第24話 変わり始めた評価【掲示板】
【第二学年】召喚士総合スレ その47
⸻
381:名無しの召喚士
岩崎また勝ったらしい
382:名無しの召喚士
また?
383:名無しの召喚士
対戦結果見ろ
岩崎に白星付いてる
384:名無しの召喚士
マジじゃん
385:名無しの召喚士
これで何連勝?
386:名無しの召喚士
四
387:名無しの召喚士
四連勝?
388:名無しの召喚士
そうなる
389:名無しの召喚士
今回何使った?
390:名無しの召喚士
知らん
391:名無しの召喚士
対戦相手まだ書き込んでない?
392:名無しの召喚士
見てない
393:名無しの召喚士
週次非公開だから
本人が言わないと分からんな
394:名無しの召喚士
でも勝ったのは確定
395:名無しの召喚士
白星付いてるしな
396:名無しの召喚士
少し前まで最下位だったのに
397:名無しの召喚士
そこから四連勝
398:名無しの召喚士
普通に上がってきてるじゃん
399:名無しの召喚士
一戦目って泥のやつだよな
400:名無しの召喚士
そう
401:名無しの召喚士
駆爪鼠の身体に泥付けて
速度落として勝ったやつ
402:名無しの召喚士
あれは情報かなり出てたな
403:名無しの召喚士
対戦相手が全部書いてたからな
404:名無しの召喚士
二戦目も情報出てたよな?
405:名無しの召喚士
出てた
406:名無しの召喚士
雷っぽい結晶の身体
407:名無しの召喚士
背中に結晶生えてたってやつ?
408:名無しの召喚士
そう
409:名無しの召喚士
かなり硬かったらしい
410:名無しの召喚士
あと殴られた時に
電撃まで来たって
411:名無しの召喚士
嫌すぎる
412:名無しの召喚士
一戦目が泥
413:名無しの召喚士
二戦目が雷の結晶
414:名無しの召喚士
三戦目も違う身体だったんだろ?
415:名無しの召喚士
火っぽいやつ
416:名無しの召喚士
詳細は?
417:名無しの召喚士
出てない
418:名無しの召喚士
対戦相手が
さすがに戦い方まで全部書くのはフェアじゃないって
419:名無しの召喚士
急に良識
420:名無しの召喚士
一戦目と二戦目が出しすぎなんだよ
421:名無しの召喚士
で
分かってるのは?
422:名無しの召喚士
白っぽい岩みたいな身体
423:名無しの召喚士
かなり熱かったらしい
424:名無しの召喚士
じゃあ火属性か
425:名無しの召喚士
たぶん
426:名無しの召喚士
泥が水
結晶が雷
岩が火?
427:名無しの召喚士
そう見える
428:名無しの召喚士
待って
429:名無しの召喚士
何
430:名無しの召喚士
それ属性ごとに身体あるんじゃね?
431:名無しの召喚士
あー
432:名無しの召喚士
土は元の身体だろ
433:名無しの召喚士
土、水、雷、火
434:名無しの召喚士
四属性?
435:名無しの召喚士
じゃあ風は?
436:名無しの召喚士
さあ?
437:名無しの召喚士
風のゴーレムって何になるんだ
438:名無しの召喚士
砂とか?
439:名無しの召喚士
なんで
440:名無しの召喚士
知らん
なんとなく
441:名無しの召喚士
光もあるのか?
442:名無しの召喚士
闇も?
443:名無しの召喚士
そこまであったら何種類あるんだよ
444:名無しの召喚士
でも今分かってる三つが、水雷火っぽいならありそうじゃね
445:名無しの召喚士
まだ見てない身体が三つある可能性?
446:名無しの召喚士
やめろ
447:名無しの召喚士
何が
448:名無しの召喚士
第五実技の胃を壊すな
449:名無しの召喚士
草
450:名無しの召喚士
でも実技じゃ身体変えてないぞ
451:名無しの召喚士
土のまま?
452:名無しの召喚士
見てる限りは
453:名無しの召喚士
その代わり
また攻撃増えてる
454:名無しの召喚士
また?
455:名無しの召喚士
地面殴ったら
周りに衝撃波みたいなの出してた
456:名無しの召喚士
あと地面から棘
457:名無しの召喚士
弾を飛ばしてたのも見た
458:名無しの召喚士
弾飛ばすって何
459:名無しの召喚士
腕が砲身みたいになって
そこから弾丸を撃ち出してた
460:名無しの召喚士
増えすぎだろ
461:名無しの召喚士
週次では身体増える
実技では攻撃増える
462:名無しの召喚士
一年以上何もなかったのにな
463:名無しの召喚士
反動きてない?
464:名無しの召喚士
知らん
465:名無しの召喚士
で今回四戦目は?
466:名無しの召喚士
情報なし
467:名無しの召喚士
何使ったかも?
468:名無しの召喚士
分からん
469:名無しの召喚士
勝ち方も?
470:名無しの召喚士
分からん
471:名無しの召喚士
何も分からんやん
472:名無しの召喚士
でも勝った
473:名無しの召喚士
四回目
474:名無しの召喚士
……
475:名無しの召喚士
それが一番嫌かもしれん
476:名無しの召喚士
分かる
477:名無しの召喚士
前は泥が刺さっただけだと思ってた
478:名無しの召喚士
俺も
479:名無しの召喚士
一戦目は
駆爪鼠に泥が刺さった
480:名無しの召喚士
二戦目は
相手に合わせて雷の身体使ったんだろ?
481:名無しの召喚士
たぶん
482:名無しの召喚士
三戦目も火の身体
483:名無しの召喚士
じゃあ結局
相性で勝ってるだけじゃね?
484:名無しの召喚士
いや
485:名無しの召喚士
逆じゃね
486:名無しの召喚士
何が
487:名無しの召喚士
相性がいい相手を引いてるんじゃなくて
岩崎が相手に合わせて身体変えてるんだろ
488:名無しの召喚士
あ
489:名無しの召喚士
なるほど
490:名無しの召喚士
それ普通に厄介だな
491:名無しの召喚士
相手見て
有利な身体選べるってこと?
492:名無しの召喚士
今までの話だと
そう見える
493:名無しの召喚士
泥対策しても雷来るかもしれん
494:名無しの召喚士
雷対策しても火かもしれん
495:名無しの召喚士
しかも他の身体がある可能性まである
496:名無しの召喚士
何持ってくるか読めないじゃん
497:名無しの召喚士
そういうことになるな
498:名無しの召喚士
前は土で殴るしかなかったのに
499:名無しの召喚士
今は相手に合わせて変えられる
500:名無しの召喚士
そりゃ勝ちやすくなるわ
501:名無しの召喚士
でも使う身体決めるの岩崎だろ?
502:名無しの召喚士
そりゃそうだろ
503:名無しの召喚士
じゃあゴーレムが強くなっただけじゃなくて
岩崎もちゃんと選んでるってことか
504:名無しの召喚士
そう見えるな
505:名無しの召喚士
前より戦い方変わったって
実技のやつも言ってたし
506:名無しの召喚士
身体増えたから
選択肢も増えたんだろ
507:名無しの召喚士
相手に合わせて有利取れるのは強いな
508:名無しの召喚士
しかも攻撃系のスキルも増えてる
509:名無しの召喚士
前まで何もできなかった反動みたいだな
510:名無しの召喚士
それ言うやつ何人目だよ
511:名無しの召喚士
だって急すぎるだろ
512:名無しの召喚士
岩崎まだFだよな?
513:名無しの召喚士
F
514:名無しの召喚士
召喚士ランク上がってないのに
これだけ増えてるの?
515:名無しの召喚士
そう
516:名無しの召喚士
一年以上成長しなかったゴーレムが
急に複数の身体と攻撃覚え始めた
517:名無しの召喚士
意味分からん
518:名無しの召喚士
分からんけど
四連勝してる
519:名無しの召喚士
結局そこなんだよな
520:名無しの召喚士
能力の仕組みは分からない
521:名無しの召喚士
でも結果は出てる
522:名無しの召喚士
一勝ならまぐれ
523:名無しの召喚士
二勝ならまだ偶然
524:名無しの召喚士
三勝なら?
525:名無しの召喚士
怪しい
526:名無しの召喚士
四勝は?
527:名無しの召喚士
もう実力じゃね
528:名無しの召喚士
俺もそう思う
529:名無しの召喚士
前まで岩崎と当たったら当たりだったのに……
530:名無しの召喚士
今は普通に嫌
531:名無しの召喚士
何出してくるか分からんし
532:名無しの召喚士
しかも相性取られるかもしれん
533:名無しの召喚士
第五実技のやつ大変だな
534:名無しの召喚士
笑えん
535:名無しの召喚士
岩崎が上がってくるってことは
誰か下がるからな
536:名無しの召喚士
今どの辺?
537:名無しの召喚士
まだ150位までは距離ある
538:名無しの召喚士
でも四連勝中だろ
539:名無しの召喚士
前なら
150以内は無理って空気だったよな
540:名無しの召喚士
そうだった
541:名無しの召喚士
今は?
542:名無しの召喚士
普通にあり得ると思ってる
543:名無しの召喚士
俺も
544:名無しの召喚士
まだ確定じゃないけどな
545:名無しの召喚士
でも見方変わったのは確か
546:名無しの召喚士
次の期次ランキング戦
かなり見たい
547:名無しの召喚士
分かる
548:名無しの召喚士
週次じゃ詳細分からんしな
549:名無しの召喚士
期次なら公開
550:名無しの召喚士
泥、雷、火
551:名無しの召喚士
次は何使うんだろ
552:名無しの召喚士
風あるなら見たい
553:名無しの召喚士
風の身体って結局なんなんだよ
554:名無しの召喚士
砂
555:名無しの召喚士
まだ言ってる
556:名無しの召喚士
光とか闇もあるなら
そっちも気になる
557:名無しの召喚士
全部持ってたら笑う
558:名無しの召喚士
笑えんだろ
559:名無しの召喚士
相手する側はな
560:名無しの召喚士
次の期次
ちょっと楽しみになってきた
561:名無しの召喚士
前回と空気違いすぎ
562:名無しの召喚士
前は、最下位が一勝したってだけの話だったからな
563:名無しの召喚士
今は四連勝
564:名無しの召喚士
しかも何種類持ってるか分からん
565:名無しの召喚士
とりあえず一個だけ
566:名無しの召喚士
何
567:名無しの召喚士
もう岩崎を
成長しないゴーレムのやつってだけで見るのは無理じゃね
568:名無しの召喚士
それはそう
569:名無しの召喚士
同意
570:名無しの召喚士
同意
571:名無しの召喚士
次の期次待ちだな
⸻
画面の中。
書き込みは、その後も続いていく。
以前、岩崎蓮という名前が話題になった時。
多くの生徒が知っていたのは、一つの勝利だけだった。
泥へ変わる身体。
増え始めた大地系の攻撃。
一年以上成長しなかったゴロに、何かが起きている。
それでも、一勝ならまだ偶然で片付けることができた。
相性が良かった。
新しい能力が、たまたま対戦相手へ刺さった。
そう考える者も多かった。
だが、その後も勝利は続いた。
二戦目では、雷を帯びた結晶のような身体。
三戦目では、熱を纏う岩のような身体。
そして、四戦目。
戦いの内容はまだ誰も書き込んでいない。
何を使ったのか。
どうやって勝ったのか。
それすら分からない。
それでも、結果だけは確かに残っている。
四連勝。
少しずつ、生徒たちも気付き始めていた。
ただ強くなっただけではない。
相手に合わせて身体を変える。
有利な相性を選び、その上で戦い方まで変える。
それを選んでいるのは、召喚士である蓮だ。
以前はできることが少なかった。
だから、取れる戦い方も少なかった。
今は違う。
選択肢が増え、相手を見て、その中から選ぶことができる。
能力の全貌はまだ分からない。
それでも、分からないからといって弱いとは言えなくなった。
岩崎蓮。
そして、ゴロ。
ずっと最下位付近にいた二人を見る目が、少しずつ確実に変わり始めていた。
◇
同じ日の夕方。
職員室。
授業を終えた教師たちが、それぞれ机で仕事を片付けていた。
その中。
「そういえば」
一人の教師が、隣の机へ声を掛ける。
「今日、岩崎の週次戦を見てたんですよね?」
「ああ」
答えたのは、今日の試合を監督していた教師だった。
その言葉に、近くにいた何人かの教師も僅かに顔を上げる。
「また勝ったそうですね」
「勝ったな」
「これで四連勝ですか?」
「そうなる」
短いやり取り。
そして、別の教師が少し興味深そうに尋ねる。
「実際、どうだったんです?」
監督教師は僅かに考える。
「どう、って?」
「岩崎ですよ」
教師は声を少し落とした。
「前まで、あのゴーレムはほとんど成長してなかったでしょう? それが最近、ランキング戦でずっと勝ってる」
「そうだな」
「やっぱり、何か変わってるんですか?」
監督教師は、すぐには答えなかった。
週次ランキング戦は公開されていない試合だ。
対戦相手もいる。
そこで使われた能力や具体的な戦い方を、監督した教師が他人へ話すのは違う。
「試合の細かい内容は話さないぞ」
「ああ、もちろん」
「ただ」
そこで、監督教師が言葉を切る。
「強くなってる」
何人かの教師が僅かに反応した。
「やっぱり?」
「ああ」
監督教師は頷く。
「以前とは明らかに違う」
それだけ。
能力の詳細も、今日どうやって勝ったのかも話さない。
だが、その一言だけで十分だった。
「召喚獣が、ですか?」
「それもある」
「それも?」
監督教師が少し笑う。
「岩崎本人もだよ」
その言葉に、一人の教師が眉を上げる。
「召喚士として?」
「ああ」
監督教師は少し考えてから続ける。
「前は、使える手段そのものが少なかったからな。今は増えた手札を、ちゃんと相手に合わせて選んでる」
以前の蓮は、ゴロで真正面から戦うことが多かった。
できることが少なく、選べる手段そのものが少なかったからだ。
だが、今は違う。
できることが増え、それを使い分けている。
相手を見る。
考える。
選ぶ。
そして、勝つ。
監督教師は、それ以上を口にはしなかった。
「まあ、詳しくは次の期次ランキング戦で見ればいい」
「期次か」
「あれなら公開されますからね」
「そういうことだ」
教師が椅子の背へ身体を預ける。
そして、少し楽しそうに。
「次の期次ランキング戦。俺は結構楽しみにしてるよ」
その言葉に、周囲の教師たちが僅かに笑う。
以前なら、岩崎蓮のランキング戦を楽しみだと言う教師はいなかった。
勝てるか。
二百五十位へ戻れるか。
退学せずに済むか。
心配することはあっても、その戦い自体を楽しみにすることはなかった。
だが、今は。
「確かにな」
「どこまで上がるかは気になるな」
そんな声が、職員室の中で返ってくる。
その会話を、少し離れた机で佐伯は黙って聞いていた。
手元には、生徒たちの提出物。
その上を走っていたペンが僅かに止まる。
「佐伯先生」
声を掛けられ、佐伯が顔を上げる。
「はい?」
「担任でしたよね。岩崎の」
「ああ」
「最近、何か聞いてます?」
佐伯は少し考えた。
頭に浮かんだのは、先日職員室へ持ち込まれた闇属性迷宮への遠征申請。
その前日まで、風と地の二つの迷宮を攻略していた。
それでも、休む間もなく次へ進もうとしている。
そして今日。
ランキング戦でもまた勝った。
「……相変わらずですよ」
「相変わらず?」
「あいつは、前からやること自体は変わってません」
佐伯は小さく笑う。
「できることを探して。試して。駄目ならまた考える」
一年以上。
結果が出なくても、それを続けていた。
佐伯は僅かに息を吐く。
「変わったのは、やってることじゃない。結果が出るようになっただけです」
ただ、その違いはあまりにも大きかった。
同じように考え、同じように試し続けて。
それでも届かなかったものへ、今は少しずつ手が届き始めている。
佐伯は手元の書類へ再び視線を落とす。
「ただまあ」
少しだけ、口元を緩める。
「俺も、次は楽しみですけどね」
期次ランキング戦。
週次とは違い、多くの生徒や教師が見る。
そこで、蓮とゴロがどんな戦いを見せるのか。
以前なら考えることさえなかった期待。
それが今は、確かにそこにあった。




