↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才能EXの落ちこぼれ召喚士〜成長の鍵は地脈だった!?〜  作者: SN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/31

第12話 電晶ノ体


その日の夜。

蓮はスマホを取り出した。


迷宮データベースを開く。

条件は。


・F級

・属性迷宮

・日帰り可能な範囲


検索をかけると。

三つの迷宮が表示された。


水属性迷宮──“水蟲湿原”。

火属性迷宮──“火鱗窟”。

光属性迷宮──“光蟲花園”。


「候補はこの三つか」


蓮は一つずつ詳細を開いていく。


“水蟲湿原”。


小規模な湖の近くに存在する。

湿原型の水属性迷宮。

“水”と“蟲”の特徴をもった魔物が生息する。


次に。


“火鱗窟”。


活動を終えた火山にある。

洞窟型の火属性迷宮。

“火”と“鱗”の特徴をもった魔物が生息する。


そして。


“光蟲花園”。


かつて小規模なパワースポットだった土地が迷宮化した。

少し特殊な光属性迷宮。

“光”と“蟲”の特徴をもった魔物が生息する。


「光はまだ早いか……」


光属性と闇属性。

この二つは、他の属性迷宮より危険だと学園でも教えられている。


なら。


実質的な候補は、水か火。


蓮の視線が水蟲湿原で止まった。


「やっぱり次は水か」


雷属性は水属性に対して有利。


もし。


昨日手に入れた≪電晶ノ体≫が、名前通り雷属性の力を持つ肉体なら。

水蟲湿原では、かなり有利に戦える可能性がある。


さらに。


今までの土の身体は、水との相性が悪かった。


水を吸えば柔らかくなり。

耐久力も落ちる。


「その弱点まで補えるなら……」


次に挑む迷宮として。

これ以上ない候補かもしれない。


だが。


蓮はすぐには決定しなかった。


まだ、≪電晶ノ体≫がどんな能力なのか。

何一つ確かめていない。


雷属性なのか。

どれほど硬いのか。

動きはどう変わるのか。


そして。


水に対して本当に有利なのか。


「……先にこっちだな」


蓮は迷宮データベースを閉じた。


第一候補は。

水属性迷宮──“水蟲湿原”。


ただし。


最終的に決めるのは。

≪電晶ノ体≫を確かめてからだ。


「明日、試してみるか」


まずは新しく手に入れた肉体──≪電晶ノ体≫。

その力を確かめる必要があった。


◇


翌日。

昼休み。


蓮は校舎裏のベンチで夏希と向かい合っていた。


隣にはゴロ。

夏希の肩では、小鳥形態のシェアが羽を休めている。


「それで?」


夏希が身を乗り出す。


「昨日の電獣洞、どうだった?」

「ああ。無事に攻略できた」

「ほんと!?」


ぱっと表情が明るくなる。


「よかった!」

「ピィ!」


シェアも嬉しそうに鳴いた。


ゴロも得意げに──どんっ。

と胸を叩く。


蓮は小さく笑いながら。

ステータスを開いた。


「それで。ちゃんと進んだ」

「進んだって……」


夏希が表示を覗き込む。


──────────────────────


【岩崎蓮】

ランクアップ条件:

 ✔ 召喚獣の存在階位をF-MAXにする

 ✔ F級雷属性迷宮を浄化する


 ・未達成条件 6件


──────────────────────


「……!」


夏希の目が大きく見開かれた。


「条件、達成したんだ!」

「ああ。一つだけだけどな」

「一つでもすごいよ!」


夏希は嬉しそうに笑う。


「やっぱり属性迷宮だったんだね!」

「まだ、そこまでは分からない」


蓮はすぐに首を振った。


「今回は雷属性迷宮で進んだ。それだけだ」

「あ……そっか」

「他の属性迷宮でも同じなのか。それを確かめないとな」

「蓮らしいね」


夏希がくすりと笑う。


「でも。少なくとも一歩前進でしょ?」

「ああ。それは間違いない」


蓮も頷いた。


そして。


「もう一つある」

「ん?」

「ゴロが新しいスキルを手に入れた」

「また!?」


夏希がゴロを見る。


「今度はどんなの?」

「これだ」


蓮はゴロのステータスへ切り替えた。


──────────────────────


【ゴロ】

存在階位:F-MAX

スキル:

 ・≪大地ノ拳≫

 ・≪大地ノ角撃≫

 ・≪大地ノ甲殻≫

肉体スキル:

 ・≪電晶ノ体≫

特殊スキル:

 ・≪迷宮浄化≫


──────────────────────


「電晶ノ体……?」


夏希が首を傾げる。


「肉体スキル?」


夏希が表示を見つめる。


「大地ノ拳たちとは、分類が違うんだね」

「ああ」


蓮は頷く。


「浄化した直後。一瞬だけゴロの身体が結晶みたいなものに変わった」

「身体が?」

「ああ。中に電気が流れてて。背中にも大きな結晶ができてた」


夏希の目が輝く。


「なにそれ! すごく見たい!」

「俺もちゃんと見たいよ」

「まだ使ってないの?」

「ああ。まだだ」


蓮はゴロを見る。

ゴロも自分の身体を見下ろし、小さく首を傾げていた。


「浄化の時に変わっただけだからな。

 どうやって使うのか。何ができるのか。まだ何も分からない」

「じゃあ……」

「ああ」


蓮は頷く。


「今日の放課後。訓練棟で試してみる」

「やっぱり」


夏希は楽しそうに笑った。


「次の迷宮は?」

「一応、候補は決めてる」

「どこ?」

「水属性迷宮の水蟲湿原」

「水か」


夏希は少し考え。

すぐに頷いた。


「電晶ノ体が雷属性なら、相性もいいもんね」

「ああ」


雷は水に強い。


もし≪電晶ノ体≫が名前通り雷属性の肉体なら。

次の攻略では、大きな武器になる可能性がある。


「ただ」


蓮は続ける。


「まだ決定じゃない」

「電晶ノ体を調べてから?」

「そういうこと」


夏希は納得したように頷いた。


「じゃあ、まずは検証だね」

「ああ」


その言葉に。


ゴロが力強く頷き──どんっ。

と胸を叩いた。


「ふふ。ゴロもやる気満々だね」

「ピィ!」


シェアも負けじと鳴く。


蓮はそんな二匹を見ながら。

小さく笑った。


放課後。

まずは≪電晶ノ体≫。


その力を確かめる。


◇


放課後。

召喚士学園の訓練棟。


蓮とゴロは、訓練用の一室へやって来ていた。


新しい能力を手に入れたなら。

まずは性能を確かめる。


何ができるのか。

何ができないのか。


それを知らないまま実戦へ持ち込むほど。

危険なことはない。


「じゃあ、始めるか」


ゴロが力強く頷く。


──どんっ。


と胸を叩いた。


「≪電晶ノ体≫」


ゴロの全身が白く輝く。

土だった身体が、ゆっくりと姿を変えていく。


腕。

胴体。

脚。


全身が青白い結晶へと変化していく。

結晶の内部では、細い電流が絶えず脈打ち。

背中には、大きな結晶がせり出すように形成された。


浄化の直後に見た姿。


電気を宿した。

結晶のゴーレムだ。


「やっぱり……」


蓮はゴロの周囲を歩きながら。

その身体を観察する。


「本当に身体が変わってる」


今度は一瞬ではない。


ゴロも自分の腕を持ち上げ。

不思議そうに眺めている。


拳を握る。


──バチッ。


小さな火花が散った。


蓮はゴロの魔力残量に意識を向ける。


やはり。


少しずつ。

確実に減っている。


「維持にも魔力を使うようだな」


土の身体とは違う。


変わっているだけで。

魔力を消費し続けるらしい。


「極端に重いわけではない。

 でも……長時間使い続けるには向いてなさそうだな」


蓮はノートへ書き込む。


そして。


「じゃあ、一つずつ調べようか」


ゴロが真剣な表情で頷いた。


◇


最初は移動性能。


「普通に歩いてみてくれ」


ゴロが歩く。


数歩。


続いて。

軽く走る。


土の身体と比べて大きな違いはない。


ただ。


「少し重いか?」


一歩一歩が僅かに重い。


動きそのものは土の身体より少し鈍い。

だが、踏み込みは強い。

ゴロが足を止めた時も、身体がぶれることはなかった。


「速度は少し落ちる。その代わり、安定感がある感じか」


蓮はメモする。


ゴロも自分の脚を見下ろし。

何度かその場で踏み込んでみせる。


──ゴッ。


硬い音が床へ響いた。


「次は攻撃だ」


◇


訓練用魔導人形を起動する。


「まずは普通に殴ってみよう」


ゴロが頷く。

魔導人形へ近付き、拳を振るう。


──ドゴッ!!


結晶の拳が。

魔導人形の頬へ直撃。


人形の身体が大きくよろめいた。


「土より重いな」


純粋な打撃威力。

それだけでも、土の身体より上。


さらに。


次の瞬間。


──バチィッ!!


青白い電撃が。

拳から魔導人形へ流れ込んだ。


人形の身体が。


──ビクッ。


と一瞬硬直する。


「電撃……!」


蓮の目が輝く。


「もう一回だ」


──ドゴッ!!

──バチィッ!!


同じ。


拳が当たった直後、電撃が流れ込む。


威力そのものはそこまで高くない。

だが、一瞬とはいえ相手の動きを止められる。


「これは強いな」


打撃。


そして。

電撃による追撃。


二段構え。


蓮はさらに試す。


一発目。

硬直。


二発目。

また硬直。


だが。


三発。

四発。


繰り返すほど。

魔導人形が止まる時間が短くなっていく。


「……耐性か?」


さらに続ける。


やがて。


電撃を浴びても。

ほとんど硬直しなくなった。


「ずっと止め続けるのは無理みたいだな」


蓮はノートへ書き込む。


電撃による硬直。

強力。


ただし。


連続して受ければ、効果は薄れていく。


「十分だな。最初の数回だけでも大きい」


ゴロも満足そうに。


──どんっ。


と胸を叩いた。


◇


次は、防御性能。


蓮は魔導人形の設定を変更する。


槍型。


一定の距離を取らせ。


「そのまま受けてみよう」


ゴロが腕を構える。


魔導人形が地面を蹴った。

一直線の突進。


──ゴギィンッ!!


槍の穂先と結晶の腕が激突する。


「……!」


ゴロは動かない。

一歩も後退していなかった。


腕を見る。


表面に小さな傷がついているだけ。


「硬い……」


土の身体なら、もっと深く抉られていた。

だが、電晶の身体はほとんど傷付いていない。


「防御力は明らかに上だな」


蓮は出力を上げる。


もう一度。


──ガギィンッ!!


今度は表面に細かな亀裂が走った。

それでも。

槍は内部まで届かない。


「かなり硬い」


ただし。


亀裂は勝手には塞がらない。

土の身体と同じ。

傷を直すなら、≪修復再生≫が必要になる。


蓮はすぐに発動する。


白い光が亀裂を包む。

結晶が徐々に元へ戻っていく。


その途中で。


蓮は僅かに眉を寄せた。


「……重いな」


土の身体を修復した時より。

明らかに魔力の消耗が大きい。


硬い結晶を作り直すには。

それだけ多くの魔力が必要になるらしい。


「硬い代わりに、修復の負担は大きいってことか」


蓮はノートへ書き加える。


『高硬度。≪修復再生≫の魔力消費:大』


◇


検証を続けていると。

異変が起きた。


──ドゴッ!!


ゴロの拳が魔導人形へ当たる。


だが。


「……あれ?」


電撃が出ない。


もう一度。


──ドゴッ!!


やはり。

電撃は出なかった。


「止め!」


蓮は魔導人形を停止させる。


「魔力切れか?」


ゴロを見る。

だが、ゴロは首を横に振った。


魔力はまだ残っている。


ならば、なぜ?


蓮が考えていると。

ゴロが背中へ手を伸ばした。


大きな結晶。


先ほどまで。

青白く輝いていたそれが。


今は、かなり暗くなっている。


「……まさか」


ゴロはその場へしゃがみ。

両手を地面につけた。


すると。


──ジジジジジ……。


床を伝うように。

微かな電光が走る。


それが。


腕を通り。

背中の結晶へ集まっていく。


暗くなっていた結晶が。

少しずつ輝きを取り戻した。


「充電……?」


蓮は目を丸くする。


しばらく待つ。


腕の内部にも。

再び青白い電流が走り始めた。


「もう一回」


ゴロが立ち上がる。

拳を振るう。


──ドゴッ!!

──バチィッ!!


電撃が戻った。


「やっぱりそうか」


何度か試す。


結果。


電撃を使うたびに。

背中の結晶へ蓄えられた電気が減っていく。


使い切れば。

電撃は出なくなる。


そして。


再び電撃を使うには。

蓄電結晶へ電気を溜める必要がある。


「満タンじゃなくても使えるな」


途中まで充電。


拳。


──バチッ!


電撃は出る。

だが、使える回数は少ない。


「残量も分かりやすい」


背中の結晶を見る。


電気が多いほど、強く輝き。

減るほど、光も弱くなる。


問題は──充電中。


ゴロは地面へ手をつき。

ほとんど動けない。


「戦闘中にやるには隙が大きいな」


いつ使うか。

いつ温存するか。

いつ充電するか。


「電気の管理も必要ってことか」


≪電晶ノ体≫。


ただ硬く電撃を発するだけの肉体ではない。


蓄えた電気まで。

戦い方に関わってくる。


◇


「次は属性だな」


訓練施設には。

各属性の攻撃を再現する、魔導装置が設置されている。


蓮はまず、水属性を選んだ。

昨夜から一番気になっていたもの。


「ゴロ。そのまま受けてみよう」


装置を起動する。


──バシャァッ!!


大量の水がゴロの全身へ降り注ぐ。

一瞬で水浸しになる。


蓮は注意深く観察する。


土の身体なら。


水を吸い、柔らかくなり。

表面から崩れ始める。


だが。


「……変わらない」


結晶の身体。

硬さに変化はない。


腕を動かす。

脚を動かす。


問題なし。


「少なくとも、土の身体みたいな弱点はないな」


蓮は頷く。


水を受けても。

特別強くなるわけではない。


だが。


身体性能が落ちることもない。


これだけでも。

大きな違いだった。


しかし。


まだ終わりではない。


濡れた状態のまま。

魔導人形を起動する。


「ゴロ。殴ってみてくれ」


ゴロが拳を振るう。


──ドゴッ!!


そして。


──バチィィッ!!


「おっ!」


電撃が。


いつもより広く。

魔導人形の表面を走った。


水を伝い。


濡れた場所全体へ。

電流が広がっていく。


魔導人形の身体が大きく硬直した。


「やはり水を伝うのか」


もう一度。


今度は床へ水を撒く。


魔導人形とゴロの間。

そこへ細い水溜まりを作る。


ゴロが拳を水へ触れさせる。


──バチバチバチッ!!


青白い電流が水の上を走った。

離れた魔導人形へ届く。


「これは……」


蓮の目が輝いた。


水。


それ自体が。

電撃の通り道になる。


「水場なら、電撃を広げられる」


相手が濡れているほど。

周囲に水が多いほど。


≪電晶ノ体≫の電撃は、活かしやすくなる。


蓮はすぐにノートへ書き込んだ。


『水属性:○

 身体への悪影響なし。

 水を介して電撃が伝わる』


「受ける分には普通。

 でも攻めるなら、かなり相性がいいな」


昨夜第一候補にした。


≪水蟲湿原≫。


その選択は。

さらに有力になった。


◇


続いて、雷属性。


魔導装置から。

青白い雷撃が放たれる。


──バチィィィッ!!


雷が、電晶の身体を走る。


だが。


ゴロに変化はない。

それどころか。


「……ん?」


背中の蓄電結晶。

その輝きが、僅かに強くなった。


「まさか……」


もう一度。


──バチィィィッ!!


雷撃を受ける。

再び、蓄電結晶が明るくなる。


「雷を受けても充電できるのか」


これは大きい。


本来なら。

敵から受けるはずの雷撃。


それすら。


電気として。

蓄えることができる。


「雷相手だと、かなり有利だな」


ただし。


どれほど強い雷まで。

安全に受けられるのか。


そこまでは分からない。


「限界はありそうだな」


蓮は慎重に記録する。


『雷属性:◎

 高い耐性。

 受けた電気を蓄電可能。

 限界は未確認』


◇


次は火属性。


小さな火球。


──ゴォッ。


炎がゴロの腕を包む。

結晶に大きな変化はない。


「この程度なら問題なしか」


出力を上げる。


──ゴォォォッ!!


高温の炎。


しばらく受け続けると。


結晶の表面が僅かに熱を持ち始めた。

だが、亀裂が入るような変化はない。


「火には特別強くも弱くもないか」


蓮はノートへ書き込む。


◇


続いて風属性。


魔導装置を起動する。


──ゴォォォッ!!


激しい突風がゴロの全身へ叩きつけられる。


重い電晶の身体。

簡単には吹き飛ばされない。


表面にも目立った傷はなかった。


「……これだけなら問題なさそうだけど」


蓮は装置を止めず。

そのまま風属性の魔力を浴びせ続ける。


すると。


ゴロが自分の腕を見下ろした。


「どうした?」


拳を握る。


──ミシッ。


僅かに結晶が軋んだ。


「……ん?」


蓮は装置を止める。

そして、防御検証で使った魔導人形を起動した。


同じ出力。

同じ槍による突進。


──ガギィンッ!!


「っ!」


先ほどは、僅かな傷しか付かなかった一撃。

だが、今度は結晶の腕へ亀裂が走った。


「硬さが落ちてる……?」


もう一度、風属性の魔力を浴びせる。

その後、同じ攻撃を受ける。


──ガギィンッ!!


亀裂はさらに深くなった。


「やっぱりだ」


蓮は目を細める。


地属性の特徴の一つ。

それは魔力によって肉体を硬くすること。


だが。


地属性は風属性に弱い。

風属性の魔力を受けることで、その硬化の力が弱められているらしい。


「だから、電晶そのものが柔らかくなったんじゃない」


本来の硬さを維持できなくなっている。

その結果、普段なら耐えられる攻撃まで通りやすくなる。


蓮はノートへ書き込んだ。


『風属性:△

 地属性による硬化が弱まる。

 防御力低下』


「これは明確に相性が悪いな」


◇


次は地属性。


魔導装置から岩弾が放たれる。


──ゴンッ!!


電晶の胸へ直撃。


だが。


「ダメージは普通か?」


結晶そのものに大きな変化はない。

だが、ゴロが小さく首を傾げた。


「どうした?」


ゴロは背中へ手を伸ばす。

蓮も蓄電結晶へ目を向けた。


「……光が弱くなってる?」


先ほどより。

僅かに輝きが落ちている。


蓮はもう一度。

地属性攻撃を受けさせる。


──ドゴッ!!


やはり。


蓄電結晶の光がさらに弱くなった。


「電気が減ってるのか」


確認のため。

ゴロに魔導人形を殴らせる。


──ドゴッ!!

──バチッ!


電撃は出た。

だが、先ほどまでより明らかに弱い。


「出力まで落ちてる……」


地属性は雷属性に強い。


その影響なのか。


地属性の魔力を受けることで。

蓄えた雷の力が削られているらしい。


身体そのものへの攻撃が特別効くわけではない。


だが。


≪電晶ノ体≫の強みである、蓄電と電撃。

そこを抑えられる。


「これは厄介だな」


蓮はノートへ書き込む。


『地属性:△

 身体へのダメージは通常。

 蓄電量が減少。

 電撃出力も一時的に低下』


◇


最後に、光属性と闇属性。


二つも順番に試していく。


光属性の攻撃を受けても、特別な変化はない。

闇属性も同じ。


もちろん。


それぞれの属性が持つ特性まで。

無効になるわけではない。


だが。


≪電晶ノ体≫だからといって。

特別に強くも、弱くもなかった。


「この二つは普通だな」


蓮は最後の結果を書き込む。


──────────────────────


≪電晶ノ体≫ 属性耐性

 地:△

 水:○

 火:-

 風:△

 雷:◎

 光:-

 闇:-


──────────────────────


「属性相性はこんなところか」


これは攻撃を受ける側としての相性。


ただし。


水だけは、攻撃する側では話が変わる。

水を介せば、電撃は広がる。


「水相手なら、攻撃面ではかなり有利だな」


蓮はノートを見ながら。

小さく笑った。


水蟲湿原。


次の迷宮として。

ますます悪くない選択に思えてきた。


◇


「最後はスキルだ」


蓮は訓練用魔導人形をもう一度起動する。


まずは≪大地ノ拳≫。


「ゴロ。やってみよう」


ゴロが拳を握る。


「≪大地ノ拳≫!」


魔力が結晶の拳へ集まっていく。


その瞬間。


──バチバチバチッ!!


通常時よりも。

明らかに強い電撃が拳を包んだ。


「おお……!」


ゴロが踏み込み。

拳を振り抜く。


──ドゴォン!!


魔導人形へ直撃。

続けて。


──バヂィィッ!!


強い電撃が全身へ駆け抜けた。

魔導人形の動きが大きく止まる。


「通常攻撃より、電撃も強くなるのか」


打撃も。

電撃も。


どちらも強化されている。


蓮はノートへ書き込む。


続いて。

≪大地ノ角撃≫。


さらに。

≪大地ノ甲殻≫。


二つも順番に試していく。


どちらも。

土の身体で使った時とは明らかに変化していた。


「やっぱりそうか」


蓮は結果をノートへ書き込む。


≪電晶ノ体≫になることで。

既存のスキルも、この身体に合わせた性質へ変化するらしい。


詳しい使い勝手は。

実戦で確かめる必要がありそうだ。


◇


一通りの検証を終え。

蓮はノートを見下ろした。


≪電晶ノ体≫。


土の身体より僅かに動きは重い。


その代わり。


攻撃力。

防御力。


どちらも高い。


通常攻撃には。

電撃による追撃。


背中の結晶には。

蓄電機能。


水を介せば。

電撃を広げられる。


雷を受ければ。

蓄電まで可能。


その一方で。


風を受ければ。

地属性による硬化が弱まり、防御力が落ちる。


地を受ければ。

蓄えた電気が削られ、電撃の出力も落ちる。


そして。


既存のスキルも。

電晶の身体に合わせて変化する。


ただし。


≪電晶ノ体≫そのものの維持。

電撃の残量。

充電するための隙。

修復に必要な魔力。


考えることは多い。


「強いけど……雑に使える肉体じゃないな」


蓮は小さく笑う。

高い性能を持つ代わりに、使いどころを選ぶ。


「切り札って感じか」


ゴロも満足そうに。


──どんっ。


と胸を叩いた。


蓮はノートを閉じる。

そして、昨夜調べた迷宮を思い浮かべた。


水属性迷宮“水蟲湿原”。

土の身体が苦手としていた水。


だが。


≪電晶ノ体≫なら、その弱点はない。

それどころか。

水そのものを電撃の通り道として利用できる。


「……決まりだな」


ゴロが蓮を見る。


「次は≪水蟲湿原≫だ」


ゴロは力強く頷く。


そして。


──どんっ。


もう一度。

胸を叩いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。