表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/83

025-065 逃げ続けても

 白狐と別れて、私も結界の中へと足を踏み入れた。

 炸裂した魔弾の影響か、気配で位置を探ることは不可能だったので目視で進む。


 だけど、白狐の言う通り、数回程魔弾が飛んできた。被弾しなかったのは透明の空気が道を作っていたから見えただけ。

 しかし、そのお陰で方向を掴むことも出来た。


 もっとも、香穂里も移動していることは解っている。

 でも、ヒントが全くないよりはマシ。


『2人で強くおなり。そんでウチらを助けて欲しい』


 不意に声が聴こえた、気がした。


 聞き慣れた声の方向へと進めば、そこには花菜子が立っていた。

 花菜子は私に気付き、目線で下を指す。


 そこに居たのは香穂里と、その上に覆い被さる紗穂里の姿だった。


『最初の原因はこっちやろ?』


 花菜子の問いかけに頷いて答えた。花菜子は失笑する。


『せやろな。黄からは何も感じひんかったし』

『花菜子は ――』


 言いかけて、悩んで、飲み込んだ。


 花菜子は逃げている。逃げ場を求めつつ、逃げ場を守る為に何かと戦っている。

 その救いの鍵になるのが香穂里と紗穂里、ということなのだろうか。


 聞きたかったけど、聞いたらいけない気がした。


『…… せやで』


 花菜子は静かに呟いた。


『ウチは逃げとる。逃げ続けて、今の場所にようやっと辿り着いた。

 せやけどな? そこも敵の手の中やった。それでも指先の、本当に隅の方。せやからまだ居れんねん。でも長居は出来ん』


『敵は、誰なの?』


 私は唾を呑み込んだ。

 花菜子の言い方だと、敵はあの御方になる。


 しかし、花菜子は寂しそうに失笑した。


『そんなん、ウチとは違う誰か、やで。せやからウチは自分しか信じへん。せやけど、それでええ。どうせ死ぬ時は皆孤独なんやし。それよりも、黄の方に行かんでええん?』


 指摘されたものの、花菜子の隠し事が気になった。もっとも、これ以上は花菜子も答えてはくれないと思う。

 でも、どうしても言っておきたいことはあった。


『花菜子』

『ん?』

『ウチのことも、信じて欲しい』


 それは、花菜子にとっては衝撃的だったのかもしれない。

 目を真ん丸にさせた花菜子のオーラが大きく揺らいでいた。



 2人のことを花菜子に任せて、私は1人、黄の居るだろう方角を目指す。


 黄を発見した時、黄は既に蹲って身動き1つしなかった。

 真っ黒のオーラで結界を作って閉じ籠っている様にも見える。

 過去にも、こんな風になった黄を見たことがあった。


 解除方法は、確か ――


 思い出す度に頭に激痛が走る。

 でも、黄を救いたい一心で作業をしながらも思い出し続けた。


 しばらくして、黄の結界が解除される。

 同時に気色悪い真っ黒のオーラが放出されたものの、予期していた私は自らの結界を生み出して黄の体に触れる。そして固有の能力で黄のオーラを吸収した。

 真っ黒のオーラは私に付き纏う。体内にも入って来てグルグルと渦を作る感覚があった。


 気持ち悪い、と思った。



******************************


『何かが、おかしい。これは私が知っている物語ではない』


 誰かが私に話しかけて来た。私は答える。


『この力は、きっと完璧じゃないんだよ』

『それなら、完璧にしなければならない』


 誰かが笑った途端、私には断片が見えていた。


 桜色の髪の少女を、桜色の髪の化物が絞め殺している一枚。


 しかし、激痛と共に、激しい吐き気に襲われた。


 これは、私の知る記憶じゃない。

 これは、私の体じゃない。


(これ)は、(わたし)?』


******************************


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ