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34.リベンジ

「全国のプロレスファンの皆様、こんばんは! 今日もここリーガル王国国立総合体育館は一万人の観客で超満員! 前回の死闘の末に再結成を果たしたチャールズ&マリガンが、フレア&ロシモフを迎え撃ちます!」


「解説のアトキンス将軍、前回の同カードではロシモフの超次元パワー殺法の前にマリガンが轟沈。さらにはフレアの『魔女の口づけ』を受けるという屈辱まで味わいました。果たして今日は雪辱を果たせるのでしょうか?」


 アナウンサーが開幕の挨拶もそこそこにアトキンスへ話を振る。


「そうですね。あの試合ではロシモフのパワー殺法になす術なく敗れ、マリガンは洗脳されて殿下と戦う羽目になってしまいました。しかし、私は結果的には良かったと思っています」


「それはなぜですか?」


「あの二人が戦ったことで、よりお互いを理解し合えた。そしてそれぞれが己を鍛え、さらなる成長を遂げたように感じるのです」


「それでは今日の試合は?」


「ロシモフが難敵であることに変わりはありません。しかし、きっとやってくれると思いますよ!」


 リング上では恒例の花束の贈呈が行われていた。

 花束を受け取った両チームは睨みあいを続ける。

 不意打ちは無理だと諦めたフレアたちが背を向けた瞬間――まだゴング前だというのに、チャールズとマリガンが襲いかかった。


「アトキンス将軍、これは!」


「殿下たちの『いつまでもフレアの好きにはさせない』という意思表示でしょう。もっとも、以前に同じことをやったのはフレアの方ですからね。文句は言えないでしょう!」


試合は、ペースを握ったチャールズ&マリガンが優勢に進める。


試合は序盤からチャールズ&マリガンがペースを握った。


「アトキンス将軍、心なしかフレアの動きが悪いように見えるのですが?」

「呪詛返しというやつでしょう。マリガンにかけた呪いが破られましたからね。『人を呪わば穴二つ』ですよ」


 ロシモフの圧倒的なパワーに何度も窮地へ追い込まれるものの、そのたびに互いを救出するチャールズ&マリガン。

 抜群のチームワークで反撃の糸口を掴んでいく。


「やりますね。さすがのロシモフにも疲れが見えてきました。二人は腕に狙いを定めたようです」

 アトキンスの言葉どおり、チャールズが右腕を、マリガンが左腕を捕らえる。


 二人はそれぞれロシモフの腕を抱え上げ、自らの肩へ叩きつけた。

 ツープラトンのショルダー・アームブリーカー!


 巨体を震わせて悶絶するロシモフ。


 二人は逃さない。


 痛みに苦しむロシモフの腕を捕らえ、執拗にショルダー・アームブリーカーを連発する。

 ロシモフも背中へ拳を叩き込み反撃するが、その威力は目に見えて落ちていた。


 肩を押さえて動きを止めたロシモフへ、チャールズがショルダータックルを叩き込む。


 巨体は揺れるが倒れない。


 そこへマリガンが渾身のショルダータックル!


 ついに大巨人がマットへ倒れ込んだ。


 すかさずマリガンはロシモフの左肩に馬乗りになり、腕ひしぎ逆十字固めを決める。

 フレアがカットに飛び出すもチャールズに阻まれる。


 レフリーがロシモフにギブアップの意思を確認する。


 ーーついに限界を認め、ロシモフはタップをした。

 マリガンのギブアップ勝ちを宣言された。


 おそまきながら、チャールズの妨害を乗り越えて、フレアがマリガンを突き飛ばした。

 技から解き放たれたロシモフは激昂し、試合が終わったにも関わらずマリガンに襲い掛かる。


 箍が外れたかのように暴走するロシモフの猛攻にマリガンが崩れ落ちる。

 止めに入ったチャールズも、鳴り響く試合終了のゴングも無視して何度も執拗にストンピングを繰り返す。

 場内はブーイング一色だ。


 マリガンがマットに倒れ伏し、動けなくなるとようやく満足したかのようにフレアとともに控室に帰っていった。


 試合後、フレアはインタビューを受けていた。

「こうなったら少し本気を出すしかないようね、次はシングルマッチよ」


「マリガン コロス!」

 何故かカタコトでロシモフが呟く。


「ロシモフがマリガンを、わたくしがへなちょこ王子を地獄に叩き落して差し上げますわ」

「マリガン コロス!」


 こうして遺恨戦となったセミファイナル、マリガンVSロシモフ。

 そしてメインイベントの王座戦、チャールズVSフレア。


 その決定が、翌日発表された。

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