赤倉・軽井沢編 3日目その1 〜どこぞで家人を雇用してみませんか?〜
私は、心配した胃もたれもなく、目覚めることができたが、家人は、空調の温度調節ができなかったため、結構寒い思いをした、と言った。昨夜の内に、フロントに電話して対応してもらえばよかったね、と家人と悔やんだ。
朝食を、昨夜のダイニングで頂くため、軽装に着替えた。家人は、昨日アウトレットで購入した黒のブラウスを早速着て、私は、数年前に古着屋で購入した紺のポロシャツを着た。古着と言っても生地が上質な綿100%なのでサラサラして汗をかいてもベトつかないため、よい掘り出し物だったと気に入っている代物なのだ。最近は、乾燥性能が高い化学繊維のシャツ類が横行しているが、天然繊維も捨てたもんじゃないな、と思わせるものがある。それが古着というのも興味深い話ではあるが。
ダイニングに行き、昨夜と同じ窓際右隅の2席テーブルに通された。今朝の浅間山は、昨日よりもはっきりくっきりと目前に聳え立っていた。昨夜のライトアップもディナーを素敵に演出していたが、今朝のダイニングも、雄大な山々とゴルフ場の緑が朝光に映え、爽やかな朝食に最適なロケーションだった。やはり、このホテルを選んだのは大正解だったと思った。
今朝の朝食は、ビュッフェではなく、給仕係がサーブしてくれるアメリカン・ブレックファストである。食べ過ぎる心配もなく、卑しい自分に自己嫌悪を抱く心配もない。安心して、ゆったり料理を待った。
まずは、コーヒーが、次にサラダとフルーツ、ヨーグルト、パンが運ばれてきた。バターに目がない家人は、バターの包み紙をつまんで
「このバター、うちの冷蔵庫にあるバターといっしょよ。」
と厳しくツッコんでいた。
「でも、赤倉のバターよりはおいしいわね。パンもだけど。」
と、褒めているのかどうなのかわからないことを言うので、どう返していいやら分からなかったので、頷くだけにしておいた。
朝食のメインディッシュのオムレツがきた。ワクワクしながらナイフを入れると、きめ細やかな卵の生地に包まれた半熟の卵たちがトロトロと溢れて来た。トリュフのデミグラスソースとあいまった風味は、甘みとトリュフの香りが口の中で広がり、思わず、左の人さし指で頬をグリグリしてしまった。家人もニコニコだった。赤倉の朝食でもその場で作ってくれるオムレツを食べたが、軽井沢のオムレツが優っていた。これでトータル引き分けだな、と家人に言った。
すると、家人は、
「ディナーの時よりも客が多かったせいか、給仕係がなんだか忙しないわね。コーヒーやサラダを持ってきた係の人が特に…。」
とああだこうだ厳しくダメ出しをしてきた。
「でも、やっぱり朝食はビュッフェよりこちらの方が良いわね。」
とフォローをした。
以前から勝手に思っていることだが、家人を接客マナーの講師やアドバイザーとしてどこかのホテルやショップで雇ってみたらどうだろうか?細かいところまで気づくいいアドバイザーになると思うのだ。ただのうるさいお婆さんと思われるのがオチかもしれないが。
アドバイザー 人によっては クレイマー
家人は、以前、歌唱・ピアノの先生で、結婚式の聖歌隊も務めていた。そのためか、どうも音や所作に対する観察眼、評価が鋭いのであろう。




