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意外とイケてる錬金パーティー  作者: TAIRA
第1章:出逢い編

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13/61

13:ジャパニーズはややこしい



 ユウトの同情と嫉妬、ココアの鬼メンチ、リリの苦笑、カノンは大泣き。

 で、俺にどうしろと?


「ユウトに訊きたいんだけど、カノンのこと好きなんだよね?」

「リリさんは意外にストレートな人ですね。ええ好きです。一目惚れです」

「ねえねえイオリ」

「ん?」

「ユウトってジャパンでも整った顔してる方だよね?」

「そうね。ジャパンではユウトみたいなのを爆ぜろイケメンって愛称で呼ぶ」

「呼びませんよ…」

「ねえねえココア」

「ん?」

「顔だけならイオリとユウトのどっちがいい?」

「超センパイ。リリはユウトなん?」

「イオリの方が超カッコイイ」

「だよね」

「何ですかこれ新手の拷問ですか?」


 この流れだとカノンにも聞くな。


「やっぱりイオリは超カッコイイ!」

「聞かねえのかよー」(白目)

「なにを?」

「なんでもねっす」

「じゃあ、そろそろ帰ろっか」

「状況ガン無視っすか!?」

「リリウケるんだけど」(笑)


 ジョークだったのかニコッと笑んだリリが、斜め上を見ながら思案する。


「私ね、この前まで婚約者と同居してたの」

「「え!?」」

(おー、カノンが泣き止んだ)

「あれ? イオリとココアが驚かない。どうして?」


 ココアと顔を見合わせ苦笑する。

 ユウトとカノンも寝室を見てれば驚いてないだろう。


「知ってたの? そんなことないよね?」

「婚約は知らなかたよ? でもリリさ、寝室に前の男の物残しすぎだから」

「あ…あはは……」


 男の物といっても、日本みたいな話じゃない。

 リリの物より大きな金属製の洗面器だったり、タンブラーだったり。


「あたしセンパイ尊敬しちゃったよ」

「なぜに?」

「えー普通ムリだよー。あたし写真一枚でブチキレたっしょ」

「向こうとは違うだろ。こっちはユーズドとリユースが当たり前」

「そうだけどぉ。ムカつかなかったの?」

「全然。何気に名前も知ってるし」

「ええっ!?」

「リリが驚いてるよ? センパイって名探偵イオリ君?」

「なんでだよ。寝言を聞いただけ」

「うそっ!? やだ! ごめんねイオリ!」

「十八なんだから元カレの一人や二人いるだろ。つーか、こっちなら結婚適齢期だろ? 婚約者がいてもおかしくないし、俺は離婚まであり得ると思った」


 それに、そいつはリリの部屋だけじゃなく、この街からも出て行ったはず。

 なにせ洗面器とタンブラーは真鍮製で、こっちの金属加工品はどれも高価だ。

 それを売りもせず置いて行った理由を考えれば、答えはどちらか一つ。

 旅は身軽でなければいけなかった。リリからの贈り物だから返した。


「お金を出し合ったの。街を出たのも当たり。イオリ本当に怒ってない?」

「ないない。今カノ二人と元カノと、やり直したい言うた元カノに惚れてる野郎と一緒にメシ食ってんだぞ? 自分で言ってて酷いな俺」

「「「「酷い(ね)(よ)(ですね)」」」」


 俺だけ酷いみたいなのはおかしいと思う。


「なあカノン」

「はい…」

「ただの勘なんだけど、やり直したいってメールの切っ掛けは、ユウトと出逢ったからじゃねえの?」

「っ……」

「超当たってるぽいじゃん。やっぱセンパイ名探偵で」

「黒須さん、勘の根拠を教えてください」

「勘に根拠を求めんなよ。まぁ強いて言うなら、んー」


 二年半前に別れたカノンからのメールが唐突すぎたから、だろうか。


 大学は違うし住んでる場所も近くないし使う路線も違う。

 別れてから一度も連絡を取ったことがない。

 やり直したいと思われる理由に心当たりが全くない。


 そしてあの日、俺を目にしたカノンは酷く狼狽した。

 普通に考えて、ユウトに興味の欠片もなかったら、「高校の同級生とその先輩と飲むから行こう」と誘われて行くか?

 俺なら行かない。こいつ頭おかしいんじゃないかくらい思う。


 だけどカノンは来た。なぜか来た。

 俺と付き合ってた頃のカノンなら来てない。


「根拠としては些か弱いよう――」

「岩崎は黙ってて。センパイの話まだ終わってない」


 ココアの確信めいた口調と声に、俺の方が驚いてしまう。

 

 言わないまま終わっても構わないことがある。

 カノンの様子からして当たってると思えるから。

 あぁこれ、俺はまた曖昧なまま終わらせようとしてる。ダメだな。


「よく分かったな?」

「センパイと一緒にいる時間は、もうあたしの方が長いもん」


 参ったね。確かにそのとおりだ。

 カノンと過ごした時間より、ココアと過ごした時間の方がかなり長い。

 嬉しい反面、先が怖い。尻に敷かれたどうしよ。

 いや、ココアのプリケツならご褒美か。


「白黒つけようカノン。お前さ、俺を使って自分の気持ちを確かめたろ」

「っ……………ご、ごめんなさい! 私、最低だね……」


 ココアとリリとユウトが、目をパチクリさせて俺を見る。

 三人して「ま?」と顔に書いてある。ユウトのは「マ゛!?」だな。


「謝らなくていいし、謝ることじゃない。最低でもない。詰め所で見た時からそうじゃねえかなと思ってたから驚きもない」

「…イオくんなら、そうかもね」

「リリもいたんだよね? どんなんだたの?」

「どんなって…え? わかんない」

「爆乳使えねぇ」

「ココアが黒いよイオリ!」

「レギュラーモードだ慣れろ」


 まぁリリには分からなかっただろう。今日初めて会ったばっかなんだし。

 んや、こっちの人にはって言うべきかもしれない。


「黒須さん! そこはより詳細にお願いします! さあ!」

「顔近ぇわ離れろや爆ぜろイケメン!」

「甘んじて受け入れますから早く!」

「お前が本人に聞けばいいだろ!」

「無理です! 心臓がもちません!」

「チキンハートかよ! ったく……要はあれだ、カノンって珍獣レベルでシャイっつーか、奥ゆかしいだろ?」

「絶滅危惧種レベルです。嘗ての大和撫子も斯くやと奥ゆかしい!」


 あそ。


「その絶滅危惧種さんが、無様にもフルボッコされた爆ぜろイケメンに寄り添ってたんだよ。それはそれは心配そうなお顔でお前の手を握ってな」

「あー! 言われてみればそうだった!」

「センパイって人のことは良くわかるよね。すごい残念だよ」

「えぇ…」


ガガッ! バタンッ!


 椅子を弾き倒して立ち上がったユウトが、決然とした目でカノンの傍らへ歩み寄り、片膝を床について見上げた。おもっきり注目の的だ。


「川瀬花音さん、一目見た時から恋焦がれています。どうしようもなく弱い僕ですが、これからも貴女の隣で貴女を守らせてください。心から、愛しています」


 マジで爆ぜねえかな。


「私は…卑怯な女です…」

「そうだとしても、愛しています」


 もうリリとココアのワクワクが止まらない。周りの客も止まらない。


 カノンが立ち上がり、顔を真っ赤に上気させもじもじし始めた。これは……くる。


「こ、こんな私で良ければ、ずっと隣にいて欲しいです…えっと、ユウトさん」

「カノンさん! 喜んで!」

「わ♪」

「ここでやんのか岩崎のくせに!」


 立ち上がったユウトがカノンの腰を支え、二人は唇を重ねた。


「「ひゅぅ~~~!」」

「ピィイイイッ! いいぞ兄ちゃん!」

「やったな若造!」

「二人ともおめでとう! その子を幸せにしてあげるんだよ!」

「へっ、冬がくるってのに暑ぃなあここはよぉ!」


 めでたい。めでたいんだが、こうなると超現実的な問題が発生する。

 リリのアパートで二組五人がってのはムリすぎる。

 お互いの声が駄々漏れで、さすがの俺も羞恥死できる。


「センパイ真面目な顔してなに考えてんの?」

「死ぬ気で働かせて一日でも早く出ていかせないと危険が危ない」

「ココアの初めてがずーっと先になっちゃうよね」

「センパイとリリがエロぃ…」

「ココアはイオリに抱かれたくないの?」

「し、知らない! リリのバカ! 白ネコ爆乳!」

「ココアが酷いよイオリぃ!」

「俺に振るな俺に。あと生々しいから抱くって言うな」

「えー、ジャパンの人ややこしいー」


 まあ、どんなに早くても半年は先だろう。なんせユウトは借金持ち。


「つーか、いつまでやってんだ! 帰るぞ!」

「すみません! は、初めてだったので!」

「どこの乙女だキモイわ爆ぜろイケメン!」


 ユウトとカノンは、客たちや主人と女将にも祝福され食堂を後にした。



これで第1章は終わりです。

閑話を挟んで第2章が始まります。

楽しんでもらえてるなら嬉しいです。

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