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大剣のアリスティア  作者: 雉子谷 春夏冬
第一章「神様は赦してくれない」
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第三話(知らなかった、は言い訳ですね)・12

──泣いている。誰だ? 俺じゃない。


 正面遥か遠くには、天を突く山を背に、丘そのものを利用して建てられた堂々たる威容を誇る白亜の城。見覚えはない。

 頭に浮かんでくる言葉は、『久遠城』。古王国ラティカの王城。もうひとつの名は、『揺籃の地』

 その城下には意図的な配色で染まる美しき王都が広がり、それを守護する巨大な城門の外には、万を越す騎士達が気味が悪いほど整然と陣を組み、その陣の奥に控える主を守る。

──そうさ、これは夢。

 その主は泣いていた。無表情にその頬を濡らしていた。

 とめどなく涙が頬を伝わり、それを周りの人間達は気づいていない。

 泣いているのは、女の子だ。どこかで見たことあるような、でも肝心の顔がもやにかかっているように見えない。

──でも俺は知っているはずだ。この見事な金髪の、美しい少女のことを。

 少女の周りの騎士達は、いや、全軍が剣を掲げて口々に叫んでいる。

 

 王のために! 王のために! 王のために!

 

──あーあ。そうか。涙を拭えないのは、俺が真正面にいるからか。俺があの涙、とめてやらなきゃな。

 駆け出す。あの万を超える騎士達の軍勢へ。あの涙をとめるため。邪魔するなら皆殺す。

 できないことはなにもない。両の手にそれぞれ大剣。

 右手には残された大剣『うしなうべきもの』が。

 左手には詩う聖剣、その銘は。

──思い出せない。

 右の大剣、その真価を発揮させる。そうすればこんな歪な大軍なんて、糸の切れた人形の残骸。相手にならない。

──俺はあの神話獣すら倒したんだ。今さらこんな奴ら相手になるかよ。

 進む、進む、大剣使い。鋼鉄の海切り裂いて、人塊吹き飛ばし、人命散らして止まらない。誰にもその時間は奪えない。

 二振りの大剣、全ての装備を以て、狂飆きょうひょうと化した大剣使い、ついにはその少女の眼前へ。振り上げるは右の大剣。

──今、とめてやる。その涙ごと、あんたの命。

 その少女の顔ははっきりとはわからない。しかし、表情が死んだその頬に、流れる涙はあの子の残滓。そう思ってしまったら。去来する旅路の思い出。良く笑い、よく泣いて、ともに駆け抜けたあの日々が大剣を止めさせる。振り下ろせない。

 大剣使いの体に突き刺さるいくつもの純白の細剣。

──なにを泣いてやがる? ばーか。

 こんなの信じない。

──そうさ、これは夢。

 ただの微睡みの絵空事。

──でもさ、あんたやっぱり可哀想なやつだったんだな。

 意識が浮上していくのがわかる。俺は、俺の名前は。

 現実から響く、銀髪の少女の声が目覚めの呼び水となる。

 

「この大剣、未知の素材だけど、詠術鋼じゃない……。なんにも感じない。私がなんにも感じないなんて。どうして? この大剣ではないの? これから手に入れる、ということ?」

(うるせえな。なにをぶつぶつ言っているんだ)


 ナナシは夢から覚める。体が酷く重怠い。


「ナナシさん!」


 目を開けた横たわるナナシに、アリスティア姫は飛びついた。


「ひっつくんじゃねぇよ。重い」


「嘘、そして失礼。こんなに心配していたのに」


 まだもやがかかる頭の中で、ナナシは段々とマナガルムとの戦いの記憶が蘇ってくる。見える範囲で己の体を見渡し、動かせる範囲で体の具合を確かめる。肉は千切れ、骨は一部体から飛び出していた記憶が蘇る。


「あんた、俺になにかやったのか?」


 身につけた防具は見る影なくボロボロで、同じくらい、いやそれ以上に体は損傷していたはずなのに、そんな痛みも傷痕もない。


「詠術を使いました。治療系詠術を」


「治療系、詠術?」


 繰り返すのは戸惑いの証。


「ナナシさん、治療系詠術を受けたことは初めてでしょう?」


「当たり前だろ。こんな一介の傭兵風情に」


 治療系詠術の存在自体は聞き及んでいる。死ぬ一歩手前の重傷でも治療したとかの宣伝は耳には届いてはいた。


「『話では良くきく』ってやつさ」


「なんです、それ?」


「別に。傭兵なまりさ」


 アリスティア姫は少し首を傾げると、すぐに表情が曇った。


「ああ、なるほど。効くと聞くをかけているんですね。詠術師以外には治療系詠術は施されず、話にしか聞くことができないという皮肉をこめた」


 沈痛な表情を浮かべる姫にナナシは肩をすくめた。


「私はあなたにあやまらないといけません」


「なにを、あやまる?」


「あなたを詠術で治療したことを、です。治療系詠術は、軽傷にしか施さないもの。重傷にはむしろしてはいけないものなんです」


 ナナシには意味がわからず、質問を返すことも出来ずにただただ困惑の表情を浮かべるしかできない。


「夢を見ませんでしたか?」


「見た、な。よくわからない女の子の夢だったような」


 少し長い説明になります、と姫は前置きしてナナシの正面に座り直した。


「神の見えざる手、という現象があります。詠術師の間では常識でも詠術師ではない方には秘密にされている事です」


「まあ、知るわけねぇよな」


 そもそも詠術師は術を行使はしても、詠術師以外に術のことを話す者などいなかった。どの詠術師もどうせわかるわけがないという態度が透けて見えていた。


 むしろこんな詠術のことを明かす姫のほうが、珍しいを超えて異常である。


「簡単に言うと、詠術は人や獣に直接作用しない、というものです。例外はありますけども」


 ナナシは姫の言っている内容を理解することができない。


「作用しない? 波紋照合はどうなる? 今まで、どう戦っていたんだよ?」


「例えば、詠術で炎を出すことは簡単です」


 そう言うと姫は掌に小さな炎を出してはすぐに消した。


「でも獣や神罰獣が、いきなり炎に包まれたところをみたことがありますか?」


 渡り歩いた戦場を思い返しても、戦闘で直接火を対象につけている詠術師はいなかった。

(言われてみればない…)


 ナナシが見てきた詠術師は、火にしても空気の塊のようなものにしても、誰もが自分の体の近くの中空から、球体状にして出しては対象へ誘導していた。


 神罰獣を倒すのにそれ以外の方法をみたことがなかったし、そういうものだと思っていたが、改めて言われるとやり方が回りくどい。術を外すやつも多々いるからだ。


「なんでも操るってのがあんたら詠術師の触れ込みだよな。もしそれが本当なら、たしかに投げつけるなんてしなくていいはず、だな」


「詠術は実はものすごく不自由な技術ですよ。それを知られたくなくて、過大に見せてしまう詠術師がいることは事実ですね。ですが、神罰獣に対抗できる手段として一番有効なのもまた事実です」


「なるほどねぇ」


 すべてを理解したわけではないが、頷くナナシ。


「先ほど言ったように詠術は生きている対象には作用しません。その理由はモトにあります。詠術の根幹たるモトが、生体に対しては作用しないように干渉しているんです。さらに言うなら、術者の体から離れているモトを使うのは非常に困難です。そのため、術者の体内モトと近くの空気中のモトを使って現象を起こしてから、神罰獣に対して『結果』を誘導しています」


「結果? 詠術そのものじゃなく、詠術で作ったものをぶつけているってことか?」


「そのとおりです。炎も風も、詠術で作ってから対象へ誘導しているんです。それならモトは干渉しません。誘導の仕方にもよりますけど。圧縮空気を打ち出す波紋照合は、アマリア様が考え出した対神罰獣の切り札ですが、未だに切り札であり続けるほど神の見えざる手は厳しいのです」


「随分とまぁまどろっこしいことしてたもんだ」


 だが、だとするならば。


「どう俺を治療したんだ?」


「そうですね。問題は治療系詠術てす。これは結果をぶつける、なんてことできません。そして当然ながら生体に直接作用しなければいけません」


「まぁそりゃそうだよな」


「実は体内モトにはその人の自然治癒力を高める力があるのです。つまり簡単に言えば、体内モトの総量が多い人ほど怪我の治りが劇的に早いんです。それに体内に取り込まれたモトは血中を巡って全身に行き渡ります。そのとき怪我した箇所にモトが留まれば、集中して治すという性質もあります」


 長くなる、と前向きはされていたが、本当に長いのでうんざりした表情を見せながらもナナシは耳を傾けた。


「つまりモトを使っての治療とは、外部からモトを引っ張ってきて体内モトを増やし、怪我の箇所に留まるようにする、という作業のことをいいます。大まかですが」


「あーあ、なるほど。全身ボロボロだった俺に、モトを持ってきて全身に行き渡らせた、みたいな感じか?」


 ぱっと花が咲いたような笑顔を見せて頷く姫だか、またすぐ悲痛な表情に戻る。


「ここからが本題です。空気中のモトにしろ、他人のモトにしても、すぐには自分の体内モトにはなりません。通常であれば呼吸を通して、ちょっとずつ空気中のモトを体内モトに時間をかけてしていくのです。でも治療ですから、そんな悠長なことはしていられない。そのための方法が術者と治療対象のモトの同一化、簡単に言うならモトを欺きます。私のモトはあなたのモトですよ、と」


 ナナシの胸にふつふつと違和感と不快感がこみ上げてきた。


「おい、なんかいやな予感がすんぞ」


 姫は淡々と説明を続ける。


「そうすることで、自分の体内モトを他人に譲り渡すことができます。空気中のモトを使わないのは、神の見えざる手が阻むからです。でも自分の体内モトと相手の体内モトを欺くことはできた。神の見えざる手の抜け穴ですね。でも重傷者には行いません。やりたくてもやれないのです。理由は2つ。1つ目は体内モトの調整が非常に難しいこと。体内モトは少なすぎても、多過ぎてもいけない。重傷者はモトも多く必要になります。渡しすぎては術者が死ぬ。怪我を治す以上のモトを流し込まれて、器を超えてしまっては対象者が死ぬ。そして2つ目は、治療中に記憶の一部が混ざりあい、人格崩壊が起こる可能性が高いこと」


「もっと簡単に言ってくれよ、なあ!」


「私はあなたの過去を見ました」


 ナナシは瞬時に両手でアリスティア姫の胸ぐらを掴んで引き寄せる。


「なにを見た!」


「泣いている女の子です。バラバラにされた死体の前で、茫然と泣いている幼いあなたを見ました」


 潤み、今にも涙零れ落ちそうな瞳をナナシは睨みつける。


「あなたが、アムトの生き残りの女の子なんですね」


 しばらく姫の胸ぐらをつかんだまま睨みつけていたナナシは、目をかたく瞑ってその手を離した。


「正確にいえば、俺と師匠は大剣使いが襲ってきた時は護衛で雇われていただけで、アムトじゃなかった。そうなる日に、大剣使いの野郎があらわれたんだ。そのあとは、どこまで見た?」


「あなたが事件現場を発見してから、その大剣を、その、引き抜いたところまで、です」


 ナナシは鼻をならす。


「じゃあ俺が夢でみた金髪は、やはりあんたか」


「そうだと思います」


「泣いていたよ、あんたも。大勢の騎士達に守られていたのに、なんでか泣いていた」


「前に少しお話しましたね。私は多すぎる体内モトのせいで事故を、と。たぶんその記憶でしょうね」


「治療の度にお前ら詠術師はこんな気持ち悪いことしてんのか?」


「いいえ、治療系詠術はさっきも言った通り、軽傷にしか行いません。宣伝だけが過剰に出回っているのが現状です。詠術師は自分で治療できますからね、他人に治療は滅多に施さないのです」


「そうなのか」


「ごめんなさい」


 深々と頭を下げるアリスティア姫に、ナナシは溜め息をついてからごろりと仰向けになった。


「正直さ、ここに姫さん以外の詠術師がいたとして、そいつは俺は治療したか?」


「あなたは重傷すぎました」


 その予想通りの返答に顔を歪ませるナナシ。


「ま、そもそもふつーの詠術師が、使い捨てなんかに治療を施さないよな」


 あーあ、といつもの口ぐせを言って、そっぽを向いて。


「礼がまだだったな。命を救ってもらってさ。その、なんだ。あ、ありがと」


 言い終わるのと同時にアリスティア姫は、仰向けのナナシに覆い被さるように抱きついてきた。


「お、おいなんだ?」


「良かった! 本当に。死んじゃうかと思った。私でも治せないかと思った! あの技は、あの心臓を叩く技は命を削ってる! 命を自ら手放そうとする人にモトは手を貸さないんだから!」


「まあ、なんだ。どけ、重い」


「また嘘。私重くないですもん。疲れちゃったんです。知っていますか? 治療系詠術はすっごく疲れるんです」


「だから、詠術はわかんねぇって」


 諦めのため息をついてナナシは、アリスティア姫のなすがままに。


「あ、ちょっとだけいいですか?」


「なにが?」


 ナナシの返答を待たず、なにやらあらぬ方向を見てアリスティア姫は叫ぶ。


「似てない!」


 そしてまた、ぐったりとナナシにもたれ掛かる。


「なに、いまの?」


「いえ、ちょっとした鬱憤晴らしです」


 アリスティアとナナシを遠くから見下ろす2つの影。


「やっぱり狩師達って優秀だったんですねぇ。いなくなった途端にこんな風になっちゃうんだから。まぁ、狩師システムが優秀だった、というべきですかね」


 それはグセ、と名乗った男。

その容姿は凡庸そのもの。印象に残りづらいほど特徴は皆無だった。目、耳、鼻、口、そして長くも短くもない髪。

 人が顔だと認識する最低限の部品があるだけの仮面めいた顔は、はるか眼下のナナシとアリスティアを見守っている。


「狼型を神話化させたのはグゼ様でしょう?」


 そう返すは、グセとは正反対に目を引く美女。豊かな黒髪、整った体型、どことなくアリスティアの面影をもつ女。


「遅かれ早かれ、ですよ。そもそも狩師の存在が、神罰や神話化を防いでいたのですから。あの《山渡り》は周囲のモトを体に取り込む業。でも詠術師はモトを撒き散らす存在。せっかく狩師達が鉄の戒律を持って辺りのモト濃度を低く一定に保っていたのに、なんにも知らない軍の詠術師達が、詠術を使いに使ってしまったのですから。私が何かしなくても、神話獣はなにかしら産まれていたでしょうね」


「姫様も詠術を濫用されてましたものね」


「いいえ。アリスティア姫は別格です。姫様は1人で完結してしまっているので、関係ないのですよ」


 女はすべてとろかすような微笑みで問う。


「どうして、狼型にしたのですか? マナガルムには明確な弱点がごさいますでしょう? 単純に強い神話獣なら猿型グサインも可能だったのでは?」


「いいえ、狼型でなくては、かねてよりの疑問が氷解しません」


「お伺いしても?」


「狼型は特殊な神罰です。彼らはね、人間の感覚器官が不完全であることをよくわかっている。そして脳が補完を得意とすることもね。神話化させれば必ず私とアリスティア姫が見たかったものを見せてくれると確信していました」


「見たいもの?」


 グゼの顔に亀裂が入っていく。その罅の名は笑顔。


「ずっと、ずぅっと疑問でした。あの時我々4柱に追い詰められた人類は、神堂博士は出来たはずなんです! 不完全な肉体を捨て、より強靭で、完全な体を用意をして、乗り移ることが! でもしなかった。再生医療を発展させてまであくまでも生身の肉体にこだわった。今ならわかる、神堂博士の気持ちが。名もなきあの子の戦いをみて、ようやく実感できました。生身でなくてはならなかった。不完全でなくては完全には勝てない! もし肉体を棄てていたならば、人類はすぐ滅んでいたでしょう。それを神堂博士はわかっていたんだ」


 グゼの瞳から涙が溢れ、笑顔の頬を濡らす。その様子に女は慌てて顔を伏せ、片膝をついた。


「アリスティア姫! 私には分かりますよ。その子にはなぁんにもない! 才能もなく、肉体だって決して恵まれず、血筋すら平凡。ただ、ただ出逢いだけがあった。縁だけで、その子はここまで来てしまった。だからあなたはこれを見るために、その子に出逢うために狼族を2重に見捨てたんだ。疫病ではなかったのに。あなたはわかっていたのに。助けなかった。見捨てなければ予定が狂ってしまいますからねぇ。その価値はありましたか? 私は楽しかったけれども、私に似た姫様、あなたもきっと楽しかったでしょうねえ。私も少し手伝いましたしねぇ」


「お手伝いなされた?」


 驚愕に顔をあげる女。グゼは含み笑いで答える。


「姫様がWMSにアクセスした時、私はアマリアコードで拒否権を発動したのですよ。そしたら姫様は慌ててアマリアコードを破棄して一部を手動演算し始めちゃってねぇ。そりゃあ仮死状態まで追い込まれちゃいますよねぇ。量子演算なんて、人の脳につなげて処理するものじゃあない。いやぁ面白いものみれたなぁ」


 グゼは腹を抱えて笑う。


「やはり姫様はお前の予想とは違って神威の鍵を手に入れてはいないのでしょうね。もし手に入れていたならば、そもそもWMSに接続するのにAESQなんかわざわざ使わないでしょう。ダイレクトコネクトできるのだから。それに神話獣がいるとわかっていて倒れるようなこともしない。まぁそれでもあの姫は実存在であることは証明されたか。ちょっと心配だったものですから」


「と、申しますと?」


「いえね、実は城を抜け出したのはフィロソフィカルドールじゃないかって疑っていたのです。本物の姫は、未だあの城のなかで眠りについたままなのではないかと。でも、WMSには万が一を想定してクオリアプロテクトもかけられていますからね。だから本物の唯一無二のアリスティアではないとWMSには絶対に接続できない。神威が許さない」


「それでもなにか、類するものを手に入れた可能性はごさいませんでしょうか?」


 グゼは目を細めて含み笑いをもらす。


「まぁったくしょうのない子ですねぇリリトゥは。おすすめはしません。でも止めもしません。好きになさい」


 深々お辞儀をして、グゼに礼を述べる女に、でも1つだけ、と言って顔を上げさせた。


「私ねぇ、あのナナシの女の子がだぁい好きなんです。姫様はどうでもいいのですけれど、あの子にはちゃあんと、ご挨拶するのですよ」


 女は影に入り込むように、その姿を消した。その様子を見届けもせず1人きりになったグゼは、聞こえるはずのない距離のアリスティア姫に話しかける。


「聞いていますね、アリスティア姫。本当に私達は似た者同士だと思いませんか? だからこそ、私だけがあなたの罪も罰もよくわかる。報いがほしいなら、この私があなたに授けましょう。人類を守るのは、あなたではなくて、私こそが相応しい。だってこんなにも人類が、その子が愛おしいと、私、思っているんですから。あなたとは違ってね」



第一話~第三話 「ナナシの少女」完

4話は一挙掲載予定なので少し間が空きます。

それまでは幕間の物語を掲載予定です。

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