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ポピュラリティゲーム  ~神々と人~  作者: 薔薇ハウス
五章 世界一下品な祭り
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見つけたメモと怪しい物音

 洞窟の内部はかなり暗く、入った直後にダナヒはこけかけた。

 それは二度、三度と続き、心配になった俺が「代わりましょうか……?」と聞いたが、ダナヒは「じきに慣れる」と言って、間接的にそれを拒否した。

 思う所はスキルの取得。せめてセキュア位は取った方が良い。

 そう思ったが故に忠告すると、ダナヒは「イラネ」とまずは言った。


「取るとアレだろ? 相棒妖精だかに、四六時中ついて回られるようになるんだろ?

 こちとらプライベートなタイムが多いし、いちいち説明するのもメンドクセー。力を貰わねぇと世界が滅びる、なんて事にならねぇ限りは、俺様は自分のスタイルを貫くぜ」


 好意で言うと、ダナヒは答え、「慣れて来た」と話を切り上げるのである。

 それでも尚も押そう物なら、無言の屁でもかまされ兼ねない。

 場所が場所故に遠慮したいので、俺は最悪でも説明書だけ――

 つまり、こちらでのルールの事だけでも読んでくれるようにダナヒに頼むのだ。

 知らずにやらかしても評価は下がる。俺の女装がまさにそれだった。

 知らずにやらかしてダナヒが消えたら。それは本当に寂しすぎる事だろう。


「まぁ、気が向いたらな」


 そんな気持ちが伝わったのか、屁をかまさずにダナヒは言った。

 その後には若干、怪しい足取りで進み出し、躓かなかった結果振り向いて来る。

 そして、「ほらな?」と言う満足そうな顔で、見えて来た事を証明するのだ。

 まるで子供だが油断をしてはいけない。

「えらいえらい」なんて褒めよう物なら、即座に「あ?」とやくざの顔だ。

 それ故に俺は少し考えて、「ですね」と言う事でその場を凌いだ。


 ダナヒにそれは見えているのか。通路の高さは三m程で、横幅はおそらく四m程。

 壁や床の材質は不明だが、色はどうやら黄土色のようだ。

 通路はその後に階段に変わり、下へ下へと俺達は降りて行く。


「どこまで降りるのー!? 長いよこれー!」


 と、ユートが騒ぎ出した頃に、階段はようやく通路に戻った。

 深さにするなら三百mか、四百mは下っただろうか。

 兎に角、割と深い所に俺達は降りて来てしまったらしく、周囲の空気もいつの間にか、うすら寒いものになっていた。


「オメェは幽霊とか信じる派?」


 また何かを言い出した。突拍子が無いのはいつもの事だが、ハッキリ言って意味が分からない。

 一応の形で「割と……」と、答えると、ダナヒはジリリと、体を退かせた。


「いっ!?」


 その先に見えたのは遺体であった。見れば、脇にも一体が座っている。

 それは、完全に白骨化しており、まるで何かから逃げるような形で、俺達が来た方に体を向けていた。

 遺体の発見はその後にも続く。不規則ながら相当の数だ。

 その度に驚く俺とユートだったが、ダナヒはどうも楽しそう。


「いかにもだよな。今にもこう、起き上がって攻撃して来そうじゃねぇか?」


 言った後に振り向いて、不気味な笑顔をこちらに向けるのだ。

 肝試しとかで急に大声を出すタイプ。すぐにも思うのはそんな事である。


「やめてくださいよ……」


 と、真剣に頼むと、「ははは」と笑って顔を戻した。


「にしてもコレ、何なんですかね……? 何で骨が転がってるんですか?」

「行き倒れには見えねぇな。肋骨が欠けてる奴も居る。誰かに殺られた、って考えちまうが、実際の所は分かんねぇな」


 思わず聞くが、ダナヒも分からず、そこからは無言でしばらく進む。


「ズバリ墓! 墓ですよここは!」


 二十秒程が経っただろうか、ユートが唐突に言った為に、俺は「ヒィ!?」と言う驚きの声を出すのだ。


「何だいきなり……」


 俺のその声に驚いたのだろう、しかめっ面でダナヒが振り向く。


「いや、ユートが……」


 と、言い訳をしてから、「いきなり声出すなよ……」と、ユートを叱った。

 罪悪感は無いのだろうが、それだけにたまーーに最悪の性質たちを出す。

 そうさせない為には教える事だろうが、何が分からないかがそもそも分からない。


「ゴミンゴミン。でも当たりだよね? 賞品は何かな? イチゴハルル?」


 それには一応謝りはしたが、ユートはなぜかの賞品を要求。

「はいはい……」と、それをスルーすると、若干の不満を感じているようだった。


「客観的に見たら病気だな。やっぱイラネーわ。相棒妖精は」


 これはダナヒで、「ボソリ」と言って、顔を戻して歩き出す。


「ヒドイーー!! それは相棒妖精のジンケンシンガイだよー!」


 直後にユートが抗議をしたが、聞こえないダナヒはそれを無視した。


「ほら! ヒジリも何か言ってよ!」

「あ、ああ……」


 頼まれた為にとりあえずは言い、


「厄介事も多いですけど、居たら居たで寂しくないですよ」


 と、特に考えずに本音をぶちまける。


「ひ、ヒドすぎるー!?」


 それにはユートはそう叫び、「もー知らない!」と言葉を続けた。

 そして、その後にダナヒを追って飛び、残された俺が小首を傾げるのだ。

 一応褒め言葉のつもりだったのに。と。


「ん……?」


 直後に何か物音が聞こえた。流石にダナヒの屁では無い。

 顔を顰めて場所を探ると、左手の壁の向こうに思えた。

 例えるなら金属が床を擦るような、そんな音が聞こえたのだが、そこにはドアも通路も見えない。


「(気のせいか……)」


 結果としてはそう思い、顔を戻してダナヒを追ったが、それが気のせいでは無かったと言う事を、もう少し後になって知る事になるのだ。




 それからしばらく進んだ所で、俺達はひとつの部屋を見つけた。

 場所としては通路の右手のドアが完全に壊れた部屋で、入るなりに俺達は、緑の壁を目の前に見た。

 そして、入口の両脇に伸びる、僅か数段の階段を見つけ、とりあえずの形で左に降りて、右に広がる光景を目にする。


 天井が高く、部屋の中はかなり広い。

 テーブルがいくつも並べられており、宛ら食堂のようにも見える。

 全体の色はおそらく緑色。しかし、かなり暗い色なので、ダナヒにはあまり見えて居ないだろう。


「どうなってんだ?」

「食堂かもしれません」


 やはりはあまり見えない様子のダナヒに聞かれて俺が答える。


「食堂? こんな洞窟の中にか? 一体全体何だってんだここは?」


 聞いたダナヒが歩き出し、椅子に躓いてこけかけた。

 それには耐えたが腕骨わんこつを踏み、ダナヒは「ちっ」と舌打ちをするのだ。

 ここにも遺体が転がっている。一体何があったと言うのか。


「ちょっとテーサツしてきまーす」


 屈んで遺体を調べようとすると、ユートが言って飛んで行く。

「気を付けろよ」は間に合わなかったが、まぁ、見えないのだから大丈夫だろう。

 それはそれとしてユートに任せ、状況を知る為に捜索を開始。

 やはりは元は食堂らしく、床にはそれらしき容器が転がり、ざっと数えた限りではあるが、五~六人分の遺体があるようだった。


「何かがあったのは間違い無いですね……」


 眉根を寄せて呟くと、ダナヒが「みたいだな」と短く答える。


「こんなもの見つけた!」


 と、ユートが戻るのは、ダナヒが答えた直後の事だ。

 どうやら何かを持っているようで、「何だそれ?」と言ってユートを迎える。


「ほい」


 渡されたのは小さなメモ帳で、ダナヒを右隣りにそれを開いた。


「(うわ……これは……)」


 すぐにも思ったのは無理だと言う事。

 今までに見た事が無い文字だったので、読める訳が無いと考えたのだ。


「あれ……おかしいな?」


 だが、どういう訳かそれが読め、不思議に感じて両目を細める。


「オメェも読めるのか?」


 と、ダナヒが言って、「ダナヒさんも?」と、俺が聞いた。


「こんな文字は見た事ねぇがな。どういう訳か読めちまう。書けと言われたら無理だとは思うが」


 それには俺も同感だった。読むだけならば可能であるのだ。

 リクツは謎だがどうにも気持ち悪い。興味はあるが、やめようかとすら思う。

 

「早く読んでよー!」

「分かったよ……」


 閉じかけていたが、ユートに急かされ、仕方が無しにメモに向かった。

 それからゆっくりとメモを読み出すと、ダナヒがテーブルの上に座り、一方のユートは少しを移動し、俺の左肩の上へと座る。


 そんな中でメモを読み進め、いくつかの事を判明させた。

 まずは持ち主。

 この人は男性で、傭兵のような仕事をしていたらしい。

 らしい、と言うのは想像の為で、


「今回の仕事は報酬が安い」


 と言う一文が、その想像の理由となった。

 性別に関しては「俺」口調なので、俺っじゃなければ間違いは無いだろう。

 そして、家族とは離れて暮らしていたようで、「早く家に帰りたい」と言う文が、そこら中で確認出来た。

 それに加えて「いつになったら帰れるのか」と言う、疑問のような文も良く見られ、彼の当時の環境を想像する事を難しくしていた。


「で、ここにそれがあった理由は?」


 そこら辺の事には興味は無いのか、座ったままでダナヒが急かす。

 その為に、ページを一気に飛ばすと、血の滲みで固まった部分が現れた。

 何とかそれを剥がそうとするも、失敗してページを破いてしまい、うまく開けたページにしても、破れた紙片が付着していた。


「ここに来たのは失敗だった……慢心していたと言わざるを得ない。

 結局俺は……へは? ……る事は出来ない……?」


 それでもなんとか読んでみるが、残っている部分では意味が分からない。


「最後の足掻きであいつを……した? 誰かが助けに来てくれると良いが……を見た者へ忠告を残す……ら……に、攻撃は殆ど通じない。

 狙うのならば腹を狙え……そこを切り落とせば奴らの……は? 数十秒後には停止する……?」


 更に続けてページをめくり、「帰りたかった」と言う最後の文字を、俺は両目に入れるのである。


「死んじゃったんですかね……このメモの人」


 メモを閉じて呟くと、「そうかもな」と言ってダナヒが立ち上がる。

 何があったかは予測できないが、何だか気の毒な最後と言える。


「いっ!?」


 そんな事を思って視線を動かすと、奇妙な物が視界に入った。

 悪寒が走り、顔が強張る。間違い無く言える事は人外の物だ。

 場所としてはダナヒの背後。

 入口から見て右手の壁から、何者かがこちらを眺めていたのだ。

 どうやら人間の顔のようだが、目は窪んでいて頬は扱けている。

 色は青白く、髪はボサボサ。白い首は異常に長い。

 こちらに気付いて首を引っ込めたが、それは明らかに異質の者で、その為に言葉を失っていると、ダナヒが「どうした?」とそちらを向いた。


「なんか居んのか?」


 その時にはすでにそいつは居なかった。故に、ダナヒが疑問する。


「気のせいじゃないです……ここにはやっぱり何かが居ますよ……」


 少し前に聞いた金属が床を擦るような音は、俺がダナヒにそう答えた後に、入口の向こうから聞こえ始めた。


メモ帳の持ち主については後に察する事が出来ます。

覚えて居れば…の話ですが。

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