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ローデス  作者: 左門正利
12/60

攻略メソッド

 ここで、マリナから朗報が真悟に送られる。


「久松くん、美希さんが回復したわ」


 真悟が戦っているあいだに、マリナが美希を回復させることができたようだ。

 美希はゆっくり立ちあがると、機嫌の悪そうな顔で真悟の背中をにらんだ。


「お腹に思いっきり電気が走ったわ。本当に、しびれるように痛かったわよっ」


 そういわれても、真悟は美希にどう答えればいいのかわからない。


 ──ぼくのせいじゃないんだけど……


 とにかく、美希が復活したのであれば、彼女にもがんばってほしいところだ。

 真悟は骸骨のモンスターを相手にしながら、美希に訊いてみる。


「美希先輩、敵を動けなくする技とか、ないですか?」

「眠らせるやつだったら、あるわよ。三匹いっぺんには無理だけど」


 それなら……と、真悟にある考えが浮かんだ。刹那、マリナが叫んだ。


「久松くん!」


 マリナの声に真悟がふり向く。吹っ飛ばされたクモのモンスターが、彼女たちに襲いかかろうとしている。


「このっ」


 真悟の杖から発射されたファイヤーボールが、またもや威力を発揮する。クモのモンスターは体力を減らしながら、遠くへ飛ばされていった。


「こいつが、いちばん弱いな」


 弱い敵から倒すのが、一般的なセオリーだ。真悟は、敵を倒す順番を頭の中で考える。


 骸骨のモンスターが真悟のスキをつくように、無数のナイフを頭上にばらまく。そのナイフは空中で静止すると、ギャリンッと刃先を真悟に向けて狙いをさだめる。


 骸骨のモンスターは両手を上げて、のけぞるようにふりかぶり、すべてのナイフを真悟に投げつける準備にはいった。

 その姿を、猪頭のモンスターと戦っている武の視界が、わずかにとらえる。


「真悟、危ねえ!」


 武は身体をひるがえし、骸骨のモンスターに飛び蹴りを食らわせる。

 武の飛び蹴りはスキル攻撃ではないのだが、これが会心の一撃となり、ファイヤーボールよりも大きなダメージを与えるのだった。


 その間、猪頭のモンスターは、力をこめてふんばるような格好をしている。おそらく、次に行う攻撃の威力を高めるために、エネルギーを充満させているのだろう。


 真悟が美希の方へ視線を移す。


「美希先輩、あの猪の敵を眠らせてください」


 美希が、イヤそうな顔をする。


「わたし、あいつだけはサマーソルトキックでやっつけたいんだけど」

「眠らせてからの方が、安全ですよ」

「……それもそうね」


 真悟の言葉に納得した美希は、両手を上にあげてバレリーナのようにクルクルまわり、敵を眠らせる幻術スキル「リプリー」を猪頭のモンスターに発動する。


 しばらくすると


「ぐう……」


 猪頭のモンスターは、眠りにおちる。それを見た美希が、ニタッと微笑んだ。


「ふふふ」


 美希にとっては、まさにサマーソルトキックをぶちかますチャンスだ。


 しかし──


「あっ」


 美希が、すっとんきょうな声をあげる。


「SPが、たりない!」


 美希のサマーソルトキックは、SPが満タンの状態でなければ発動できないのだ。


 ──確か、マリナがスキルバーをもっていたわね


 スキルバーとは、SPを回復させるアイテムである。棒状のお菓子のようなもので、全部で三つそなえている。

 それは、すべてマリナにあずけてあるのだ。


「マリ……」


 美希はマリナに声をかけようとするが、真悟の方が先にマリナをつかまえる。


「雪本、頼みがある。まず、武先輩の体力を回復して、それから先輩にスキルバーをわたしてあげて」


 武のHPとSPは、猪頭のモンスターとの戦闘でかなり消費している。


 いま、三匹のモンスターのなかでも最強と思われる、その猪頭の怪物が眠っている。

 この間に、のこりの二匹をさっさと片づけたい真悟である。


 武の必殺技スキルで骸骨のモンスターに大ダメージを与えて、できるだけはやく仕止めたい。

 そういう真悟の考えを、美希がじゃましようとする。


「ちょっとっ。スキルバーは、わたしが……」


 話している途中で、真悟が叫んだ。


「美希先輩、ふせて!」


 真悟の焦ったような言葉に、美希は思わず身をかがめる。クモのモンスターが彼女を襲うべく、飛びかかろうとジャンプしていた。


 六本あるモンスターの手が、美希の身体に襲いかかる。だが、それよりわずかにはやく、真悟のファイヤーボールが目標の敵をとらえた。

 モンスターはドカンッという爆発音とともに、ぶっ飛んで行った。


「危なかったですね、美希先輩」


 まさか自分の真後ろに敵がいたとは思わなかった美希は、呆然となる。


 そうこうする間に、マリナが武の体力を回復させる。そして武にスキルバーをわたすと、スキルバーにかぶりついた武は、SPが三割ほど回復した。


「よっしゃ、行くぜっ。この骸骨野郎!」


 まるで、死にかけた状態から生き返ったように、武の目が輝いている。


 武の必殺技、アッパースピンキックというスキル攻撃が発動される。アッパーと後ろ回し蹴りのコンビネーションが、モンスターに多大なダメージを与える。

 スキル攻撃をモロにくらった骸骨の敵は、瀕死の状態である。


 真悟は頭の中でデータをチェックする。骸骨のモンスターは、もうほとんど体力がのこっていない。

 あとは武の通常攻撃で十分だろう。


 自分が戦っているクモのモンスターも、あと一回のファイヤーボールで片がつきそうだ。


 ──のこるは、あの猪か


 その猪頭のモンスターが、眠りから目を覚まそうとしている。


 戦いは、まだ終わりそうにない。




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