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#84 二日連チャンでもちゃんとやろうよ。

「ルアさん?」


『あ、ああ!ローグの皆が居るから大丈夫さ!アリエス達は置いていこう!!』


「随分と(しゃく)(さわ)る言い方をしてくれるじゃないか?変態王」


 ヒッ!!殺されるッ!!?


『いや!まて!落ち着くんだ!変な意味じゃあないんだよ!分かるだろ!?な?』


「ほぅ。じゃあどういう意味か教えて貰おうか?」


 アリエスが鋭い眼をしたままニヤリと口角をあげた。


 実際には肌着とショートパンツを身に付けているだけなのだが、背負ったハルバードを握り、俺の顔先寸前に刃先を向ける仕草は、見えない武器が本当にそこにあるかの(ごと)く攻撃的な空気を(まと)っている。


『ヒィィッ!!』


「まぁまぁ、二人とも、遊ぶのもその辺で。先程言った通り、アリエス達が人の王との謁見に向かない性格だという事は天使全員、同意見です。ですから、天使の顔見せとしてリエルは同行させますが、他は戦闘が始まってから、応援部隊として直接参戦する事にしました」


「トーラスは性格が曲がってるからね。謁見に来ても面白くない気分になるだけですよ」


「ええ。見慣れぬ種族が大勢押し掛けるよりは、ヤハス様方にお任せした方がメル様が受け入れられるのも早いでしょう」


 とテスタント。ヤハスも同感なのだろう、迷いなく頷いた。


「ヤハス様だけじゃなく、俺達も居ますから!ドンと任せてくれて構わないですよ!」


「あら?メルだって、アーマスには任せたくないって思ってるでしょ?」


「ええっ!?レイアさん!?そんなこと思ってないですよ!」


「アーマスの事はメルに任せるニャ」


「ええっ!?それ、なんか変です!」


 少し年上のお姉さん達にからかわれるメルも可愛いなぁ。作戦が成功して学校に入ったなら、毎日こういう光景が見られるのか。クフ、クフフフフ。


「話を戻しますが、戦闘が始まった後は、ベクールの兵士達がルベルア様の強さを実感した頃合いを見計らって、メル様がルベルア様を力ずくで抑えて配下に加えた。という流れで戦闘を終えます」


「はい」『了解だよ』


「私とレコード・ルーラー様がワプル村で状況を確認しながら細かなタイミング等をお伝えしますので。そこまでを終えた(のち)に、再度ベクール王と謁見をし、事実上【黒き鳥ノ王・討伐作戦】が丸く収まる訳です」


「あの、もしベクール王が納得してくれなかったらどうしますか?」


「そんな時は力ずくだよ!弱気じゃダメ!メルは力持ちなんだから自信を持って!」


「ええと、うん。ありがとう、リエル」


 何の自信だよ。結局力ずくになるなら、初めから自作自演をする意味が無いだろ。けど、確かに作戦の最後が曖昧(あいまい)に感じる。


 それとも、俺が思ってる以上に他の皆の【レコード・ルーラーの声】に対する信頼が厚いって事かな?


 まぁ、そういう事にしておこうか。


「フスカ村への対応ですが、村長、お願いします」


「うむ。ベクールに避難しているフスカ村の人々はワプルで受け入れをし、フスカを再建するかどうかはフスカの村長と話をしてから決めようと思っておるよ。どちらにせよゲインには頑張って貰うつもりじゃ」


「ええ、任されましょう。と言っても、俺だけの力は微々たるものですから、村の皆や天使の方々にも沢山手を貸して貰う事になるでしょう」


 落ち着いた口調で助力を求めたゲインに、村長のジジイは力強く頷き、トマスとノートも「勿論です」と胸を叩いた。


 テスタントが次の話題に移そうと「さて」と切り出したところで、教会入り口のドアが開かれた。


 やって来たのは我が家のパピーとマミーとハニーだ。


「皆様、既にお揃いでしたか。遅くなってスミマセン」


 流石モルドー、開口一番に謝罪を述べるとは。長く生きてる奴は危険(アリエス)を回避するのも上手いもんだぜ。


「お気になさらず。殆んど変更なくモルドー様の提案を実行する方向に致しましたので、改めて言う必要もないかと」


「一応詳細を聞きたいという事であれば、後でワシかテスタント殿に尋ねてくれんかの」


「ええ。ですが、僕は今回の作戦に関して特に不安点は無いので、大丈夫ですよ。二人も特に問題ないよね?」


「大丈夫よ!ユクスちゃんは?」


「妾も問題ありんせん」


 ユクスちゃん!?


 ええぇ!?本当に!?


 あんなに厚かった壁は何処にいっちまったんだよ!仲良くなりすぎだろ!いや、良いことなんだけどね!!


「出来れば明日中に作戦を開始したいと思っています。お三方は来たばかりですが、ここらで話し合いを締めてしまっても構いませんか?」


「ちょっと良いですか?」


「どうぞ」


「後で聞いても良かったんだけど、一応って事で。ルアさん、私が演技で戦いを挑む時だけど、小さな頃の特訓と同じくらいの感じで良いかな?」


『おお、別に全力でも良いよ』


「ううん。ルアさんが丈夫なのは知ってるけど、もしも間違って当たっちゃったら嫌だもん」


『本当に気にしなくても良いのに。小さい頃にも言ったけど、この体には痛覚が無いらしいからさ」


「本当に?」


『うん。痛いとか言っちゃう時もあるけど、アレは“痛くないのに痛い”って言っちゃうやつでさ。ゲームしてる時に出る“痛い!“と同じと言うか』


 ぶっちゃけ人型の時は痛覚ありまくりだけどね!


「ごめん。ゲームはした事が無いから……」


 ヤベェ。以外なところに地雷発見!


『まぁ、とにかく大丈夫って事さ。思いっきり来てくれた方が演技もしやすいしさ』


「そっか!分かった!じゃあ、思いっきりいっちゃうね!」


『おう!』


「解決したようですね。ではそろそろ――」


「あっ!お父さんにも質問があります!」


「おっ!なんだいメル!うふふ、何でも聞いてごらん!」


 何故かやたらと話し合いを終えたがるテスタントの言葉を(さえぎ)り、再びメルが挙手をした。質問相手として急に名の上がったモルドーは、ここ最近で一番嬉しそうな顔を見せている。


 久しぶりの“お父さん、聞いても良ぃい?”が顔面崩壊するほど嬉しいのだろう……が。


『嬉しそうなのは何よりだけど、まぁまぁ気持ち悪い顔になってるぞ』


「ちょ!それは胸の中だけに閉まっておいてよ!で、どうしたんだい?」


「あのね?今朝教えてもらったんだけど、ルアさんって魔王様?とそっくりなんだよね?ベクールの人達はルアさんの姿を見ても、作戦が終わった後の関係に支障が出ないかな?」


「うんうん、なるほど、メルはルベルアが心配なんだね?大丈夫、僕もエリスも、メルだけじゃなくルベルアにも学園に通ってほしいと思ってるんだ、その辺りの事は心配要らないよ」


「んー、分かった!信じる!」


 寸秒(すんびょう)、理由を聞きたそうな顔をしたメルだったが、すぐにその考えを捨てたらしく、両手をキュッと握って笑顔で応えた。


「ああ!それにしてもメルは可愛いねぇ~!今度好きなものを買ってあげるからね!」


「もうっ!お父さん!」「もうっ!あなた!」


『俺にもなんか買ってくれよ』


「ルベルアは自分で稼いで買いなさい」


 マジか。そんな事言わずにお小遣いを寄越せ!


「コホン。皆様、他に何も無ければ話はここらで終わりにしましょうか」


「そうだな、準備が整えば明日には行動を開始するんだろ?なら今日は早めに解散しよう」


「自分達も異論は無いよ」


 相変わらず話し合いを切り上げたがるテスタントだが、今度はアリエスとヤハスも同意の意思を見せた。メルも満足したようだし、今日は解散かな?


『長々やるのは苦手だから、早めに切り上げるのは俺も賛成だよ。けど、テスタントがここまで時間を気にするのは珍しいな』


「いいえ、私が気にしているのは時間ではありません」


『うん?』


「ミハエル様!!!」


「ヒッ!?」


『うおっつ!いきなりデカい声出すなよ!』


 メルもビックリして、背筋が限界以上に伸びてたじゃないか。


 ミハエルが座っているのはテスタントの隣。お腹の音が聞こえるくらい近い距離だ。そのミハエルに向かって不必要な声量で叫んだテスタントだが、一体何故?バグったのかな?


 ただの悪ふざけなら、罰としてテスタント(おまえ)の耳元でメルに叫ばせるぞ。


「失礼。ですが、こうでもしないと我が主は気がつきませんので」


『へ?』


「むぅあぁ……あふ。ふぅむ……む!?終わったか!?」


「はい、明日から作戦実行という事で(まと)まりました」


 ちょいとお待ち!ミハエル(あんた)、寝てたの!?


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