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序章
いまから三十年前──真夏の暑い昼さがりに、ある街のビルで火災が発生する。
この火災は多くの死傷者を出し、全国のニュースで流されるほどの大惨事をまねいた。
当時、ビル内では親子連れも多く「親子で○○教室」などの各種イベントが開催されていた最中であり、悲劇にみまわれた親子はかなりの数にのぼる。
ビル内の一室を「ナッツ」というゲーム会社が占めていたが、その会社でゲームを制作する五人の社員が火災に巻き込まれ、彼らはビルのなかで亡き人となった。
そんな彼らの無念の想いが、異次元に変化を呼び起こした。ゲームクリエイターたちが作成していたゲームの世界が、ある異次元に誕生する。
以降、その異次元の世界では、物語のはじまりと挫折を何度も繰り返していた。
あの火災から、三十年後の現在──異次元に誕生したゲームの世界は、数年ぶりに物語のはじまりを迎えようとしているのだった。




