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才能EXの落ちこぼれ召喚士〜成長の鍵は地脈だった!?〜  作者: SN


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第3話 動き出す時間


翌日。


蓮は目を覚ますと、真っ先にステータスを開いた。


──────────────────────


【ゴロ】

存在階位:F2


──────────────────────


表示は変わらない。

夢ではない。


昨日、神社で起きた出来事は現実だった。


「……本当に上がってる」


蓮は小さく息を吐く。


一年半。

何百回確認しても変わらなかった数字。

それが初めて動いた。


肩の上では、ゴロが嬉しそうに何度も頷いている。


「そんなに嬉しいか」


ゴロは勢いよく頷き──どんっ。

と胸を叩いた。


その時だった。


──ピンポーン。


玄関のチャイムが鳴る。


「蓮ー」


聞き慣れた声だった。


「夏希か」


玄関を開けると、夏希が立っていた。

その肩には、緑色の小さな小鳥“シェア”がちょこんと止まっている。


「ピィ」


シェアが可愛らしく鳴いた。


「おはよう」

「おはよう」


肩の上のゴロを見つけると、夏希は自然と笑顔になる。


「ゴロも、おはよう」


ゴロも嬉しそうに手を振った。

するとシェアも小さく羽をぱたぱたと動かし、ゴロへ鳴き声を返した。


「昨日からずっと嬉しそうだね」


夏希は笑いながら言う。


「一年半待ったからな」


蓮も苦笑する。

夏希は改めてステータスを見る。


「やっぱり消えてない」

「一時的な変化じゃなかったな」

「うん」


夏希は安心したように微笑んだ。

肩のシェアも嬉しそうに、「ピィ!」と鳴く。


「本当によかった」


昨日のように涙ぐんではいない。

ただ、その笑顔には一年半信じ続けた者だけが浮かべられる安堵があった。


しばらく四人で喜びを噛み締める。


しかし。


最初に口を開いたのは蓮だった。


「問題は、ここからだ」


夏希も頷く。


「どうして成長したのか。

 それを調べるんだね」

「ああ」


◇


蓮の部屋。

机の上にはノートが広げられていた。


蓮は昨日の出来事を書き出していく。


・元旦

・初詣

・神社

・本殿前

・突然発光

・身体レベル上昇


書き終えたところで腕を組む。


「候補が多すぎるな」


夏希もノートを覗き込む。


「神社かな?」

「俺も最初はそう思った」


蓮は頷く。


「でも去年も神社へは行ってる」

「あっ」


夏希が顔を上げた。


「去年は学園の近くの神社だったよね」

「ああ」


訓練を優先し、帰省はしなかった。


学園近くの小さな神社で簡単に参拝を済ませ、そのまま訓練へ戻っただけだった。


「じゃあ神社だけが理由じゃないのかな?」


蓮は少し考える。


「いや、まだ分からない」

「え?」

「去年は参拝だけで終わった。今年は本殿の前で光った」


条件が違う可能性はいくらでもある。


「元旦だからかもしれない」


「初詣だからかもしれない」


「神社の大きさかもしれない」


「祭神かもしれない」


蓮は一つずつ言葉にしながら書き加えていく。


しかし。


決め手はない。


夏希はノートを見つめながら、小さく呟いた。


「何だろう。

 昨日の神社って……何か特別な感じがしたんだよね」


蓮が顔を上げる。


「特別?」

「うん。でも何が違うのかは分からない」


夏希は困ったように笑う。


「うまく説明できない」


蓮は少し考え込む。

言葉にできない違和感。

それだけでは答えには辿り着けない。


だが。


無視もできなかった。


「結局」


蓮はノートを閉じる。


「考えるだけじゃ分からないな」


夏希も頷く。


「うん。

 じゃあ、どうするの?」


蓮は笑った。


「試す」


その一言で十分だった。


「別の神社へ行く。

 同じ現象が起きれば、偶然じゃない。

 起きなければ、また考え直す」


夏希も笑顔になる。


「それが蓮らしいね」


ゴロも力強く頷き、


──どんっ。


と胸を叩いた。


◇


二人は近所の神社へ向かった。


昨日とは違う神社。

規模も小さい。

参拝客もほとんどいない。


「もしここでも成長したら……」


蓮は小さく呟く。


鳥居をくぐる。

石畳を歩く。


ゴロも周囲を見回している。

夏希の肩のシェアも、きょろきょろと辺りを見回していた。


そして。


本殿が見えた、その時だった。


──バッ。


ゴロが蓮の肩から飛び降りる。


「ゴロ?」


昨日と同じだった。

ゴロは本殿の前で立ち止まる。


そして。


静かに地面へ両手をついた。


「まさか……」


蓮が息を呑む。

夏希も目を見開いた。

肩のシェアも不思議そうに首を傾げた。


次の瞬間。


土の身体が淡く光り始める。


「まただ!」


光は少しずつ強さを増していく。

シェアは驚いて夏希の肩から飛び立ち、二人の頭上を小さく旋回した。

蓮は慌ててステータスを開く。


やがて光が収まり、表示が切り替わる。


──────────────────────


【ゴロ】


存在階位:F2 → F3


──────────────────────


「上がった……!」


蓮は目を見開く。

ゴロは飛び上がるように喜び、


──どんっ!

──どんっ!


と何度も胸を叩いた。


「やっぱり!」


夏希が嬉しそうに声を上げる。

肩へ戻ってきたシェアも、「ピィッ!」と高く鳴く。


「偶然じゃなかったんだ!」


蓮は表示を見つめたまま頷く。


「ああ。

 少なくとも、一度目だけの奇跡じゃない」


夏希は本殿を見つめる。


「でも、不思議だね。

 去年は何も起きなかったのに」


蓮も同じ方向を見る。


「……まだ条件がある」


神社へ来れば必ず成長するのか。

それとも別の何かが関係しているのか。


答えはまだ分からない。


だが。


ゴロはもう、“成長しない召喚獣”ではなかった。

その事実だけは、もう疑いようがなかった。


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