表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
42/47

42.ギガント台風!

「ロシモフ!」「ロシモフ!」「ロシモフ!」

ヒールであるにも関わらず、会場から少なくないコールを受けて大巨人が入場する。


(いくら強いからって……元英雄だからって王国の敵フレアの仲間を応援しなくてもいいじゃない)

 カリーナのような大部分の良識派の観客は、眉を顰める。


 巨体を誇示するかのように、トップロープを跨ぎロシモフはリングインした。


 連戦の疲れも見せず、オリバーは真っ向からロシモフに向かっていく。

 組み合おうとしたところで、常識外れのリーチでロシモフはオリバーの頭を掴んだ。

 ブレーンクローでそのまま締め上げていくと徐々にオリバーの抵抗も弱くなっていく。


 ロシモフは、ハイアングルのボディスラムで叩きつけるとエルボードロップを落として3カウントを奪った。

 二人抜きをしたを果たしたオリバーも、ロシモフ前では子供扱いだった。


「次鋒、パーシバル行きます! グエーッ!!」

 勢いよく突っ込んだパーシバルの喉元へ、槍のようなロシモフのカウンターキックが突き刺さった。

 倒れたパーシバルにロシモフがダイブするーーギガンティック・ボディプレス!


 大巨人のフライングボディプレスを食らったパーシバルは、何も出来ず3カウントを奪われた。


「マーベラス! 理想的よ!」

 控室で試合をモニターしていたフレアが突然立ち上がりながら、叫んだ。


「ロシモフがヤバいのはいつもの事でしょう?」

 試合を控えたニックが興味なさげに応える。


「違うわよ! あのパーシバルって選手! 騎士団なんて融通の利かない堅物ばかりかと思ってたけどあんなセンスのある人もいるのね!」

 そうは言われてもダニーには無謀に突っ込んで瞬殺されたようにしか見えなかった。

 ダニーは首をかしげる。


「パーシバルは、敢えて無防備に突っ込んでやられたの! それにあのボディプレスを正面から受け止める度胸も素晴らしいわ! 彼は、自分がルーキーである事とロシモフを現在、『最強』として売り出しているのを理解して試合を組み立てたのよ!」


「しかし、そんなことをしていたら観客に舐められるんじゃ?」


「パーシバルは、今日瞬殺されても次の試合で取り戻せる自信があるのよ あの技の受け方、魅せるわ! センスの塊よ!」

 

 パーシバルの真意は分からない。

 フレアは意識してかどうか分からないが人をよく褒める、だが本人を前にしている訳でもないのにここまで絶賛するのは珍しい事だった。


 パーシバルが担架に乗せられて運ばれていく、まるで交通事故現場のような光景に会場が静まり返っていた。

 わずか10分足らずで、リーガル王国正規軍のアドバンテージは消え去ってしまった。

 リーガル王国の前に立ちはだかる巨大な壁の存在を、観客たちは思い知らされた。


 軽快な音楽とともにマリガンが入場する。

 フレアにロシモフがいるなら、リーガル王国にはロシモフからギブアップ勝ちを奪ったマリガンがいる。

 そんな観客の期待を受けて、マリガンがリングに上がった。


 マリガンが反則すれすれのナックルパートで攻め立てる。

 タッグマッチならまだしもシングルマッチでは、ロシモフのパワーをいなすのは難しい。

 マリガンはラフファイトに活路を求めた。


 ロシモフの肩にワン・ツーをリズミカルに拳を当てていく。

 怯んだとみるや踏み込んで拳を回して更に強く打ち込む。

 

 ーーだが、ロシモフは胸でその拳を受け止めると同時にマリガンの頭を掴んだ。

 ポリポリと蚊でも止まったかのように殴られた胸を掻くと、掴んだ頭を抱え込む。


 ロシモフが怯んで見せたのは罠だった、今更気づいても遅いとばかりにヘッドロックで締め上げる。

 マリガンは、なんとか抜けようとするも強烈なパワーで締め上げられて抜けられない。

 苦しみ紛れにバックドロップで投げようとするも、大巨人は持ち上げられない。


 ーーギブアップ寸前まで追い詰められたマリガンがどうにかロープに辿り着く。


 マリガンがショルダータックルを仕掛ければカウンターのハイキックで返された。

 蹴りで活路を開こうとミドルキックを繰り出せば掴まれてボストンクラブで痛めつけられた。


 タフなマリガンが、ダメージの蓄積と手詰まり感で追いつめられていく。

 形勢逆転を狙いマリガンは自らロープに飛んだ。


 信じられないモノを見た。

 大巨人が宙に舞った!

 大きなブーツが二つ、カウンターでマリガンに突き刺さった。

 まさかのドロップキックーーマリガンがリング下まで吹っ飛ばされた。

 

(誰も大巨人には敵わない……)

 声援がいつしか声援は止み、観客席には諦めにも似た空気が広がっていく。


 ロシモフがマリガンを追ってリング下に降りる。

 完全にグロッキーなマリガンを持ち上げると、とどめとばかりに薄いマットしか敷かれていない床に叩きつける。


 もう一発と持ち上げられたところで、死に体だったマリガンが動いた。

 持ち上げられた瞬間、身体を揺らし、腕を取り、首に足を絡める。

 フライング・ヘッドシザースで場外の観客席にロシモフを、巻き添えにして突っ込む。


 両者リングアウト!! 


 フェンスオーバーで両者失格。

 敗北寸前だったマリガンがロシモフを止めたことに会場が感嘆の声に包まれた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ