表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
意外とイケてる錬金パーティー  作者: TAIRA
第2章:新生活編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/61

31:白い金属はない

皆さんこんにちは。読みに来てくれて感謝です。

18時頃にもう一本投げます。読んでもらえると嬉しいです。



 女性陣の身支度が整うまで、ユウト強制参加の筋トレをこなして出勤。

 漸くユウトがルーカスと互角の筋量になってきた。


 こっちは何をするにも筋力が必要になるため、性別に関係なく筋肉質な人が多い。

 食事内容も関係している。

 ルーカスにしても、日本で会えば「ジムに通ってるのかな」と思うくらいの体つきではある。

 便利すぎる世の中は、人を物理的に弱くするってことだろう。


「センパイお待たせー」

「おーう、んじゃ行くか」

「ユウトさん大丈夫?」

「はぁはぁ、大丈夫、はぁはぁ、です、はぁはぁ…」


 通勤と帰宅をランニングにしたいところだが、ココアに猛反対されたので断念した。

 まあ、往復で五キロは歩くからヨシとしよう。


 道すがら【発火】専用魔導具を造る話をしたら、なぜかココアが食いついた。


「チャッカマン風!」

「ガスバーナーだぞ?」

「ダメ?」

「どんだけ思い入れがあるんだよ」

「家族でキャンプに行った時、パパが危ないからって使わせてくれなかった」

「それいつ頃の話だ?」

「小学生の頃」


 だろうな。

 家族でキャンプに行くのは、それくらいの年頃だ。

 中学生にもなれば、親より友達が優先になる。


「口径大きめのハンドガン風でいいだろ」

「カワイクナイ!」

「着火に可愛さを求めるのはココアくらいだって」

「構造的にもハンドガンはアリだと思います」

「こっちなら武器だと思われないし、火傷の心配もないと思うよ?」

「ってことでココアはデザイン画よろしく」

「おのれ多数決め…」


 多数決に悪態をつくようなココアが俺は大好きだ。

 そう耳元で囁くと、瞬く間にご機嫌さんになるココアも大好きだ。


 そうこうしている内にルーカス宅に着き、玄関を開けるとルーカスは定位置。

 よくもまあ本ばっかり読んでられるもんだ。


 最近はノックをしろと言わなくなったルーカスを尻目に、俺はココアの前に座り、ユウトとカノンは部屋の真ん中で魔術の試行を始めた。


 前に「外でやれよ」と言ったのだが、二人が言うに、部屋で出力を抑えてやる方が熟練度の上りが早いのだと。

 いっぱしの魔術師みたいなことを言うので魔術師ギルドへの登録を勧めたら、二人揃って「まだ自信がない」と大層チキンな答えが返ってきた。


「じゃあコレ」

「NG。やり直し」

「えーーーっ!」


 やたらキュートなハンドガンのデザイン画に三回NGを出し、四回目で漸くらしいデザイン画が出てきた。

 のだが、色指定を読むと「白基調」と書いてある。


「なぜ白?」

「カワイイから。そこは譲れない。木のとこも白木がいい」

「白木はいいとしても、白い金属ってなくね?」

「そこは譲れない。ヘビの皮も白くなったでしょ?」


 いやいやいや、錬金処理すりゃ何でも白くなるってことはないだろ。

 聞いてはみるけども。


「なあルーカス、錬金処理すると白くなる金属ってある?」

「ない」

「ない即答で残念でしたココアちゃん」

「しーろーじゃーなーいーとーいーやーでーすー」(白目)

「ノズル部分の話ですか?」


 ユウト乱入。釣られてカノンもやって来た。


「ココア姫が金属んとこも白がいいんだと」

「わらわは白しか認めないのじゃ!」


 苦笑するユウトがデザイン画を手に取り『斬新で面白いね』と呟き、カノンへ目を向けた。


「カノンさんは白い材料の見当がつきますか?」

「ううん、分からない」

「白い金属があるのか?」

「白い金属はありませんが、アルミナを使えば白にできます」

「「なにそれ」」

「水酸化アルミニウムを焼成した物です」

「アルミナってファインセラミクスだよね? 作れるの?」

「確証はありませんが、今なら作れると思います。今回もルーカスさんの協力が必須ですけど」


 アルミニウムの原料鉱石はボーキサイトという名称で、地球だと熱帯地方でしか産出されない。

 アデーレは温帯なので鉱石はないはずだが、ユウトは金属専門の商会で軽銀として売られていたアルミニウムを見かけたという。


「ルーカスさん、軽銀は高価なのでしょうか」

「二百年程前は銀よりも高価だったらしいが、脆すぎるため相場が暴落した。今は安物の装飾品に使われるくらいだ」

「軽銀の原料鉱石の取り寄せは可能でしょうか」

「急ぐなら領都へ仕入れに行く方が早い。四頭立てなら往復で四日だ」


 アルミナの製法は、粉砕したボーキサイトを水酸化ナトリウム溶液に溶かす。

 すると、ボーキサイト中のアルミナ分が溶けだす。

 溶け出したアルミナ分の中から溶けない不純物を除去し、攪拌して冷却した物が水酸化アルミニウム。

 この水酸化アルミニウムを、約一二〇〇℃で加熱するとアルミナになる。


「売ってたアルミじゃダメなのか?」

「不純物が多かったですし、水酸化アルミニウムじゃない可能性もあります」

「ユウトさん、水酸化ナトリウムはどうするの?」

「塩化ナトリウムから魔術で作ります。原材料は岩塩ですね」

「ココアはユウトにありがとうだな」

「ありがとユウト」

「アルミナがあればいいなと思ってたから構わないよ」


 アルミナは耐熱性や耐摩耗性、電気絶縁性、熱伝導率が高い。

 モース硬度は九あり、十のダイヤモンドに次いで硬い。

 ルーカスに【造形】してもらえば、今後開発する魔導製品についても、使い勝手が良い材料になるはずだと。


「アルミナはユウトに任せるから、カノンと領都旅行してこいよ」

「いいんですか!?」

「やったあ♪」

「ダメに決まってるじゃん」

「「え…」」

「なに僻んでんだよ」

「だって! あたしもセンパイと旅行したいもん!」

「今回は製錬工場の張り込み旅行で我慢しとけ」

「うっわ寒っ! 寒っ!」

「ほぉ、そんなこと言っていいのか?」


 目当ての鉱石製錬工場は、南北大通りと東西大通りが交差する角地にある高級宿のペントハウスから良く見える。

 領主の許可が必要で面倒だし、時価という怖さもあるが、ココアとリリと泊まり込めば最長三日間の見張りもさぞ楽しかろう。


 ペントハウスには展望風呂があり、専属のメイドさん二人が至れり尽くせりのおもてなしをしてくれる。

 日に三度の食事もルームサービス可というから、実に贅沢な張り込みができるというわけだ。


「行くう! 寒い言ってごめんなさい!」

「ずっと頑張ってんだし、たまにはご褒美がないとな」

「うん!」

「黒須さん、良く見えても遠いのでは?」

「それな。下見したんだけど直線距離でも三〇〇メートルはある。まあ、東西大通りを工場へ歩いて行く双子を見つけたらダッシュだな」

「ねえねえセンパイ、ホテルのこと誰から聞いたの?」

「隅っこで本読んでる人」

「あ~」

「黒須さん、スマホ用の三十六倍望遠レンズありますけど、使います?」

「盗撮犯をタイホする」

「違います! 姪のお遊戯会用に買ったら使い勝手が良かっただけです!」

「ジョークだって。俺のダチもかなり使える言ってたわ。貸してくれ」

「人間性に係わるジョークはやめてくださいよ。ではスマホごとお貸しします」

「試しておきたいから昼メシがてら取りに行こうぜ」

「わかりました」

「俺が現場に行く係。ココアは部屋から撮る係な」

「はーい」


 口止めされててココアたちには言えないが、双子の叔父には犯罪組織との裏取り引き容疑がある。


 戦争してる東の隣国に、犯罪組織経由で精錬した金属のインゴッドを横流ししている容疑だ。

 限りなく黒に近いが尻尾を掴ませないらしく、別件でもいいから逮捕して口を割らせたいとアデーレの代官は考えている。


 以前ルーカスが代官からその相談を受けた時、ペントハウスから工場が一望でき、人員を配置したが空振りだったそうだ。


「なあユウト、アルミナ作るのどれくらいかかる?」

「それを考えていたんですけど、領都への仕入れはどうすればいいんでしょう?」

「んなもん、御者付き馬車借りて行きゃいいだろ。経費なんだから鉱石代も含めてルーカスに金出してもらえ。なあ?」

「仮に明日発つというなら、紹介状と資金を今渡す」

「カノンさんどうします?」

「早い方がいいだろうし、可能なら明日の朝発とうよ」


 馬車を借りる商工業者ギルド用と、鉱石を仕入れる領都のなんちゃら商会用の紹介状をルーカスが書き始めた。

 アルミナを継続的に使うなら、あるだけ買い占めればいいだろう。


「ところでさ、今日って何日だ?」

「分かんない」(笑)

「十一日ですね」

「明日出発なら帰って来るのは十五日…んや、荷積みがあるから十六か?。どっちにしろ折角だし、領都で二泊して十七に帰って来いよ」

「ありがとうございます!」

「カノンがエロい想像して赤くなってるう」

「ななななってないよ!」

「ま、二人で色々と頑張ってこい」

「ありがとうございます! 頑張ります!」

「ユウトさん!? もぉ恥ずかしいよ…」


 とても二十歳と二十一歳のカップルとは思えん。むしろキモイ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ