目覚める少女
「アリッサ……」
「アリッサ、起きてくれアリッサ」
異世界で自分を呼ぶ声に、少女アリッサは目を覚ます。
「起きたかい、アリッサ」
「うん……」
ぼーっと突っ立っているアリッサは、目をこすりながら返事をする。
暗闇のなか、色とりどりのローブを着た五人の男たちが、小学一年生ぐらいに見える女の子アリッサを取り囲んでいる。彼らは頭からフードをかぶり、顔はよくわからない。
人間の世界とは次元の異なるこの空間は、暗闇ではあるのだが、人の姿はハッキリととらえることができる。アリッサが着ているピンクのワンピースは、たったいま目が覚めたばかりの彼女を見ると、さながらパジャマのように思える。
まだ眠たそうなアリッサが、まわりのみんなにたずねた。
「また、はじまるの?」
「そうだよ、アリッサ」
青いローブを身にまとう男が、アリッサのふわりとした栗色の髪をなでた。
彼女のブルーの瞳が、その男に向けられる。
「こんどは、うまくいくといいね」
アリッサの言葉に青いローブの男がうなずき、彼のとなりにいる白いローブを着た男が「そうだね」と答えた。
次に、赤いローブの男がアリッサに話しかける。
「それじゃあアリッサ、『いつもの場所』に行っててくれるかい」
「わかったわ」
アリッサの返事を聞いたあと、緑のローブに身をつつむ男が、みんなに告げる。
「わたしたちも、彼らを呼んでこよう」
その言葉にみんなはうなずくと、男たちは自分の立っている場所から、次々に姿を消してゆく。
最後にのこった銀色のローブを着た男が、アリッサに向かって口をひらいた。
「いままでにないベストメンバーを連れてくるよ」
「ええ、先に行って待ってるわ」
アリッサの声に男は優しく微笑み、彼もまた姿を消した。
「また、はじまるのね」
暗闇にのこされたアリッサは、過去の記憶に想いをよせる。
「こんどは最後まで行けるといいな」
アリッサはそう思いながら、自分のやるべきことを成すべく、己の身体を『いつもの場所』に瞬時に移動させるのだった。




