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意外とイケてる錬金パーティー  作者: TAIRA
第3章:自立編

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46/61

45:魔獣講座

活動報告にも書きましたが、5/6までは24時と12時に1本ずつ投稿します。

楽しんでもらえたら嬉しいです。



 迷宮都市向け百個の材料が揃うのは、三月二十日頃。

 魔術薬を作る時期でもないので、ヒマ感がハンパない。


 ユウトの貧乏も解消されたし、いい加減にレンタル防寒着を脱ぎたい。

 とくればだ。


「服をオーダーメイドしようぜ」

「ムリっすよパイセン!」

「なにキャラ?」

「わかんない」(笑)


 デザインは少し変更したが、パターンとかいう服の設計図は完成している。

 なぜ無理なのさと尋ねれば、もうオーダー済みだから、と。


「は?」

「トップスとボトムスだけね」

「いつ?」

「昨日。センパイがリリを襲ってた時」

「襲ってねえけどマジで?」

「マジっす。ってことで魔獣狩りに行こうぜ!」(サムアップ)

「なに言ってんのアホなの?」

「ちょっとだけ」(キメ顔)

「仕立て屋さんにね、コートの裏地は魔獣素材がベストって言われたの」

「ブーツもです。革職人を紹介してもらいました」


 読めた。

 トップスとボトムスは仕事に支障がなく、役割にも合うデザインにしている。


 俺のトップスは夏用のTシャツと、冬に重ね着する厚めのロンT。

 ボトムスはちょいルーズなカーゴパンツ。今がタイトカーゴだから。

 靴は、つま先鉄板入りのエンジニアブーツ。


 ココアは夏用にオフショルのロンTと、冬用はハイネックのロングニット。

 ボトムスは『ミニスカと見せパンは譲れない! 冬は毛糸パンツ!』だと。

 靴は柔らかい革素材のニーハイブーツ。

 夏用にデッキシューズも作るらしいが、俺はビーサンがほしい。


 リリはトップスがココアと同じで、ボトムスは俺と同じがいいそうだ。

 ココア快心のタイトなワンピースは『恥ずかしいよ』と却下された。


 リリにルーズカーゴはピンとこないから、タイトなカーゴにする。

 靴はココアが可愛くデザインした編み上げブーツ。


 ユウトはスリーピースとネクタイに、靴はショートブーツ。

 カノンはリボンシャツとパンツスーツに、ユウトと同じくショートブーツ。


 ココアのミニスカとニーハイブーツ以外は、デザイン的に無難だ。

 靴底は錬金合成した強化ゴムにする。

 こっちの靴底は、木製か薄い革を貼った物なので歩きにくいこと請け合いだ。


 問題は、クソ寒い冬用の防寒着。

 オシャレとか言ってられない寒さなのだ。


 切っ掛けは、リリが『お揃いにしたーい!』と言ったこと。

 チームなんだしいいじゃんってことで、立て襟のフード付きダッフルに決定。

 フードも含めて裏地をリアルファーにするかもしれない。

 俺は出来た物を着るから何でもいい。


「動物より魔獣の方がいい理由は錬金処理するからか?」


 三人が頷いた。

 これの切っ掛けは、俺が『寒くねーの?』とルーカスに尋ねたこと。


 俺たちがガクブル震えていた時も、ルーカスは薄手の黒ローブだけで平然としていた。

 聞けば、裏地が錬金処理した魔獣の毛皮だから寒くないと。


 動物の毛皮も特殊な錬金処理をして裏地に刻印すれば、魔力を流すことで保温効果を得ることが出来るそうだ。

 それが魔獣の毛皮になると、僅かな魔力量で格段に高い保温効果を得られるらしい。


「コートの裏地は分かったけど、ブーツは何でだ?」

「魔獣の革は耐久性が格段に高いそうです」

「ダッフルの表地はヒツジ魔獣の毛糸で、あたしのニーハイは羊革にするのー」

「防水と防カビ用の錬金処理もあるんだって」

「ルーカス出来るのか?」

「私が考案した処理法だ。三種混合錬金溶液に十日も浸ければよい」


 あぁそうか、仕立て屋もルーカスの紹介だったな。

 それはいいとして、


「魔獣ってヤバいから肉も高いんだろ? 狩れるのか?」

「魔獣ハンターより強い人がいるじゃん」

「………あぁミレディ?」


 三人が頷いた。なんかすげえ高くつきそうなんだけど。


「解体は戦闘系ギルドと契約している解体職人に頼みます」

「あそ」

「あれ? センパイ嫌なの?」

「勇者になる気はないって言っただろ」

「うん…」


 三人とも野生動物に遭遇したことがないから、気楽に考えてるんだろう。

 野生は想像の何倍もヤバい。

 ペットと違って、人間が敵でしかないからあっちは必死だ。

 それが魔獣ともなれば…


「意外に慎重なのだな」

「悪いかよ」

「感心しているのだ。魔獣は捕食衝動の塊ゆえな」

「「「え…」」」

「そもそも魔獣って何なんだ?」

「ふむ、魔脈の話を覚えているか?」


 魔力源として使う魔力結晶、通称「魔晶」がどういうモノかと尋ねた時に、魔脈の話をされた。


 魔脈は、地中深くを縦横無尽に走る、天然魔力の生成構造体。

 魔晶が迷宮の六十一階層以深でしか発見されないのは、太い魔脈ほど地中深くを走っているから。

 魔脈から漏れ出た魔力が、長い年月をかけて結晶化したのが魔晶だ。


 魔導金属も似たような物で、金属元素が魔脈から漏れ出る魔力の影響で変質すると、ミスリルやアダマス、オリハルコンになる。


「魔獣の第一世代は、地表に隆起した魔脈の影響で突然変異した野生動物だ」


 魔脈が隆起した原因は、遠い昔に起きた大規模な地殻変動と云われている。

 近傍の魔力濃度が高まり、世界各地で爆発的に魔獣が発生した。


 厄介なのは、天然魔力が動物の捕食本能と凶暴性を異常に高めること。

 証明はされていないものの、知能が低い動物ほどその傾向が強いらしい。


「魔晶ってヤバい物だったり?」

「謎多き物だ。魔晶によって人や動物が凶暴化した事例はない。魔石や魔核も同様だ」

「テンプレのご都合主義だな」


 魔獣は満腹や空腹に関係なく、獲物を捕捉すると襲って捕食する。

 肉体や五感が魔力で強化されているため、原種の動物とは比較にならない強さになる。


「魔獣が交配した第二世代以降は全個体が魔獣として生まれ、基本的に生まれた土地を離れることはない。故に、棲息地を領域と呼ぶ」


 魔獣を領域から離して飼うと、捕食本能や凶暴性が経時的に弱まっていくのは証明されている。

 それらの個体を闇系統魔術で精神的に縛れば、従魔として使役することが出来る。


「迷宮都市へ行けば、魔獣を従えている探索者が散見される。尤も、元来凶暴な種は、凶暴性が弱まる前に種の寿命で死ぬのだがな」

「魔獣領域って近くにある…よな。肉売ってるくらいだし」

「馬車で北へ三日の森が最も近い」

「意外と遠いな。いや違うか。馬車が遅いんだっけ」


 魔獣が大発生した時代、多くの村や町、都市が魔獣の襲来で壊滅したそうだ。

 以来、産業的な要所に町や都市を開発する際には、真っ先に魔獣領域を潰してまわるという。


「アデーレは潰した小規模領域の上に開発された都市だ」

「だから領都よりも魔力濃度が高いんですね」

「カノンも感知技能が向上しているようだな。重畳だ」

「ありがとうございます」


 俺とココアはアデーレを出たことないんだよな。

 ユウトは微妙な顔してんだが、まさかこいつ。


「僕も判りましたよ! 何となくですけど…」


 いや聞いてないんだが、感知も顔と同じで微妙か。

 魔獣に興味がないと言えば嘘になるけど、狩りたいとは思えないし…


「魔獣ハンターに依頼する方が良くね?」

「依頼料が高いみたいだよ?」

「おいくら?」

「さあ? リリに聞いてみる?」

「四人分の毛皮と皮なれば、解体料を含め五百万シリン程であろう」

「「高っ!?」」

「お肉の値段を考えればそれくらいしそう」

「狩りと運搬を一人や二人でこなすのも難しいでしょうし」

「ミレディなれば、百万程で動くと思うがな」

「一人で狩れるって意味か?」


 ルーカスが頷いた。


 コート裏地の保温性や、靴の耐久性と履き心地が前提なら、ヒツジとシカの魔獣で必要十分らしい。

 迷宮六十階層を突破したミレディなら、単独でも余裕で狩れる種だと。


「黒須さん、複合魔導具プロトタイプの材料原価は約百万です」

「ナイスアイデアだよユウトさん! ミレディさんには四千万の価値があるね!」

「四千万で買った言うて仲間からお金取りそう」(笑)


 守銭奴ミレディならやりそうだ。俺らには使いどころもないしな。


「ミレディん家に行くか。三千九百万スタートで売る」

「鬼」(笑)

「イオくん流石だよ」(苦笑)

「言われてみれば論理的ですね」

「材料費はルーカスが出してるからな」

「精々高く売るがいい」

「任せろ」


 落としどころを三千五百万に決めて、ミレディ宅へ向かった。



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