表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ローデス  作者: 左門正利
42/60

洞窟

 船がぶじに、島にたどり着く。探索チームのメンバーは、ガルダと彼女以外の五人の乗組員、そして真悟たちだ。


 他の乗組員は、船にのこって待機することになる。


 探索チームが陸にあがると、ガルダが声をあげる。


「みんな、魔物が出るから気をつけるんだよ!」


 ここで、ガルダと真悟たちが話し合いをする。


 真悟たちは、洞窟までの道のりがわからない。洞窟までガルダが先導し、モンスターが出てくれば、真悟たちが戦うようにする。

 それで、おたがいに異存はない。


 ガルダを先頭に真悟たちが続き、彼らのあとを船員たちがついて行く。

 ときおり、あまり強くない敵が出てくるが、真悟たちはさっさとやっつける。

 その戦いを、船員たちが羨望の眼で見るのだった。


 NPCである船員たちは、その場で真悟たちが戦う様子が見れるのだ。

 彼らにとって、モンスターとの戦いは命がけである。


 林のなかを抜け、ゴツゴツした岩場を進み、森に入ってしばらくすると、ガルダの足が止まる。


「しずかにっ」


 彼女は、岩肌に開いてある穴を指さしていった。


「あれが、洞窟の入口だ」


 そこには、二匹のモンスターが見張り番をするように、うろうろしている。

 真悟たちは、さっそうとモンスターたちの前に飛び出した。戦闘フィールドに移行すると、みんなは素早く敵を倒す。


 ガルダが気をひきしめる。


「危ないのは、ここからなんだ。十分、注意してくれ」


 以前、ガルダが洞窟から花を取ってきてから、もう五年が経つ。そのときは、モンスターとの死闘で多くの仲間が傷つき、花を一つだけもって帰るのが、やっとだった。


 その後も島に行ってみるものの、モンスターが非常に手強く、なかなか花を手に入れることができずにいるのだった。


 洞窟に入ったみんなは、ランタンのような照明器具の明かりを頼りに、慎重に足を進める。

 行く手をはばむ敵を真悟たちが片づけ、徐々に先へ進んで行く。


 不意に、ガルダがピタリと足を止めて、真悟たちの方をふり向いた。


「あそこにある花が、そうだ」


 ガルダが示したところを見ると、上から日の光が照らされ、その下には一面に黄色い花が咲いている。

 距離にすると、15メートルから20メートルといったところだろうか。


 ガルダは注意を施した。


「焦って行くと魔物が急にあらわれるから、慎重に進んでくれ」


 真悟たちは、うなずいた。ゆっくりと足を進め、半分の距離まできたとき、三体のモンスターが出現する。

 みんなは戦闘フィールドに移行し、敵との戦いがはじまる。


 モンスターは、三角帽子をかぶってマントを身に着けた人間型の三人組で、それぞれ背の高さがちがう。

 真ん中にいるのがもっとも背が高く、左にいるのが一番小さい。右にいるのはデブっちょで、体力がありそうだ。


 三体とも魔術士らしく、肉弾戦にもちこめば勝てそうな気がする。あまり強そうに見えない敵であり、みんなは今回も苦戦することはないと考えていた。


 完全に油断していた。というか、ナメていた。


 戦闘開始そうそう、予期せぬことが起こった。

 まず、美希が敵を眠らせるため、ベリーダンスでモンスターたちに幻術をかけようとする。

 その幻術スキルが、左にいる小柄なモンスターに弾かれた。美希の放った幻術が、味方の方へとはね返ってゆく。


「あっ!」


 真悟の顔が青くなる。あろうことか、マリナが美希の幻術で眠ってしまった。

 マリナだけでなく、桃子も眠りにおちている。


 回復役であるマリナが起きないと、みんなの体力は敵の攻撃を受けるたびに減る一方だ。しかし、眠らされた仲間を目覚めさせるスキルは、マリナしか使えない。

 さらに桃子も眠っているので、こちらの戦闘力は大幅にダウンする。


 いきなりピンチに立たされた。焦った真悟が、全体魔法のファイヤー・ショットで敵を攻撃する。

 あさはかな考えだったと、あとで思った。


「しまった!」


 真悟の魔法攻撃も同じように、幻術使いである小柄なモンスターにはね返される。美希と武そして真悟は、それぞれダメージを被った。


 美希は回復スキルを使えるが、回復できる体力は微々たるものだ。しかも、それは味方全体に作用するスキルではなく、ひとりにしか使えない。


 真悟の額から、冷や汗が流れる。


「くっ、まずい」


 自分の魔法攻撃は、はね返されて仲間を攻撃してしまう。真悟はなすすべがなく、防御するしかできなくなった。

 美希の幻術スキルもはね返されるので、実質、武ひとりで敵をすべて倒さなければならない。


 美希は頭をフル回転させる。


「真悟!」

「はいっ」

「あんたは、回復役にまわって」


 真悟は一瞬、唖然となる。


「いや、ぼくは、回復魔法は……」

「きずぐすりと回復ドリンクが、いっぱいあるでしょ!」


 すっかり忘れていた。未使用の回復アイテムが山ほどたまっているのを、いま思い出した。

 しかし、それらアイテムの回復力は、あまり期待できるものではない。まあ、ないよりは、はるかにマシではある。


 武がモンスターを攻撃し、美希は防御に専念して、真悟が仲間の体力を回復させる。

 だが、右にいるデブっちょの敵も回復スキルを使うので、思うようにモンスターの体力を減らせない。


 戦闘中も、美希は考えをめぐらせる。


 ──せめて、マリナか桃子のどちらかが目を覚まさないと……


 美希は真悟に顔を向ける。


「真悟」

「はいっ」

「マリナと桃子は、ずっと眠ったままでいるの?」

「いえ、もうそろそろ起きると思います」


 真悟の言葉どおり、マリナと桃子が目を覚ます。

 だがその直後、モンスターの幻術により、二人はふたたび眠りに陥ってしまうのだった。


 美希が憤慨して叫ぶ。


「なんでよっ!」


 思った以上に大ピンチだ。このパターンが繰り返されると、真悟たちに勝ち目はない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ