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034-000 夢か現か⑤
『たすけて!』
叫んでも、ここには誰も来てくれない。
はぁ、はぁ、と息を上げるのは、叫ぶことに疲れたから。
でも、それ以上に ――
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目を覚ましたのは、どこかのベッドの中だった。
知らない家屋。
周囲には小動物の気配以外には何も感じ取れない。
古びて朽ちる壁。
しかし、水道は健在だった。
適度な準備をしてからその家の外に出てみる。
真っ直ぐ伸びた太い道路の先には、半分崩れている病院が建っていた。
病院は既に廃業しているらしく、内部は凄く荒れ散らかされていた。
しかし、悪霊や悪鬼などは居ない。
本来、こういう場所には何かしら居着いたりしているものだが、先程までよりも小動物の気配は全くといって感じ取れなかった。
「貴方も無痛で来院?」
気配は全くしない。
だけど、明らかに声は聞こえた。
しかも、聞き覚えがある声。
懐かしい、幼い声。
私は導かれるように小児科の受付があった方面へと歩き出す。
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