断章 設定資料集
## 作品紹介
前作『凪の轍』の約1年後。自動物流システムの崩壊と再建を経た日本で、「どこまでを自動化し、何を人の手に残すか」という問いに向き合う人々を描く近未来社会派SF。インフラの外側で生きることを選んだコミューンと、繋ぎ直そうとする側の静かな衝突を軸に、全16話で構成される。
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## 世界観
### NERVA
*National Enhanced Road and Vehicle Automation* の略称。2050年代後半に稼働した国家主導の物流・交通一元自動化システム。日本国内の幹線物流、都市間輸送、ラストワンマイル配送のほぼ全域を管轄していたが、2060年代初頭に大規模崩壊を起こし、社会インフラに甚大な混乱をもたらした。
### NERVA崩壊
NERVAが単一障害点となっていたために発生した連鎖的なシステム停止。物流の途絶は医薬品・食料の供給不足を招き、特に過疎地・山間部・離島で深刻な影響が出た。崩壊の詳細と初動対応は前作『凪の轍』に描かれている。
### 分散型アーキテクチャ
NERVA崩壊の教訓から導入が進む、複数の自律システムと人的オペレーションを並行稼働させる設計思想。特定のシステムへの依存を排し、障害時の影響範囲を局所化することを目的とする。本作の時代にはまだ移行途上にある。
### ヒューマンバックアップ制度
自動化システムの補完策として制度化された、手動運転技術保持者の配置要件。免許の取得・更新に特別カリキュラムが設けられており、事業者側にも一定比率の有資格者確保が義務付けられている。実効性をめぐっては行政・業界双方に異論もある。
### 手動運転免許
NERVA崩壊以降に整備が進んだ特別免許区分。一般的な自動車免許とは区別され、手動操作による長距離輸送・山岳路・緊急対応を認定するもの。取得者は全国的にまだ少数。
### コミューン
NERVA崩壊後、インフラの中央依存から自立することを選択した地域共同体の総称。行政との関係は地域によって異なり、完全な自治を志向するものから、外部との連携を模索するものまで幅がある。本作では山間部と日本海側の二つのコミューンが主な舞台となる。
### 日環ロジスティクス
本作の主人公・早瀬凪が勤務する物流事業者。NERVA崩壊後の再建期に「手動・自動統合運用課」を設置し、自動システムと人的オペレーションの接続を担っている。
### 荘川オフサイト拠点
岐阜県・荘川周辺に設けられた日環ロジスティクスの中継・管制拠点。山間部の物流を支える機能を持つ。
### 銀嶺号
荒木健三が所有する中型の幌付きトラック。NERVA崩壊時の前作でも活躍した車両。本作でも要所で登場する。
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## 登場人物
### 主要人物
**早瀬凪** 32歳
日環ロジスティクス「手動・自動統合運用課」課長。NERVA崩壊の当事者として復旧と再建に関わり続けてきた。自動化と人の手の境界線を、現場から問い直す立場にある。
**荒木健三** 73歳
元長距離トラック運転手。銀嶺号の所有者。凪の祖父とも旧知の仲で、NERVA以前の道を知る数少ない人物。
**佐伯信吾** 55歳
荘川オフサイト拠点の管理人。元国土交通省のキャリアで、行政の表も裏も見てきた実務家。
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### 山間部コミューン編
**大庭** 60代
コミューンを構成する集落の村長。外部との板挟みの中で助けを求めることを決断した人物。
**葛城透** 40代後半
コミューン内でNERVA車両の乗り入れ禁止を主導した中心人物。信念に基づいた行動派。
**三浦真理** 30代前半
技術者。都市部からコミューンに移住している。
**杉本淳・沙耶** 30代夫妻
子ども連れでコミューンに暮らす住民。生活者の視点を体現する。
**光** 20歳前後
コミューンの若い住民。皮肉屋だが、状況をよく見ている。
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### 日本海側コミューン編
**城崎** 50代前半
コミューンのリーダー。元大学教員で、自治の理念を言語化できる人物。
**周** 40代後半
外部との窓口役を担う。元貿易商で、交渉慣れしている。
**波多野** 60代前半
元漁師。コミューンの中で「生活者の代表」として発言する立場。
**矢島** 40代前半
手動運転免許の教習所教官。制度の最前線にいる人物。
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### その他
**宮田** 20代後半
凪の部下。情報収集を担当。
**河野** 30代後半〜40歳前後
日環・新座拠点の管制要員。
**藤原** 50代半ば
凪の上司。日環ロジスティクス陸上輸送部門の部長。




