042-000 少女の過去
初っ端からちょいグロです。
苦手な方は
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の後からお読み下さい。
お父さんに解体されたばかりの私は、その痛みから発狂していた。
心ではなく、半端ではない激痛。
切り離されているはずなのに、痛みというジンジン痺れる感覚だけが残っている。
激痛から逃げる為に転げ回りたいのに、全く動かない肉体。
「何だ。感覚、あんのかよ」
舌打ちしたお父さんが傷口に何かを塗る。
それが更に激痛を加速させた。
「バラバラにして時間が経過しても戻せるのかっていう実験なんだから我慢しろよ。神様の肉体なんだから戻せるはずだろ? 出来ないなら、お前は出来損ないだ。そんな奴は俺の子供じゃぁない」
お父さんの気配が遠のいていく。
待って!
待って!!
私は追いかけようと胴体だけになった身体を動かす努力をする。
でも、無駄だった。激痛が悪化しただけだった。
お父さんはさっさと部屋を出て行ってしまう。
どのくらい時間が経ったのか解らない。
激痛は無くなったものの、切り離されただろう肉体の感覚も無かった。
徐々に体内の魔力が低下しているような気がする。
無音で、風すらも感じない部屋で死ぬのだろう。
静かに時が過ぎていく。
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生きることも、死ぬことも、自分ではなくなることも恐怖なら。
一体、どこに向かえば良いのか。
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「いっそ、恐怖に飛び込んでみたら?」
目の前の少年が面倒くさそうに答えた。
少年の背後の森は凄く綺麗なのに、少年の周囲は凄く淀んでいる。
その淀みは少年から放たれているものの、私には凄く居心地が良かった。
「それは死ねってこと?」
「あ、いや、そっちじゃない」
「じゃぁ、どっち?」
私の真面目な質問に少年は大きな溜め息をついていた。
「俺だって怖いよ。お前がそんな質問を投げかけて来ることが」
「だって困ってるんだもん」
「知ってる。お前、判断に迷ってる時しか頼ってこねぇから。でも、迷ってるってことは、少なからず死にたい訳じゃない。じゃぁ、生き続けるしかない」
少年の言う通りだと感じた。
「でも、俺らはもう、殻を破っちまってる。欲望に囚われる悪鬼や悪神には堕ちたくないが、理性を保っていられるのはお前や、父さんが傍に居るから。でも、お前が俺の傍に居る必要はない。だったら、お前から恐怖に、自分ではなくなるっていう方に飛び込んでみたら良いんじゃね?」
「…… 意味が解らないんだけど」
困惑した少年が私に失笑する。
「要は俺がお前を助けてやる、ってことだよ。お前が堕ちないように、ギリギリで引っ張り出してやるからさ。お前は自由に動いてくれよ。流石に独りだと恐怖に勝てないだろうけど、俺ら2人なら勝てない相手はいないくらい、おっきくなってやろうぜ?」
そう言って少年が私の手を引っ張った。
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成長することが、恐怖なのかもしれない。
だとすれば、過去を知ることで自分ではなくなるのかもしれない。
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「でも、新しい自分になれる」
目覚めた私は少女を見つめて言った。少女が頷き返す。
「だから、恐怖には立ち向かうしかない」
それが答えなら、私は何度、成長することを諦めていたのか解らない。
―― でも、もう迷わない。
「お願い …… 私に過去を教えて!」
「…… うん、解った」
少女は一瞬、戸惑った表情をしていた気がする。
だけど、その発言と共に私は睡魔に襲われていた。
この睡魔は、怖い。
目を閉じたくない。
すると、少女が私の手を強く握ってくれた。
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悪夢と同じ入り方をする、この夢は。
凄く、嫌な感じがして恐怖だった。
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