33.帰ってきたチャールズファンクラブ
リーガル王立学園の校舎の片隅、放課後だというのに暗幕が張られた怪しい教室。
周りに人がいないことを確認してから、ティナは扉をノックした。
「合言葉を……」
「マリガン様 最高!」
ティナは声を潜めて答える。扉の向こうの相手は少しの逡巡を見せたが、扉を開けた。
「ティナ! 一度は袂を分かったあなたがこうして戻って来たことは幸福の極みよ! チャールズ様に、そしてマリガン様に感謝を!」
「ジョディ! 私を……いえ、マリガン様を許してくださるの?」
「許したのは私じゃないわ、チャールズ様よ。あの魔女の手に堕ちても、あなたはマリガン様を信じ続けた。つらかったでしょう?」
そう言い合いながらジョデイはティナを抱きしめた。
ボニーとカリーナも涙を流しながら二人を見守っている。
「マリガン様がフレアの手に堕ちた時、私はどうすれば良いか迷ってしまった。私は迷いに迷った末に、これはきっとマリガン様が私に与えた試練なのだと理解したの!」
「素晴らしいわティナ、私はマリガン様を疑ってしまった。でもあなたはファンクラブを一度抜けることでより一層、真実に近づき、目覚めたのね!」
今度はティナとボニーが抱き合う。
「そうか……先日、チャールズ様とマリガン様のペアがフレア達に負けたのもお二方が悪いわけじゃない!きっと私たちの応援が! 信仰が! 足りなかったんわ!」
カリーナが危険な結論に辿り着いた。
「「「そうね 間違いないわ!!!」」」
もはや誰も一人として止めるものはいない。
「それでは皆様、これからも一層の応援を行うためにコールの練習をいたしましょう!」
ジョディが音頭を取ると、四人の表情が引き締まる。
「「「「チャールズ!」」」」
「「「「チャールズ!」」」」
「「「「チャールズ!」」」」
「「「「マリガン!」」」」
「「「「マリガン!」」」」
「「「「マリガン!」」」」
「「「「デカシリ!」」」」
「「「「デカシリ!」」」」
「「「「デカシリ!」」」」
「しっ、静かに!」
ジョディは一転、他の三人を落ち着かせるように手を振って警告した。
廊下から足音が聞こえる。
「まずい見回りよ」
ボニーが黒板の文字を消しながら囁いた。
「誰かいるのか?」
見回りの教師が教室の扉を開けた時、四人の姿は闇の中へ消えていた。




