29.タッグマッチ
「現代に甦った戦争の英雄、伝説の戦士は魔女の手に堕ちていた! 迎え撃つのは我らがチャールズ&マリガン! あまりに強大なギガンティック・ロシモフに二人はどう立ち向かうのか!」
リーガル王国正統継承者 鮮血の魔女
チャールズ・リーガル フレア・ブラッシー
VS
友情騎士 伝説の戦士
マリガン・カスタード ギガンティック・ロシモフ
NOW ON SALE!
「ねぇ これではわたくしが添え物みたいじゃありませんこと?」
魔法ビジョンから流れるCMを見てフレアはむくれていた。
「伝説の戦士相手じゃ仕方がないだろう。ロシモフを連れ出した時点でこうなることは目に見えていたんじゃないか?」
エリックの指摘にフレアは黙りこむ。
(むくれる姿もフレアは可愛いな)
などとエリックが思っていることは秘密である。
「しかし、ロシモフ良かったのか? こうなると孤児院に戻ることは難しいぞ」
フレアの味方になったということは大衆の敵になったと同じ事だった。
孤児院との関係が知られれば、迷惑がかかってしまう。現在はロシモフはフレアの家に居候をしていた。
「いいんですよ。貰った契約金でスラムを抜け出して、孤児院は環境の良い郊外に引っ越せる、園長の病気も良くなるだろう、あいつらが健やかに育つなら俺は満足だ」
そう言って笑った顔は、間違いなく英雄の顔だった。
チャールズの私室にはマリガンとアトキンスが来ていた。
「伝説なんてあてにならないな、ギガンティック・ロシモフは、伝説以上のバケモノだったぜ!」
マリガンは、まだ身体の節々に残る痛みに顔をしかめながら愚痴る。
「全くだ、あれがリングの上で良かった。もし戦場で敵として相対していたらとおもうとゾッとするな」
同じように圧倒的な体格差とパワーで振り回されたチャールズの同様の感想を述べた。
「そうだろう、ロシモフは凄いんだ! あいつはな…」
アトキンスがロシモフの過去の武勇伝を嬉々として語り始める。
(なんであんたがそんな嬉しそうなんだよ!)
何度も聞かされる二人は、口にこそ出さないがそう思っていた。
「しかし、ロシモフと俺と体格差って、フレアと俺との体格差と殆ど変わらないんだよな、アイツも凄いんだな……」
マリガンが呟く。
チャールズは、フレアの名前を聞くとリング上でロシモフの額にキスをしていたことを思い出した。
あれは演出だと分かっていても、なぜか胸がむかむかするのを感じた。
「マリガン、練習するぞ! 巨人対策はフレアを見て分かっただろう、またロシモフにだけ好き勝手されてたまるか!」
人知れずチャールズは闘志を燃やしていた。
「俺……まだ身体が痛いよ 次の試合はアレだろ……」
マリガンはとある理由で気が乗らない。
ため息をつくとカリーナの顔が浮かんだ。
彼女は俺を許してくれるだろうか?




