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036-000 夢か現か⑥

******************************


 いつの間にか、クリーム色に輝く病院へと抜けていた。


 すれ違うのは足すらない悪霊ばかり。

 顔も鮮明ではないから解りにくかった。


 でも、小児科の受付の前に居る桜色の髪の少女は私に()()()()()()


「貴方も無痛、なのでしょう?」


 少女に言われ、私は頷く。


 そう。私は何も感じない。

 痛いと感じる、というよりは、剥き出しになった筋肉がスースーするから気持ち悪い、という方が正しい。


 ―― だけど、心が痛いのは感じられる。


「だから貴方もここに居られるのよ」


 少女はそっと私に手を伸ばす。


 その手を握った途端、私の視線はその少女と同じくらいに低くなっていた。

 よく見れば、身長が縮んでいる。


「前に言ったでしょう? ここのこと、教えてあげるって。覚えてる?」


 私は頭を横に振った。

 でも、少女は微笑んでいた。


「ここは記憶の鳥籠。簡単に言えば、記憶が集まる病院よ」

「記憶が、集まる ……?」

「そう。全ての生物には目があるでしょう? その目に映ったことを全て記憶しておく場所なの」


 理解に苦しんで蟀谷を押さえていた、と思う。


「案ずるより産むがやすし、ね。

 看護師さん、私の1番と44番の鍵を頂戴」


 しかし、その言葉を聞き終えた時には視界が真っ暗になってしまっていた。


******************************



 今更、過去の記憶なんて。

 全てが死ぬなら意味がないこと。


 ――でも、知りたいと思う私もいる。


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