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ローデス  作者: 左門正利
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究極の災難

 翌朝、ルクシャーの町で一泊した真悟たちは、これからどうするかを考える。


 まず、美希が口をひらいた。


「ガルダさんは薬を作るため、リザーレに行くのよね。わたしたちも行ってみる?」


 次に、桃子が思い出したように話す。


「サナトリウムには、まだ行ってなかったな。先に、そこへ行くべきでは?」


 マリナが遠慮がちに口をはさんでくる。


「あの、サナトリウムは、患者さんの関係者以外は立ち入り禁止だそうです」


 武の顔が渋くなる。


「じゃあ、俺たちが行っても、むだ足になるわけか」


 アリッサは黙ったまま、なにもヒントを与えない。


 最後に真悟が提案する。


「まずはもう一度、ここの町の人びとに話を聞いてみましょう」


 町のなかをいろいろとまわりながら、会う人たちに話を聞く真悟たち。そんな彼らが大衆食堂に入ったとき、みんなを誘うように手を上げる男がいた。

 フランだ。彼は、にこやかな笑顔をみんなに向ける。


「島に行って、魔物をやっつけたんだって? すげーな」


 妙にチャラくてお調子者に見える男だが、この町では誰よりも役に立つ情報を、真悟たちに提供してくれる。


「ゴルドーザには行ったことがあるかい?」


 まったく知らない。当然、行ったこともない。


「ここから西の方にある、砂漠の街だ」


 そこで、なにがあるのか。


「今日、ザノーアから幻影師団がやってきて、イリュージョン・フェスティバルというイベントを開催するんだ。チケットが、ちょうど五枚ある」


 フランはそういいながら、チケットを見せた。


「安くしとくけど、どうだい?」


 みんなが顔を見合わせる。美希が両手を腰にあてて、笑みを浮かべた。


「次に行くのは、ゴルドーザに決まりね」



 飛行船にのった真悟たちがめざすゴルドーザの街は、すぐに見つかった。空の上からだとわかりやすい。

 だが、飛行船は街から離れた場所に置かなければならない。そういう決まりがあることを、事前に聞いている。


 みんなは飛行船から降りると、街の方に目をやる。便利な乗り物はまったくないので、この砂漠を歩いて街に向かうことになる。

 徒歩で十五分ぐらいの距離だ。


 けっこう、風が吹いてくる。その風にのって砂が当たってくるので、非常に鬱陶しい。

 武と真悟が風よけとして犠牲となるために、女子たちの前に出る。アリッサは、武と真悟のすぐ後ろについた。


 五分ほど歩いたとき、最後尾を歩くマリナの背後で、ミーッ、ミーッと鳴き声のような音が聞こえた。


「あっ」


 マリナの声に、みんなが何事かと思って後ろをふり返る。リスのような小動物が、砂漠の砂から顔を出していた。

 マリナが、ほっこりした笑顔で顔を近づける。


「かわいい!」


 美希も、見てみようと近づいてくる。


「わあっ。なに、この子。砂漠に、こんな動物がいるなんて!」


 桃子もよってくる。


「ふむ、ちっちゃいな」


 武はつまらなそうな顔をして、彼女たちに向かって声をあげる。


「おい、のんびりしてねえで、さっさと行くぞ」


 いうべきことをいい終わった武と、そしてアリッサは、街の方に向きなおって前に進む。

 だが、女子たち三人は前にかがみながら、まだ小動物をめずらしそうに見ている。


 あいだにはさまれた真悟は、困惑した面もちで、武と女子たちへ交互に視線を移している。

 武のいうように、ここでのんびりしたくないと思う真悟は、彼女たちに声をかけようとする。


「あの……」


 すると、真悟の言葉をじゃまするかのように、いきなり背後から突風が吹きすさぶ。強烈な風に、真悟はこけそうになって右手と右膝を地につけた。


 立ち上がろうと顔をあげたとき、思わぬ災難が真悟を待っていた。


 強烈な突風は、真悟に背を向けて前屈みになっている彼女たちのスカートを、完璧にめくれ上がらせていた。

 以前から述べているが、彼女たちは下着を身に着けていない。


 真悟の目の前に、神秘の世界がひろがる。



 武とアリッサは、強い突風で砂が顔に当たるのを腕や手で防ぐ。

 武は、しかめっ面になりながら思う。


 ──急いだ方がいいな


 ふり向いて、真悟たちを呼ぼうとした。


「おい、真……?」


 真悟がいない。


「真悟?」


 武は、消えるようにいなくなった真悟はどこへ行ったのかと不思議に思いながら、アリッサに声をかける。


「アリッサ、真悟が……」


 最後まで話さないうちに、アリッサの顔が真っ青になり、彼女は急いで三人娘の方へ走りだした。


「お、おい、アリッサ」


 武もアリッサのあとに続く。その途中で、真悟が消えた謎が解けた。

 武の顔も血の気を失い、真っ青になる。


「真悟オオオオオ!」


 武の叫び声に、女子三人がふり向いた。すると、真悟が頭を彼女たちに向けて、バッタンと、うつぶせに倒れている。

 真悟は消えたのではなく、倒れていたのだ。顔のあたりには赤い湖がひろがり、それはいまもジワジワと範囲をひろげている。


 真悟のそばまできた武が、真悟をゆさぶりながら必死で名前を呼び続ける。


「真悟、おい、真悟っ。大丈夫か真悟!」


 大量の鼻血を噴出した真悟のHPは、すでにレッドゾーンに突入し、さらにどんどん減り続け、ゼロになるまであとわずかだ。


 こんどはアリッサが叫んだ。


「大変っ。マリナちゃん、はやく回復して!」


 マリナが大あわてで回復スキルを発動する。

 武とアリッサは青い顔をしたまま真悟を心配し、美希と桃子はなにが起きたのかわけがわからず、呆然としているのだった。



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