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意外とイケてる錬金パーティー  作者: TAIRA
第3章:自立編

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46:狩りと野営に必要なモノ



 ミレディ宅の玄関先にて、道行く人たちの耳目を集める戦いを繰り広げている。


 ただの価格交渉なんだが、ミレディが最初に『五百万』と言った時にはドン引きした。

 帰ろうとしたら肩をガシッと掴まれたので、俺は三千九百万から、ミレディは三千万からスタートして、今に至っている。


「三千三百!」

「三千七百」

「せこいぞイオリ!」

「ミレなんとかって女が言うに、金はいくらあっても困らねえらしいぞ?」

「くっ、三千四百!」

「三千六百五十」

「ぐぬぬぬ…三千五百!」

「三千六百。これ以上は引かん」

「三千五百五十! これ以上は出せん!」

「よく言うな? めんどいから帰ろうぜ。やっぱハンターに依頼しよう」

「待て待て! 三千六百で買うから帰るな!」

「毎度あり。解体費用はミレディ持ちな」

「なっ!? それはないだろう!?」

「ならこの話はなかったってことで、さよなら」

「だから帰ろうとするな! 分かった払うから!」

(よし勝った)

(ミレディの涙目ウケる)

((どっちもどっち…))


 原価と馬車代、ロープやら野営の道具代、食料費を引いたら利益は……

 まぁ三千万として、五人で割れば六百万シリン。

 服と靴の代金を払っても余裕で釣りが出る、はず。

 一人二着ずつオーダーしたらしいから微妙かもしれん。


「出発は明日の朝な。今日の夕方に金を回収するから用意しとけよ。んじゃ」

「お前はどこの取り立て屋だ!」


 回収は早く、支払いは遅く。社会常識だろ。


 リリの窓口に寄って、八日後を目途に解体職人の手配を頼んだ。

 解体費用は数に関係なく一日十五万ユルグだと。

 二十頭くらい狩る予定だから、三日かかるとして四十五万ユルグ。

 ギルドの手数料が三万ユルグ。安くはない。


 頭数に関係なく十五万ってことは、高給取りなんだろうか。

 んや、解体依頼が毎日あるわけじゃないからかもしれない。


「私も行きたいなぁ」

「休めるなら行こうぜ」

「ギルドの皆に迷惑かけちゃうから我慢する」

「いつになるか分からんけど、皆で旅行しような」

「うん! 楽しみにしとく♪」


 その足で商工業者ギルドへ行って一番デカい二頭立ての箱型馬車を借り、

 いつの間にか御者の真似事が出来るようになっていたユウトの操馬で道具商会へ。


「もしかして、ユウトさんは乗馬ができるの?」

「はい、六歳から乗馬クラブに通っていました。最初はポニーでしたけどね」

「すごーい!」

((ハイソめ))


 キャンピングギアと同じく、野営道具もお高い。

 が、見ているとアレもコレもと欲しくなるし楽しい。


「少し大きい手鍋は要るよね?」

「要るー! スープくらい飲みたい!」

「干し野菜とか持って行かなきゃね♪」

「そうなると木炭も必要ですね」


 ココアたちも楽しそうだ。

 空間拡張バッグが欲しいところだが、造るための狩りでもある。

 あと、経験からして絶対に困るアレ。


「トイレは考えなくていいのか?」

「「「!?」」」


 やっぱり頭になかったか。デカい馬車にして正解だ。


「木材と壺買ってトイレ造るぞ。音は我慢で」

「ムリ!」

「私も無理!」

「僕も無理です!」


 こいつらマジで。アパートのトイレも前を歩けば聞こえるだろうが。


「カノン、遮音術式をソッコーで作れるか?」

「命を懸けて創るよ!」

「僕も死力を尽くして手伝います!」


 そこまで? そりゃ落ち着いて出せるけども。


「ココア、藁半紙あるか聞いてきて」

「はーい」


 庶民はケツを拭くのに藁半紙じゃなく、藁や藁を編んだ短い縄を使う。

 アパートで見た時は衝撃的だったが、俺はすぐ慣れた。

 しかしココアたちが慣れないと言うので、藁半紙の束を置いている。


 一月の下旬には【浄化】【分解】【蒸発】【造水】【噴出】の漢字術式で、アパートのトイレをなんちゃってシャワートイレに改造した。

 ケツを洗った水が蒸発するのに時間がかかるため、デカい壺が必要になったものの満足している。

 【浄化】と【分解】は一瞬なので、『臭いがない!』とリリが驚いていた。


 瞬間蒸発もやれば出来るが、将来的に安く売りたいので、ミスリル系魔銀でコストを抑えた。

 その時に【遮音】も作ってみたのだが、なぜか音は消えなかった。

 音に関する俺の知識が足りていないからだろう。

 恥ずいからユウトとカノンには言ってないが。


「ロープと滑車はあるけどスコップはないな。どうやって穴掘ってんだ?」


 そう思いながら見て回っていると、それらしい物があった。

 木の棒の先に、先端を削った木の板を縛り付けたモノ…

 コレはないな。スコップ造ろう。


「紙ないって」

「そっか。後で文房具屋に行くか」


 鍋と木炭、テントっぽくないテント、敷布ならぬ敷革、ロープという名の縄、木製滑車、木製カトラリー、木製のボウル皿とカップ。

 締めて七十万とんで五千四百ユルグ。


 テントと敷革がお高い。

 滑車も何気に高い。

 鍋が高いのはお決まりだ。


「ユウト、金属屋と材木屋を経由して文房具屋でよろ」

「金属を買うんですか?」

「スコップ造るから鉄が欲しい」

「この辺は鉄の含有量が多いので抽出できますよ? 炭素鋼にも出来ますし」

「なら材木屋」

「ねえセンパイ、お鍋も造形すれば良かったくない?」

「売ってる物は買えばいい。金は天下の回りものって言うだろ」

「なにそれ」

「ユウト出発」

「教えろー!」


 金がないなら造るけど、あるんだから買えばいい。

 材木屋で板材とコの字型の釘と蝶番(ちょうつがい)を買い、文房具屋で藁半紙を買って帰着。

 ユウトとカノンは馬に水と飼葉を用意し始めた。


「ノコギリ貸してくれ」

「裏庭の倉庫だ」


 ルーカスはアレコレ詮索しないから楽でいい。


「手伝えることある?」

「ある。そこでウンコ座りして。体育座りでもいいけど」

「パンツ見たいの?」

「アホか。スケールないから地面に幅と奥行の線引く。高さは俺の身長基準」

「天才?」

「まあな」(キメ顔)


 床と壁と扉の基準材を切り出し、あとは必要な数を基準材に合わせて切る。


「次は空気椅子やって」

「え?」

「俺の膝下に合わせたら便座が高すぎるだろ?」

「天才?」

「まあな」(変顔)

「バカだ」(笑)


 家の便器は、独立したチェストの天板に穴を空けたようなもの。

 だが、面倒なので左右と背面の壁板に直打ちして、便座板が割れないよう支え板を切り出し、左右の壁板に固定する。


「天井はないの?」

「遮音するし要らないだろ。もし雨降ったら濡れるってことで」


 日本にいたら、雨に降られながら用を足すなんてあり得ない。こっちはアリだ。


「お待たせしました。炭素鋼にしてあります」

「魔銀とノートも持ってきたよ」

「さんきゅ。術式はイケそうか?」

「たぶん大丈夫。風系統で音波を相殺しようかなって」


 音波を相殺…ノイズキャンセリング? ま、こういう知識の差だな。


 子供の手の平サイズの板を切り出し、魔銀ワイヤーを巻きつけた魔銀の薄板を貼る。

 ノートの【造水】と【噴出】を魔銀に【刻印】する。

 ゴムを漏斗形状に【造形】して、口が広い方を刻印した魔銀に被せる。


 角度を気にしながら便座の裏側に打ち付け、ワイヤーを座面に引きまわし、水が噴出する位置に手を翳してワイヤーに魔力を流す。

 よし、こんなもんだろ。

 位置の微調整はケツを動かす感じで。


 壺の裏に【浄化】と【分解】と【蒸発】を【刻印】した魔銀を貼り、便座の下に置いて魔銀ワイヤーを座面へ引きまわす。

 あとは遮音術式待ちだ。


 スコップを造っている間に【遮音】術式が出来上がり、魔銀板に【刻印】して便座の隅に貼り付け、ワイヤーを纏めてケツが当たる位置に固定。

 中に入って扉を閉めて魔銀ワイヤーに手を当て、水を被らないよう噴出口を手で塞ぐ。

 そして魔力を流しながら声を張る。


「ぷぅ~! ブリブリッ! ………ココアのツッコミが入らない。遮音術式スゲー」


 さて、ミレディから金を回収したら、帰ってメシ作ってリリを待つか。



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