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046-000 夢から醒める(閑話)
目に飛び込んできたのは、真っ白の天井だった。
「おかえりなさい」
何度目かの少女の言葉に安堵する。
やっと、夢から覚めたらしい。
「違うよ。経験したことは全て現実。むしろ、ここの方が夢に近いかも」
夢でも構わなかった。
安心できる場所に戻って来られたのだから。
「でも、解ったみたいで良かった」
私の為すべきことは、ただ1つ。
お父さんに会って、実験を止めさせなければならない。
「その想い、絶対に忘れないで」
少女はそう言って私の手を離した。
慌ててベッドから起き上がる。
でも、もう少女の姿はそこには無かった。
そして、少女が残した金色に輝く鍵だけが布団の上に乗せられていた。
私はその鍵を自分に突き刺す。
夢は何れ醒める。
そして現実に戻されるだろう。
―― でも、私はもう、誰にも惑わされたくない。




