第3話:アルスの実力
お待たせしました、第3話です!
冒険者ギルドでの登録手続き、一体どうなるのでしょうか……?
それでは、本編をどうぞ!
「はは、実はそうなんですよ……昨日追放されちゃいました」
苦笑いしながら答えるアルスに、受付嬢はあからさまな「同情の視線」を向けた。
(やっぱり本当なんだ……。勇者パーティの足を引っ張って追い出された無能、ね。ちょっと可哀想だけど、冒険者の世界は甘くないのよね……)
受付嬢は心の中で小さくため息をつくと、営業スマイルを作り直して手元の書類をトントンと整えた。
「……左様でしたか。大変でしたね。では、さっそくですが冒険者登録の手続きに入らせていただきます。まずは、こちらの『魔力測定の水晶』に手を乗せていただけますか?」
「はい!」
アルスは魔力測定の水晶に手を乗せた――その途端だった。
――パリィィィン!!!
鈍い音を立てて、魔力測定の水晶がいきなり割れた。
「――え。アルス……さん?」
「あれ? なんで割れたんだ?」
ガヤガヤとしていたギルド内が、嘘のように静まり返る。冒険者たちの驚愕の視線が一気にアルスへ集まる。
(おかしい……アルスは昨日勇者パーティを追放された無能なはず。なのに水晶を割った……!?)
「え……と。この水晶……弁償が必要ですか?」
おずおずと尋ねるアルスを見て、受付嬢は慌てて過去の資料を取り出す。
(なんで1回目の測定時は割れなかった? 1回目の測定時は『王都で1番魔力が高かっただけ』だったはず……。勇者パーティに入っている間に魔力が跳ね上がった? いや、それは無いはず。とにかくこのアルスさんの事をギルド長に報告しなくては!)
「あの。大丈夫ですか?」
「す、すみません。少しぼーっとしてました。アルスさん、少しお話があるのでこちらへ!」
アルスはわけも分からず、ギルドの奥にあるギルド長室へと連れて行かれた。
重厚な部屋の中で待っていたのは、いかにも実力者といった風貌のギルド長だった。
受付嬢から事情を聞いたギルド長は、じっとアルスを見据えて問いかけた。
「アルス君。君は水晶を割った。水晶の測定可能な数値を大幅に上回ったということだ。……これは、この世界で2人目だよ」
「え……」
アルスはかなり驚いた。
まさか自分に、そこまでの魔力があるなんて思ってもみなかったのだ。
「でも、俺、魔法は使えないですよ……」
「――いや、君は魔法を撃てる」
「え……? 今。魔法を撃てるって言いました……?」
「そうだ、アルス君は間違いなく魔法を撃てる」
「では、何故俺が魔法の詠唱をしても出てこないのですか?」
ずっと抱えていた疑問をぶつけるアルスに、ギルド長は静かに首を振った。
「理由は単純だ。アルス君の魔力が高すぎて、一般の魔術師が使うような普通の魔法の『型』には、魔力が入り切らないんだよ。その結果、器から溢れるように、魔法を撃とうとした瞬間に霧散して消えてしまうんだ」
「じゃあ、どうやって魔法を撃てばいいんですか?」
「『詠唱』に頼るな。イメージをするんだ。例えば水の魔法なら、頭の中で完璧な水の球体をイメージしてみろ。……よし、君に簡単な依頼を出すから、外で練習してきなさい」
「分かりました……!」
「……っと、その前にもう1つ、いいかい? 何故1回目の測定の時は水晶は割れなかったんだ? 何か心当たりがあったりするかね?」
「……いえ、分かりません」
「そうか。これは後で分かることかもしれないな」
「おっと、そうだった自己紹介がまだだったね。俺の名前はダイアだ。よろしくな! 依頼が終わったらもう一度ここに戻ってきてくれ」
「俺は、アルスです。分かりました! こちらこそよろしくお願いします!」
そうしてアルスは、驚きと高鳴る胸を抑えながら、ギルド長室を後にした――。
第3話をお読みいただきありがとうございました!
ついにアルスの魔法が使えなかった本当の理由が判明しました。
次回、いよいよ外に出て初めての「イメージによる魔法」に挑戦します。一体どんな規格外の魔法が飛び出してしまうのか……!?
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