 ティアは思考が完全に停止し、口を開けたまま、石のようにその場で完全に固まってしまうのだった。

第29話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


極限状態の中で全身に魔力を巡らせ、魔人の先の手を読む力を覚醒させたアルス! さらに光属性を纏わせた魔剣での見事なカウンター、最高に熱い決着でした!


そして、まさかの魔人ゼクスが仲間に……!?


最初はアランの差し金として襲ってきたゼクスですが、アルスの底知れない魔力量と規格外の強さ、そして器の大きさに惚れ込んでしまったようです。「魔法を教えてやる」と言われて一瞬で目を輝かせるアルスも彼らしくてお気に入りです(笑)。


一方、置いてけぼりにされて「新しい仲間だよ!」と紹介されたティアの心境たるや……。


完全に固まってしまったティアですが、次回、無事に再起動できるのでしょうか?


「アルスの覚醒シーンにしびれた!」「ティアの最後のフリーズに笑ったww」という方は、ぜひ作品の**【ブックマーク登録】や【評価(星ポチ)】**で応援していただけると、今後の二人の旅路を執筆する凄まじい励みになります!

伝説の魔人を仲間に加え、アルスの旅はさらに予測不能な方向へ。


次回の更新もどうぞお楽しみに!

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