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意外とイケてる錬金パーティー  作者: TAIRA
第1章:出逢い編

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05:カノジョとカノジョ



「センパイしつこくない?」

「いやだって――」

「はいココア、ゆっくり食べないとお腹が驚くかも」

「ありがと、ゆっくり食べる」

「………」


 リリに屋台メシを買ってもらったココアは、大学の友達と話しているような雰囲気でリリとベンチに座った。俺がおかしいのか? 俺って意外と常識人だった?


「ん! 美味しい♪ これ名前あるの?」

「パーニャだよ。中身は色々あって、何か分かるように少しだけ中身を出して包んであるの」

「そうなんだぁ。あむ。(もぐもぐ)」


 ココアが食べているのは、ケバブサンドのパイ生地バージョンみたいなパーニャらしい。

 こっちの人は生野菜を食べないからか、野菜と肉を生地で包み込んでから焼いてある。

 なんで生野菜を食わないんだろ。


「リリっていくつ? あたし十九。もうすぐ二十歳だけど」

「十八だよ。私ももうすぐ十九」


 おぉ! 十八歳未満だたらどうしようか思ってたよココアぐっじょぶ!


「だよね、同じくらいって思ったもん」

「私もそう思ってた。ココアの髪色カワイイよね。何て言う色?」

「ここから上がピンクブロンドで、毛先まではスウィートピンク」

「イオリのスマホだと目も髪と同じ色だったよね?」

「あーカラコンね。今は外してんの。見る?」

「見たい見たい」


 ナントカいうブランドのトートバッグからデコったケースを出したココアが、キャップを開けてカラコンを見せた。俺もこの状態は初めて見る。


「すごーい。入れ物もカワイイ。どうして水に浸けてるの?」

「水じゃなくて保存液だよ。んーと、これね。こっちは洗う用の」

「結構大変?」

「カワイイには代えられないでしょ」

「分かる~」


 女子のバッグは四次元ポケットだな。なんか意気投合してるし。

 二人とも俺の彼女でお互いに仲がいいってどんなアニメだよ。

 つーか、俺の居場所がねえな。


「俺さ、先にルーカスん家いってていい?」

「ルーカス? ジョージ? 男だよね?」

「ルーカスさんは錬金術師のおじ様だよ」

「うわぁ錬金術って、やっぱあるよね~。あたしも行くー」


 というわけで、小動物のようにパイを齧るココアを引き連れて来た道を戻る。


「イオリもう道覚えたの?」

「来た道はね」

「センパイすぐ覚えるんだよ。パルクールやってるからとかイミフだけど」


 なんかもう言われっぱなしなんだが、パルクールやってると〝面白そうな道〟をつい探してしまう。

 壁とか障害物とかを頭ん中に並べてコースを作るからか、自然と道を覚える。

 気まぐれに走る方が楽しいんだけど、都内でそれやると通報されたり怒られたりするから仕方ない。


「ぱるくーる?」

「センパイ見せてあげたら?」

「んじゃ軽く」


 細い裏路地とあって左右の壁を蹴りながら走って側宙での片足着地から、積まれた木箱を跳び箱代わりにジャンプしつつ片手で跳ねて捻り前宙で着地。九点!


「すごいすごい! カッコイイ!」

「頭おかしいけどカッコイイよね」

「お前さ、なんか遠慮なくなってね?」

「だってもうカノジョだもーん。後でちゃんと告ってね」

「ねえねえイオリ、登録用紙に書いてた踊りも見てみたい」

「ここじゃムリ。狭いし汚れる。また今度な」

「ココアは見たことあるんだよね?」

「うん、この人カワイイ子見つけるとダンス始めるからね」

「やらねえしっ!」

「とか言っといて?」

「場所が良ければ…ってやらねえわ!」

「あははウケる」

「イオリとココアと一緒にいると楽しい♪」


 確かに楽しい。

 カノンとユウトが見つかって、リリの友達とかも加わったらスゲー楽しくなりそうだ。

 でもリリの負担がデカくなるからバイト探さないと。


「ただいまさーん」

「ルーカスさん戻りましたー」

「おじゃましまーす」

「……お前はノックという言葉を知らんのか?」

「バカにすんな知ってるわ」

「ノックしろって意味でしょ」

「私もそう思う」

「へいへい」


コンコン


「ルーカスくーん、あーそーぼー」

「ぷふっ」

「バカだね」(ケラケラ)

「………」


 ため息をつくルーカスに満足しながら座り、ココアを紹介して話を戻す。

 どこに戻せばいいか分からんのでリリに目を向けた。


「ルーカスさん、幾らで買ってもらえるの?」

「二十五万シリンでどうだ」

「シリンで二十五万も!?」

「無論だ。銅も含めその価値は十分にある重量だ」

「すごい! 良かったねイオリ!」

「すまん、喜びどころが分かんね」


 シリンはルベリオン帝国の通貨単位らしい。

 少なくともこの大陸では最も価値が高い通貨で、高額な売買取引では決まってシリンが指定される。


 ギルド職員のリリは平民の中だと高給取りに入るらしく、月給をシリン換算すれば八万くらい。

 八万シリンをこの辺のユルグ通貨に換算すると、二十から二十四万になるそうだ。

 振り幅が大きい理由は、十年以上前に造られたユルグ硬貨は銀の含有量が少ないから。

 だから商人は銀が多い新しいユルグ硬貨を選り好む。


「ってことは、今月中にバイト見つければ生活できる、か?」

「今月は今日までだ」

「あそ、じゃあ来月中で」

「あたし屋台やってみたい」

「仕入れルートがないだろ」

「小麦粉スイーツ。ドーナツとか、サーターアンダギーとか」

「おー頭いいじゃん。んや、テンプレだと白砂糖って高いんじゃね?」

「すごーく高い贅沢品だよ」

「「はい消えた」」


 これは薬草採取かなぁと思っていたら案の定。


「お前たち、私の工房で働かぬか?」

「えっ? ルーカスさんそれってまさか」

「まさかの薬草採取かよ。テンプレ路線乗ってんなあ」

「テンプレはんたーい。こっちの虫大きくてドン引きしたー」

「失念していた、二人は魔術師を危険視する国から来たのだったな」


 ココアが『設定?』と囁いたので、テーブルの下でサムアップしながら話す。


「俺ら魔術なんて使えねえよ?」

「術式は不要だ。二人の尋常ならざる魔力を利用したい」

「やっぱりそうなんだ。二人ともすごい量なの?」

「強度も並みではない。大国の認定魔術師を凌ぐ可能性が高い」

「すごい! あ、だからすんなりイオリを入れてくれたの?」

「否定はせぬ」


 リリのリアクションからしてチート臭い。が、今はありがたい。


「ちなみに給料はどんなん?」

「出来高だ。仮に魔力操作の基礎を一月で覚えれば、二月目は少なくとも十万シリン。才能と努力に依存するが、三十万以上を稼げる可能性も十分にある」

「すごいよイオリ! ココアも!」

「どうかねココアくん」

「良いんじゃないかなイオリちゃん」

「ちゃん言うな。頼み事してくる母さんの顔が浮かんだわ」

「お母さんと一緒ならやめとく。あたしもお父さんに呼ばれると恥ずいし」

「なんて呼ばれんの」

「ココちゃん」

「カワイイじゃん」

「私もカワイイと思うよ?」

「そ?」

「ペットっぽくて」

「あ‟?」

「さーせん」

「ふふっ」

「そういう話は帰ってからやれ」


 そうね。俺も目の前でうだうだやられたらイラっとしそう。


「基本雇ってもらう方向だけど、他に条件とかある?」

「条件を設けないための出来高だ。租税も負担してやるが稼ぎは修練次第。休みたい日に休み、辞めたい時に辞めてよい」

「おーけー、俺らも楽でいいわ。な?」

「うん、イイネ連打できる自由業サイコー」

「他の二名については、私から代官府に捜索協力を頼んでおく」

「警備隊が気にかけてくれるならすぐ見つかりそうだね」

「マジ? ありがたいわ」


 ココアはカノンのことがイマイチなので何も言わなかった。


「ココア、祭りに行ってみるか? 楽しめてないだろ?」

「行くー! みんな楽しそうでムカついてた!」


 そりゃそうだと思いながらルーカスの家を後にし、三人で祭りに出かけた。

 泥酔者をケラケラ笑うココアの笑顔が普段どおりで本当に良かった。

 カノンとユウトのことは気になるものの、二人とも頭がいいからどうにかしてるだろう。



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