第13話:2人の決意と新たな道
お待たせしました! 第13話です!
今回は、いつもよりラブコメ要素がかなり多めとなっています!
執筆していて、正直私もびっくりしましたよ……(笑)
アルスの無自覚な行動と、それに翻弄されるティアの可愛さに、ぜひニヤニヤしながらご覧ください!
扉がノックされ、アルスとゼノンが部屋に入って来た。
アルスと目が合ったティアは赤面し、そっぽを向いた。
「これは、これは。初めまして、アルスの父のゼノンだ。これからもアルスを支えてくれると嬉しい」
「は、初めまして。アルスの仲間のティアです。よろしくお願いします」
ティアは少し赤面しながら自己紹介をした。
「ははは、アルス。本当に素敵な仲間に出会えたようだな。お前にはもったいないくらいだ」
「え? あ、うん、本当にティアには感謝してるんだ。俺を信じてついてきてくれた、初めての仲間だからね」
アルスが真っ直ぐな目でそう言うと、ティアは嬉しさと恥ずかしさで、心臓がハチ切れそうになるのだった。
「ところでアルス。今日はどうするのかね?」
「今日はひとまずここに泊まっていくよ」
「分かった。では昼食の準備をするから昼食ができるまで2人で外を見に行ってきたらどうだ?」
ゼノンはなぜか、少し企んでいるような笑みを見せた。
(アルスとデート! これは行くしかない!)
「アルス! 行こう!」
「いいよ! 行こうか」
アルスとティアはフェルタ村をふらついた。
「アルス! これはなに?」
家を出てから少しのところにあるお店が目に入ったティアは気になって、アルスに聞いてみた。
「これは、フェルタ村特産物のフェルタ。この村の名前の由来の食べ物だよ」
「へぇ~。アルス!食べてみよう!」
「もちろん」
「なにこれ! すっごく美味しい! 生地がふわふわで、噛むと中から甘いシロップがじゅわって広がって……! 何個でも食べられそう!」
「ははは、気に入ってくれて良かった。でも、そんなに慌てて食べなくても誰も取らないよ?」
勢いよくフェルタを口に運んだティアの頬には、ほんのりと白いシロップがついてしまっている。
「あ、口元についてるぞ」
「え? どこ……?」
「ここだよ」
アルスは自然な動きでティアの顔に手を伸ばすと、親指で優しくそのシロップを拭い取った。
「……っ!?」
「ほら、取れた。相変わらず美味しそうに食べるなぁ、ティアは」
アルスは何の気なしに笑いながら、指先についたシロップをペロッと舐める。
アルスのあまりにも無自覚で男前な行動に、ティアの心臓は今日一番のスピードでバックバクと鳴り響いた。
(お、おば様……! アルスが押しに弱いかどうかを試す前に、私の心臓が持ちません……!)
赤面どころか、頭から湯気が出そうになるのを、ティアは必死に腕で顔を隠して誤魔化すのだった。
なんとか心臓のバクバクを落ち着かせようと 必死なティアを連れて、アルスはある場所へと歩みを進めた。
村の外れにある緩やかな坂道を登りきると、そこはフェルタ村を一望できる、緑に囲まれた小さな高台だった。
「わぁ……! 凄く綺麗な場所……!」
思わず顔を上げたティアの瞳に、のどかな村の景色と、優しく降り注ぐ太陽の光が映り込む。
「だろ? ここ、俺が子供の頃によく魔法の練習をしに来ていた、お気に入りの場所なんだ」
アルスは懐かしそうに目を細めながら、柵に手をかけた。
「俺さ、アランたちに追放されたときは、これからどうしようかって少し迷ったんだ。でも、ティアが俺を信じてついてきてくれて、父さんや母さんも背中を押してくれた。だから、俺は俺のやり方で、絶対に魔王を倒してみせるよ」
その横顔は、いつもの鈍感なアルスではなく、一人の頼もしい『勇者』の顔だった。
「世界を守るため、そして……俺を信じてくれたティアを、絶対に守り抜くためにね」
「アルス……」
真っ直ぐ自分に向けられた言葉に、ティアの胸がギューッと熱くなる。
お母さんのアドバイスにあった『引き』なんて、今のティアには必要なかった。ただ、この大好きな人の隣にいたいという真っ直ぐな想いが、言葉になって溢れ出す。
「うん! 私も、ずっとアルスの隣で支え続けるよ! どんな強い敵が来ても、絶対に離れないんだから!」
そう言って、ティアは今度はそっぽを向かずに、満面の笑みでアルスの目を見つめた。
「ありがとう、ティア。……よし、じゃあお腹も空いてきたし、そろそろ父さんたちのところに戻ろうか」
「ふふ、そうだね!」
並んで坂道を下り始める2人。
アルスが歩み出した『世界を救う勇者の道』。
そして、ティアが心に決めた、アルスの隣を歩き続けるという『新たな恋路』。
2人の決意を乗せた物語は、このフェルタ村から、確かな一歩を踏み出すのだった。
ご覧頂きありがとうございます!
第13話はいかがでしたか?
まさか自分でこんな放課後デートみたいな青春イチャイチャを書くことになるとは……。
なんだか書いている私自身も、途中で恥ずかしくなってきちゃいました(笑)。
でも、アルスとティアにはこれからもっとたくさんの青春を経験してもらおうと思っています!
恥ずかしさを殺して、これからも甘い展開をどんどん実行に移していきますね!
次回、第14話はフェルタ村でまさかの出来事が!?
2人はどうなってしまうのか!
次回もお楽しみに!
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