048-000 核融合炉
複数の鬼の面に拘束された私は、気付けば死神様の御膳に座らせられていた。
鬼の面は3人、私から離れた場所に立っている。
死神様は私の髪を掴んだ。
『貴様も出来損ないだったようだ』
『それは、感情を持ってしまったから?』
『そうだ。貴様は我の人形。我の言うことを従順に聞くだけで良かった。にも拘わらず、貴様は反抗した。我に逆らった者の末路など、貴様は良く知っているはずだろう?』
知っていた。だから従ってきた。
それでも、純を守りきったことに変わりはない。例え私が殺されても、純が生き続けるなら構わない。
純こそが、私の夢。
所詮、私は紛い物。この人が死んでも道連れにされる。
短い命ならば、長い命に未来を託した方が良いに決まっている。
髪の毛を掴まれたまま、引き摺られて移動させられる。
到着したのは、恐らくは部屋の最奥に設置された核融合炉の前だと思う。
核融合炉、といっても原子炉ではなく、神々の核を融解してこの人の魔力に変換する為だけの装置。これもお父さんの傑作。
幾度も、自らの手で自らをここに葬った。
でも、葬った当時の私はまだ何も知らなかった。
今思えば、愚かな行為だと思う。
私は、最後の悪あがきをすることにした。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
体内の、残りの魔力を掻き集めて黒い刀を生成する。
そして、その刀で自らの髪を頭ごと切り捨てた。
頭の後頭部がスースーする感覚と同時に、自由になった身体を捻り、背後に居た数名の仮面を狙って斜めに一線を引く。
だが、その途中で刀の魔力が尽きた。
『まだ我に逆らうというのかっ!!』
―― いや、違う。
心の中で呟きながらも、目前の鬼の面を見た。
鬼の面は見事に割れている。
我ながら、上手く手加減できたと感じた。
もう、喋る魔力も残ってはいない。
私は自ら、背後で口を開けている核融合炉に身を投じた。
残った頭も直後に投げ捨てられる。
――でも、本音は。
『死にたくない』
私は悔しくて涙を流した。
繰り返す歴史の中で、何度も私達はここに葬られて来た。
その最後の1人だった私が死ぬ。
即ち、幸せな時間の終焉。




